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2章 呪いの首輪と呪いのおパンツ
ネコの日常④
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リビアのおうちに戻ることになったけど、もう一日この町に滞在してお金を稼ぐ予定らしい。
私にも出来ることはないかとお手伝いを勝手でたら、「ある!」という返事を貰った。めんどくせぇけど言ったものは仕方ないので、リビアのお手伝いをすることになった。
いかがわしいお店の呼び込みのお手伝いだ。
「さぁさぁ、そこのお兄さん!かわいい子いるよ!」
こーいうお手伝いは基本報酬が高額で、呼び込んだ客の人数に対して報酬が上乗せされるらしい。呼び込めば呼び込むほどウハウハだとリビアが説明してた。
正直、だるい。
【只今タイムセール中!】というプラカードを持って、仕事帰りのギンギンしたおっさんに声を掛けるとか……
「やってらんない」
これっぽっちのやる気も起きなくて、歩道の隅っこにしゃがんで、あくせく働くリビアと町行くおっさん達を観察しながら、早く終われと切に願う。
「お猫様は働きたくないのである」
「真面目に働け!」
私の呟きにリビアの拳骨が振ってきた。
「ひどい、虐待よ!」
「何が虐待だ!もっと真面目にやれ、真面目に!お前の生活費でもあるんだぞ!」
「かったるい」
「っっ!もういい!」
怒ったリビアは、仕事帰りのおっさんに声をかけ始める。ギンギンどころかまるで精気のないおっさん達の多いこと。
「また税金が上がる」
「これ以上何を搾取するつもりだ」
「働いて働いて定年まで真面目にがむしゃらに働いて、もらえる年金は雀の涙」
「給料は下がる一方」
「右肩上がりの生活水準」
「それに合わせて生きると貯金が出来ない」
「周りに合わせないと貧乏だとバカにされる」
「生きたくない」
「生きたくない」
「働かずに金が欲しい」
おっさん達の嘆きを聞いてると、おっさん達がまるで歩く屍のように見える。国の仕組みは分かんないけど、国を支える労働者の元気がないのは良くないと思う。私の知ったことではないけども。
しかし私も金は欲しい。せめてリビアに怒られないくらいは呼び込みをしないと、夜ご飯のデザートは抜きって言われそう。それは嫌だ。食後のアイスは譲れない。何か手っ取り早く客を集める方法は……
「そうだ!」
思い立ったが吉日ってことで、着ていたポンチョのフードを脱いだ。すぐ前を通ったおっさんが「ふおおお!?」と絶叫。おかげでたくさんのおっさん達が立ち止まってくれた。
「キレイなお姉さんと遊びたい人、手を上げてーーっ!」
「う……うおおおおお!」
おっさん達が元気よく手を上げた。
「はい、あちらのお店へどうぞー!」
おっさん達がお店の中に収納された。
「はは、お前らチョロいわ。そうやって私に搾取されてろよ」
私のお言葉を聞いても、「猫様だ」「お猫様だ」「天使なお猫様だ」と、キャーキャー騒ぐおっさん達に、私の眠れる血が騒いだ。
「そうだ、これだ、これなのだ!」
感極まった私は拳を突き上げた。
「ネコるっ!」
「おおおおおっ!」
私の一言に大絶叫する人々。そこにはおっさんも性別も関係ない、老若男女問わず、みんながネコを崇めている。
私は、私の奥に眠る記憶が、この現象を知っている。
知っていると、叫んでいる。
お猫様を崇めるやつらを、私はこう呼んでいた!
