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4話 敵対
しおりを挟むやはり人間にはなんの害もないらしく、すんなりと道の先へ進める。進めば進むほど嫌な圧を感じる。相当な強さの祓い屋がいると見える。でも、この近辺でそんなに強い祓い屋の話なんて聞いたことないけど…、考えを巡らせながら足場の悪い雑木林の砂利道を進んでいると、立派な門構えの和風の屋敷が現れる。瓦の敷き詰められた立派な門と白い壁はもはや武家屋敷の様でもある。
表札もインターホンもない。だが、手入れが行き届いているようで、落ち葉一つ置いていない。ペースを落として立ち止まり、上がった息を整えつつ辺りを見回す。ふと、微かだが血の匂いを感じた気がして風上へと再び走りだす。右手に山へと 上がっていく小道がある。おそらくその先だろう。滴り落ちる汗を素手で拭って、小道を駆け上がれば血の匂いがさらに強くなる。
まさかまさかまさか!!!!軽い気持ちで赤五郎を迎えに来たと言うのに!!
登りきる直前に石灯篭が両サイドに置いてある道をぬければ、そこにはテニスコート程の広さの白い砂利が敷き詰められた開けた場所が現れた。その中央に横たわっている赤鬼の姿と、冷たい目でそれを見下ろす白い着物姿の女の姿、年は27,8くらいだろうか、訪問着のような白っぽい着物には百合の柄があしらってある。
着物姿の女の顔は、無感情で人形のように整っており、髪は少しの乱れもなく一つに結い上げており、その女性の醸し出す雰囲気はこれだけ暑いというのに、うすら寒さすら感じさせる。
思わずその姿を食い入るように見つめていると、その女性がゆっくりと此方を見る。その無感情の目と合った瞬間、ゾワリと全身の毛が逆立つような感覚に襲われる。
何なんだこの人…本当に人間!?思わず一歩後ずさりそうになるが、その女性の足元の赤鬼の手がピクリと動いたその瞬間、白い着物の女性の手に真っ白な日本刀が現れる。マズイ!!!一瞬で察知して自身の術を発動した。
ガキィン!!!と言う金属のぶつかり合う音が広場に響く
「間一髪!!」
この女性の細腕に何でこんな力が!?と思うほど重たい一撃を、術で作り出した真っ赤な日本刀でそれを下から片膝をついて受け止めたものの、相手の力が強すぎてカタカタと刀が震えている。 ついでに言うと、術で瞬間的に赤鬼との場所をトレードしたため急に動かされた赤五郎のうめき声が後方で聞こえる。良かった…生きてた…。
「何故、あの鬼を助ける?」
不意に落ちて来た冷たい声、それと同時に刀の圧がさらに強くなり両手で刀を押しとどめようとするも徐々に押されて、膝が砂利に食い込んで非常に痛い!!!
「説明するので、まずは刀を下ろしてもらいたい」
そう答えれば、少しの間の後に女性は半歩後ろに下がって刀を下ろした。それを見て、深いため息をつきつつ立ち上がるが「いてててて…」と、思わず声が漏れる。
膝に食い込んだ砂利がポロリと落ちる。おかげさまで膝がボコボコ…。
女性の方を見れば、刀は手に持ったままだ。警戒を解く気はないようだ。仕方なしに、こちらも刀は手に持ったまま、その冷たい目を見据える。
「あの赤鬼の主人に、アレを連れ戻すように言われたんです。」
まぁ、主人と言うより父親ですけども…。
「あの赤鬼は式神だとでも?」
「そう言う事です。」
普通、式神かどうかなど契約者の当人同士しかわかりはしない。なので、手っ取り早く赤五郎をこの場から回収するにはそれが一番だろう。
「…………では、その主人に伝えてください。
己の式神くらい制御なさい。と…」
そこまで言うと、やっと刀を消して圧のあった気配が薄れる。
「確かにお伝えします。」
そう言って頭を下げると、自分の刀も消して小走りで赤五郎の元へと向かう。
「赤五郎!」
顔の横にしゃがみ込むが全身の火傷がかなり酷い。だが、流石は赤鬼総大将の息子だ。こうしている間にも皮膚の再生が少しずつだが進んでいる。
少しのうめき声の後、パチパチと目をしばたきながら驚いたように此方を見る赤五郎が弱々しく声をあげる。
「涼音か…、なんでお前がここに…」
「理由は後だよ、自分で動ける?」
そう問えば、う゛ぅぅぅぅと唸りながら金棒を使って起き上がるが、すぐに仰向けに倒れこんで息切れを起こしている。火傷の傷はさることながら左の脇腹に野球ボールほどの穴が開いている。出血はすでに止まっているようだが、再生にはまだ時間がかかりそうだ。
「仕方ない…赤五郎そのままでいて」
腰のポーチからあるったけの人型を取り出すと術を発動する。すると人型達は赤五郎の背中と地面の間へと潜り込んでいくと、一斉にその巨体を持ち上げる。と言っても手のひらに乗る人型サイズなので、地面との距離は非常に近いが白月の居るところに戻るまでだ。
「では、私はこれで失礼します。
大変お騒がせ致しました。
今度、改めてお詫びしに参ります。」
そう言って、深々と頭を下げると既に小道を下り始めた人型立を追おうとすると
「詫びの必要はありません。
……貴方は……いえ、やはり何でもありません。
結界を一時的に解いておきます。その間にお通りください。
それと、二度目はないとあの鬼の主人にお伝えください。」
その言葉に、再び一礼をすると今度こそ赤五郎の後を追った。
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