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私の求めるアイドルを作るまで
01 アイドル『不和ミドリ』
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黒部フネは近くの喫茶店で不和ミドリの事情を訊き――面倒だと思った。
アイドルグループ『エンジェリング』。今、最も人気の高いアイドルグループであり、不破ミドリはそのメンバーの一人。人気絶頂の彼女たちには何も心配することなどないように思えるが、それは真実ではない。
アイドルグループ『エンジェリング』――それは金原優子ありきのグループだからだ。
「……グループが解散したら、どうしようか」
「……はい」
不和ミドリは死にそうな顔をしていた。グループ解散はまだ先の話――恐らく、5年ぐらいだと不和ミドリは予想している。そして、それは案外間違いではない。
この頃、当の『エンジェリング』の看板である金原優子がアイドルから女優へと転身しようと考えていた。そして、その気持ちの方向性・目標を修正していることを黒部フネ――いや、美川恵美子は映像越しに気が付いていた。
――話があります、会社を退職する社員と同じ目をしていたからだ。寂しい気持ちはあったが、その夜に酒に誘い、どんちゃん騒ぎして景気よく送り出したものだと、想起する。
「あの、貴方は何者ですか?」
「……何者?」
黒部フネはコテン、と首を傾げてします。
「私、さっき貴方に会ったばかりなんですが――何と言いますか、オーラ? その女優さぽくて、さっきの発言も気になりましたので」
「……ああ」
――私なら、活かせる。
黒部フネは確かに、そう言った。
「勿体ないとは思う。あれは金原優子の一人勝ちグループで、グループが解散すればその他7人は、その他7人のモブとして片づけられる。少なくとも、私はそう思った」
「モブッ!?」
沈痛そうな表情をする不和ミドリ。
「……見返したいですか?」
「え?」
――余りピンと来ていない。
黒部フネは不和ミドリの混ざり気のない純朴な言葉に、優しい人間であることを知った。
普通なら――悔しい、どうしてあの子だけ、など嫉妬や憎しみに近い思いを金原優子に抱いてもいいはず。だが、不破ミドリはただ自分と戦っている。
他者ではなく、自分に目を向けている。
注意されたら素直に従うタイプだと、黒部フネは結論付ける。
「今のなしでお願い」
「はい!」
黒部フネは珈琲を口に含む。ブラックは苦手だが、頭にいい刺激を与えてくれる。
不和ミドリとの出会い――彼女は芸能界にコネクションを持っている。如何に細くとも、それだけで黒部フネの計画の大きなアシストの役割を果たしてくれる。
引き込む価値は高い。
それが、黒部フネにとっての不和ミドリに対する評価。元々、黒部フネの計画において人手は必要だ。
だが、大きなデメリットがある。
不和ミドリは『エンジェリング』の一人であることだ。自分の計画・創りたいものはゲームであり、アイドルではない。
不和ミドリという人間が欲しいが――アイドル『不和ミドリ』の存在が邪魔だ。
「……俳優、やってみる?」
アイドルグループ『エンジェリング』。今、最も人気の高いアイドルグループであり、不破ミドリはそのメンバーの一人。人気絶頂の彼女たちには何も心配することなどないように思えるが、それは真実ではない。
アイドルグループ『エンジェリング』――それは金原優子ありきのグループだからだ。
「……グループが解散したら、どうしようか」
「……はい」
不和ミドリは死にそうな顔をしていた。グループ解散はまだ先の話――恐らく、5年ぐらいだと不和ミドリは予想している。そして、それは案外間違いではない。
この頃、当の『エンジェリング』の看板である金原優子がアイドルから女優へと転身しようと考えていた。そして、その気持ちの方向性・目標を修正していることを黒部フネ――いや、美川恵美子は映像越しに気が付いていた。
――話があります、会社を退職する社員と同じ目をしていたからだ。寂しい気持ちはあったが、その夜に酒に誘い、どんちゃん騒ぎして景気よく送り出したものだと、想起する。
「あの、貴方は何者ですか?」
「……何者?」
黒部フネはコテン、と首を傾げてします。
「私、さっき貴方に会ったばかりなんですが――何と言いますか、オーラ? その女優さぽくて、さっきの発言も気になりましたので」
「……ああ」
――私なら、活かせる。
黒部フネは確かに、そう言った。
「勿体ないとは思う。あれは金原優子の一人勝ちグループで、グループが解散すればその他7人は、その他7人のモブとして片づけられる。少なくとも、私はそう思った」
「モブッ!?」
沈痛そうな表情をする不和ミドリ。
「……見返したいですか?」
「え?」
――余りピンと来ていない。
黒部フネは不和ミドリの混ざり気のない純朴な言葉に、優しい人間であることを知った。
普通なら――悔しい、どうしてあの子だけ、など嫉妬や憎しみに近い思いを金原優子に抱いてもいいはず。だが、不破ミドリはただ自分と戦っている。
他者ではなく、自分に目を向けている。
注意されたら素直に従うタイプだと、黒部フネは結論付ける。
「今のなしでお願い」
「はい!」
黒部フネは珈琲を口に含む。ブラックは苦手だが、頭にいい刺激を与えてくれる。
不和ミドリとの出会い――彼女は芸能界にコネクションを持っている。如何に細くとも、それだけで黒部フネの計画の大きなアシストの役割を果たしてくれる。
引き込む価値は高い。
それが、黒部フネにとっての不和ミドリに対する評価。元々、黒部フネの計画において人手は必要だ。
だが、大きなデメリットがある。
不和ミドリは『エンジェリング』の一人であることだ。自分の計画・創りたいものはゲームであり、アイドルではない。
不和ミドリという人間が欲しいが――アイドル『不和ミドリ』の存在が邪魔だ。
「……俳優、やってみる?」
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