「ネコ大好きニャンスキー達よ!そこのお店へと入るがよい!そしてお猫様に尽くすのだ!」
「うおおおおお!」
ネコ大好きニャンスキー達は言われるままお店へと駆け出した。女性と子供はお断りされていたけど、これでけっこう稼げただろう。
「お仕事終わったよ」
「じゃねーよ!」
「痛いっ!?」
リビアの手が私の顔を掴んだ。指の間から見える彼の表情におしっこチビりそうになった。
「お前の存在は知られるとヤバいって言っておいたよな、ああ?」
「今は私の顔面のがヤバいんだけど」
「なのに何でフードを脱いでパニックを起こしてんだ、ああ?」
「どちらかというと私の顔面のがパニック状態なんだけど」
「どうしてくれんだよ、この状況を!」
リビアが指差した先には、まるで神に祈るように膝をついてる人々がいた。
「ふむ、苦しゅうないぞ。もっとお猫様を崇めたまえ」
「ははーっ!」
「悪化させてんじゃねえ!」
ひれ伏す人々に満足げに頷けば、そうじゃないとリビアが一喝。どうやらこの騒動を今すぐもみ消す必要があるらしい。
「何で?」
「警察が来てもおかしくねぇだろ!?捕まりてぇのかよ!」
確かにここまでの騒ぎになれば警察が来てもおかしくない。もし捕まれば事情聴取されてしまう。記憶喪失中だから事情聴取にもならんだろう。
「変態サイコ野郎に見つかるかもしれねぇんだぞ!」
「はっ!?」
警察のお世話になれば、元飼い主に見つかってしまう可能が出てくるのか。それはマズイ。変態サイコ野郎に捕まるとか人生終わったようなものだ。変態的なことをされてしまう。それだけは絶対に嫌だ。
「どうすんだよ……」
走って逃げようにも、目の前にいるネコ大好きニャンスキー達は目を輝かせながら私のお言葉を待っている。それほど心酔しているというか、お猫様本人がいうのもなんだが、ここまでくるとネコに呪われてるんじゃないかと思う。
「あ、そうだ」
良いことを思い付いた私は、ネコ大好きニャンスキー達に声を掛けた。
「お猫様は悪い男に狙われておる。それはもう残虐で残忍で、この世のくずを集めたような男なのだ」
「な、なんと!」
「みんなのお猫様を狙うなんて!」
ざわめき立つネコ大好きニャンスキー達にコホンと咳払い。静まり返ったネコ大好きニャンスキー達に【お願い】を伝えた。
「その男に捕まらない為にも、お猫様とリビア……この従者に会ったことを誰にも言わず、一生胸の中にしまっておいてほしい。ここに居ない者にも、町で噂をする者にも、同じように伝えて、どうかお猫様の存在を隠してほしい。この通りだ」
ぺこりと頭を下げると、ネコ大好きニャンスキー達が「うおおおおお!」と声を上げた。多分「了解した」という意味だろう。
「それではネコ大好きニャンスキー達よ、達者でな!お猫様は逃亡するぜ!」
「お任せください、お猫様ーっ!」
ネコ大好きニャンスキー達の声援を聞きながら、アゴをあんぐり開けて固まってるリビアの手を引いてその場を離れる。
誰か一人くらい着いてくるかもと心配したけど、お猫様の【お願い】の方が優先らしく、みんな名残惜しそうに手を振っていた。
「いつか、またね!」
最後にウインクをして、リビアを引っ張りながら走り出す。途中で騒ぎの場所に向かう警察官とすれ違ったから、ある意味ギリギリセーフだった。
「リビア、もう大丈夫だよ」
「お、おう」
「はーっ、疲れた」
結局、お宿の近くまで走った。記憶にないから分からないけど、久しぶりに走ったと思う。足がガクガクしてる。
「すごかったねー」
騒がしさから一転、静かで薄暗い路地を歩く。もういいかなと思いリビアの手を離そうとしたら、逆に強く握られた。離すなってこと?……別にいいけど。
「つーか……なにあれ」
「あれ?」
「ネコ大好き……とか何とか」
「ネコ大好きニャンスキーこと?」
「それ」
「んっとね、お猫様のことを大好きな信者をそう呼ぶの」
