目が覚めたら【呪いの首輪】と【呪いのおパンツ】をつけられていたけど、これをやった犯人は誰ですか?

くったん

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2章 呪いの首輪と呪いのおパンツ

逃げられなかった運命②

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昨日訪れたばかりのアダルト専門店へと入っていく。例のお孫さんはレジに居て、私たちを見るなりため息を吐いた。

「……逃げられないわね。これも親子揃っての宿命かしら」
「やっぱり何か知ってたな」
「知ってるわよ。そもそもその【呪いの下着】を造ったのは私の父よ。呪術的な物を造る天才だったの」

お姉さんはポケットからタバコを取り出すと、それに火をつけた。深く吸い込むそれをゆっくりと吐き出す。煙がモワッと浮かんだ。

「今日はもう店じまいね。外のプレートをクローズにしてくれるかしら」

お姉さんのいう通りに看板をクローズにすると、またタバコを深く吸い込んでゆっくりと吐き出した。まるで奥の奥まで染み込ませるように、味わうように。

「父は、とある人物に【呪いの下着】を造れと頼まれたわ。そんな物を造りたくないと拒否したけど、残念なことに相手が高貴なお方で断れなかった。だから父は造ったわ、それを」

お姉さんの指が私の股間に向かう。

「そして死んだの。依頼主に渡したその日の夜に。首が転げ落ちてたわ。警察が調べた結果、自殺と判定された。首が切られていたにも関わらず。わたしも祖父も何度も訴えた。調べ直してくれ、父は自殺ではないと。だけど権力には逆らえない。自殺のまま父は処理された」

何と声を掛けていいのか、でもかける言葉も見つからない中、お姉さんが言葉を続けた。

「それだけの話よ。それ以上は、申し訳ないけど知らないの。祖父なら知ってると思うけど。会ってないの?」
「……知らないのか?」

リビアの遠回し過ぎる問いにお姉さんは一瞬ハテナを浮かべたけど、すぐにタバコを吸った。その手が小さく震えていた。

「……それならもう誰も知らないわ。それについて詳しいのは父と祖父だけなの。わたしが唯一知ってることは」

もう一度タバコを深く深く吸い込んで、ゆっくりと煙を吐き出した。

「依頼主は金髪の男性だったらしいわ」
「金髪の男性?」
「こんな物をオーダーメイドできる高貴な身分の、ね」
「それって……」
「これ以上は本当に知らないの。聞かされなかったのよ、わたしも。何だかんだ言っても愛されてたのね。今になって分かるなんて皮肉だわ」

お姉さんが何かを慈しむように、レジの横にあるランプにを撫でる。年季の入ったそれはきっとおとうさんかおじいちゃんが与えてくれたものだと思う。似た物をおじいちゃんのお店で見た気がする。

「さぁ、帰って。今日は少し……思い出に酔いたい気分なの」
「あの」

私が口を開くとリビアが腕を掴んだ。余計なことを言わずに帰るぞのサインだ。

「……お姉さん、ありがとう」

小さくお礼を言うと、お姉さんが哀しく笑った。その哀しみの笑みの意味が分からず、会釈で返す。

その日、お姉さんも亡くなった。

「お守役も大変ね」
「これも全てはあの人のため。すまんがお前には消えてもらう」
「やっぱり父の言った通りね。あの子は悪魔だわ」

死因は自殺だった。


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