「呼ぶのって……記憶が戻ったのか!?」
「それだけね」
「それだけかよ。しかもどうでもいい……いや、どうでもいい記憶なのか?けっこうすごい事が起きたけど……」
どうでもいい事で悩みだしたリビアにため息を一つ。
「お猫様はモテモテなんだよ」
「モテるとかの次元を通り越して何かの教祖様が降臨されたようにも見える」
「教祖様か。偉そうで良いね!なろうかな、教祖様」
「噂を嗅ぎ付けた変態サイコの元飼い主が迎えに来てもいいならどうぞお勝手に」
「失うものが多すぎるから、教祖様はご隠居するね」
「そうしろ。つーかもう勝手にフードを脱ぐなよ。お前の存在は、お前が思ってるよりもヤバい。俺も確信があるわけじゃねぇけどさ、今日のアレを見て余計にそう思ったわ」
遠い目をしながらリビアは空を見上げた。私も空を見た。真っ黒な空に浮かぶ星を見て、チクリと胸が痛む。
もっと他に、大切なことがある。
心がそう叫んでいるけど、それを知らんぷりして空を見るのをやめた。
「何でみんなネコ好きなんだろうね」
「呪われてんじゃねぇの」
「えっ、私が?」
「お前にだよ!」
「違うよ、ネコが呪われてるんだよ。現に呪いの装備が二つもついてるし」
「超一級品のお宝を装備呼ばわりすんじゃねぇよ」
「お宝かぁ、売ったら高いのかな」
「そらもうべらぼうに……いいね、それを売るのも。首輪は別として、特に【くそエロい呪いのパンツ】は要らねぇもんだし。くれよ、そのパンツ」
「いいよ、おパンツを脱がせてくれたらね」
「マジ?これで億万長者も夢じゃねえ!さすが俺のネコだな!」
「いやん、褒められた!」
「よしよーし、今夜はアイスを二つ買ってやろう。お前のおかげで稼げたし!」
「……マジか!やったーーっ!」
ーー違う、違う、もっとある。大切なことが、思い出さなきゃならないことが、もっともっといっぱいある。早く。早く。思い出して。……忘れないで。
耳の奥の方にある、ずっと騒ぐ声が、ざわつく心がうるさくて、それに蓋をした。
思い出したくない。
何も。
何も、要らない。
怖い、コワイ。
アカイ、コワイ、イヤ。
私にとって今が……
「ジョニーの分も買って帰ろうぜ」
「うん、お家に帰ろう!」
今があれば、もういいの。
私にも出来ることはないかとお手伝いを勝手でたら、「ある!」という返事を貰った。めんどくせぇけど言ったものは仕方ないので、リビアのお手伝いをすることになった。
いかがわしいお店の呼び込みのお手伝いだ。
「さぁさぁ、そこのお兄さん!かわいい子いるよ!」
こーいうお手伝いは基本報酬が高額で、呼び込んだ客の人数に対して報酬が上乗せされるらしい。呼び込めば呼び込むほどウハウハだとリビアが説明してた。
正直、だるい。
【只今タイムセール中!】というプラカードを持って、仕事帰りのギンギンしたおっさんに声を掛けるとか……
「やってらんない」
これっぽっちのやる気も起きなくて、歩道の隅っこにしゃがんで、あくせく働くリビアと町行くおっさん達を観察しながら、早く終われと切に願う。
「お猫様は働きたくないのである」
「真面目に働け!」
私の呟きにリビアの拳骨が振ってきた。
「ひどい、虐待よ!」
「何が虐待だ!もっと真面目にやれ、真面目に!お前の生活費でもあるんだぞ!」
「かったるい」
「っっ!もういい!」
怒ったリビアは、仕事帰りのおっさんに声をかけ始める。ギンギンどころかまるで精気のないおっさん達の多いこと。
「また税金が上がる」
「これ以上何を搾取するつもりだ」
「働いて働いて定年まで真面目にがむしゃらに働いて、もらえる年金は雀の涙」
「給料は下がる一方」
「右肩上がりの生活水準」
「それに合わせて生きると貯金が出来ない」
「周りに合わせないと貧乏だとバカにされる」
「生きたくない」
「生きたくない」
「働かずに金が欲しい」
おっさん達の嘆きを聞いてると、おっさん達がまるで歩く屍のように見える。国の仕組みは分かんないけど、国を支える労働者の元気がないのは良くないと思う。私の知ったことではないけども。
しかし私も金は欲しい。せめてリビアに怒られないくらいは呼び込みをしないと、夜ご飯のデザートは抜きって言われそう。それは嫌だ。食後のアイスは譲れない。何か手っ取り早く客を集める方法は……
「そうだ!」
思い立ったが吉日ってことで、着ていたポンチョのフードを脱いだ。すぐ前を通ったおっさんが「ふおおお!?」と絶叫。おかげでたくさんのおっさん達が立ち止まってくれた。
「キレイなお姉さんと遊びたい人、手を上げてーーっ!」
「う……うおおおおお!」
おっさん達が元気よく手を上げた。
「はい、あちらのお店へどうぞー!」
おっさん達がお店の中に収納された。
「はは、お前らチョロいわ。そうやって私に搾取されてろよ」
私のお言葉を聞いても、「猫様だ」「お猫様だ」「天使なお猫様だ」と、キャーキャー騒ぐおっさん達に、私の眠れる血が騒いだ。
「そうだ、これだ、これなのだ!」
感極まった私は拳を突き上げた。
「ネコるっ!」
「おおおおおっ!」
私の一言に大絶叫する人々。そこにはおっさんも性別も関係ない、老若男女問わず、みんながネコを崇めている。
私は、私の奥に眠る記憶が、この現象を知っている。
知っていると、叫んでいる。
お猫様を崇めるやつらを、私はこう呼んでいた!
「ネコ大好きニャンスキー達よ!そこのお店へと入るがよい!そしてお猫様に尽くすのだ!」
「うおおおおお!」
ネコ大好きニャンスキー達は言われるままお店へと駆け出した。女性と子供はお断りされていたけど、これでけっこう稼げただろう。
「お仕事終わったよ」
「じゃねーよ!」
「痛いっ!?」
リビアの手が私の顔を掴んだ。指の間から見える彼の表情におしっこチビりそうになった。
「お前の存在は知られるとヤバいって言っておいたよな、ああ?」
「今は私の顔面のがヤバいんだけど」
「なのに何でフードを脱いでパニックを起こしてんだ、ああ?」
「どちらかというと私の顔面のがパニック状態なんだけど」
「どうしてくれんだよ、この状況を!」
リビアが指差した先には、まるで神に祈るように膝をついてる人々がいた。
「ふむ、苦しゅうないぞ。もっとお猫様を崇めたまえ」
「ははーっ!」
「悪化させてんじゃねえ!」
ひれ伏す人々に満足げに頷けば、そうじゃないとリビアが一喝。どうやらこの騒動を今すぐもみ消す必要があるらしい。
「何で?」
「警察が来てもおかしくねぇだろ!?捕まりてぇのかよ!」
確かにここまでの騒ぎになれば警察が来てもおかしくない。もし捕まれば事情聴取されてしまう。記憶喪失中だから事情聴取にもならんだろう。
「変態サイコ野郎に見つかるかもしれねぇんだぞ!」
「はっ!?」
警察のお世話になれば、元飼い主に見つかってしまう可能が出てくるのか。それはマズイ。変態サイコ野郎に捕まるとか人生終わったようなものだ。変態的なことをされてしまう。それだけは絶対に嫌だ。
「どうすんだよ……」
走って逃げようにも、目の前にいるネコ大好きニャンスキー達は目を輝かせながら私のお言葉を待っている。それほど心酔しているというか、お猫様本人がいうのもなんだが、ここまでくるとネコに呪われてるんじゃないかと思う。
「あ、そうだ」
良いことを思い付いた私は、ネコ大好きニャンスキー達に声を掛けた。
「お猫様は悪い男に狙われておる。それはもう残虐で残忍で、この世のくずを集めたような男なのだ」
「な、なんと!」
「みんなのお猫様を狙うなんて!」
ざわめき立つネコ大好きニャンスキー達にコホンと咳払い。静まり返ったネコ大好きニャンスキー達に【お願い】を伝えた。
「その男に捕まらない為にも、お猫様とリビア……この従者に会ったことを誰にも言わず、一生胸の中にしまっておいてほしい。ここに居ない者にも、町で噂をする者にも、同じように伝えて、どうかお猫様の存在を隠してほしい。この通りだ」
ぺこりと頭を下げると、ネコ大好きニャンスキー達が「うおおおおお!」と声を上げた。多分「了解した」という意味だろう。
「それではネコ大好きニャンスキー達よ、達者でな!お猫様は逃亡するぜ!」
「お任せください、お猫様ーっ!」
ネコ大好きニャンスキー達の声援を聞きながら、アゴをあんぐり開けて固まってるリビアの手を引いてその場を離れる。
誰か一人くらい着いてくるかもと心配したけど、お猫様の【お願い】の方が優先らしく、みんな名残惜しそうに手を振っていた。
「いつか、またね!」
最後にウインクをして、リビアを引っ張りながら走り出す。途中で騒ぎの場所に向かう警察官とすれ違ったから、ある意味ギリギリセーフだった。
「リビア、もう大丈夫だよ」
「お、おう」
「はーっ、疲れた」
結局、お宿の近くまで走った。記憶にないから分からないけど、久しぶりに走ったと思う。足がガクガクしてる。
「すごかったねー」
騒がしさから一転、静かで薄暗い路地を歩く。もういいかなと思いリビアの手を離そうとしたら、逆に強く握られた。離すなってこと?……別にいいけど。
「つーか……なにあれ」
「あれ?」
「ネコ大好き……とか何とか」
「ネコ大好きニャンスキーこと?」
「それ」
「んっとね、お猫様のことを大好きな信者をそう呼ぶの」
「呼ぶのって……記憶が戻ったのか!?」
「それだけね」
「それだけかよ。しかもどうでもいい……いや、どうでもいい記憶なのか?けっこうすごい事が起きたけど……」
どうでもいい事で悩みだしたリビアにため息を一つ。
「お猫様はモテモテなんだよ」
「モテるとかの次元を通り越して何かの教祖様が降臨されたようにも見える」
「教祖様か。偉そうで良いね!なろうかな、教祖様」
「噂を嗅ぎ付けた変態サイコの元飼い主が迎えに来てもいいならどうぞお勝手に」
「失うものが多すぎるから、教祖様はご隠居するね」
「そうしろ。つーかもう勝手にフードを脱ぐなよ。お前の存在は、お前が思ってるよりもヤバい。俺も確信があるわけじゃねぇけどさ、今日のアレを見て余計にそう思ったわ」
遠い目をしながらリビアは空を見上げた。私も空を見た。真っ黒な空に浮かぶ星を見て、チクリと胸が痛む。
もっと他に、大切なことがある。
心がそう叫んでいるけど、それを知らんぷりして空を見るのをやめた。
「何でみんなネコ好きなんだろうね」
「呪われてんじゃねぇの」
「えっ、私が?」
「お前にだよ!」
「違うよ、ネコが呪われてるんだよ。現に呪いの装備が二つもついてるし」
「超一級品のお宝を装備呼ばわりすんじゃねぇよ」
「お宝かぁ、売ったら高いのかな」
「そらもうべらぼうに……いいね、それを売るのも。首輪は別として、特に【くそエロい呪いのパンツ】は要らねぇもんだし。くれよ、そのパンツ」
「いいよ、おパンツを脱がせてくれたらね」
「マジ?これで億万長者も夢じゃねえ!さすが俺のネコだな!」
「いやん、褒められた!」
「よしよーし、今夜はアイスを二つ買ってやろう。お前のおかげで稼げたし!」
「……マジか!やったーーっ!」
ーー違う、違う、もっとある。大切なことが、思い出さなきゃならないことが、もっともっといっぱいある。早く。早く。思い出して。……忘れないで。
耳の奥の方にある、ずっと騒ぐ声が、ざわつく心がうるさくて、それに蓋をした。
思い出したくない。
何も。
何も、要らない。
怖い、コワイ。
アカイ、コワイ、イヤ。
私にとって今が……
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「うん、お家に帰ろう!」
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