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なぜそこに入れたのか
しおりを挟む昔々、あるところに竹を切って生計をたてるおじいさんがいました。
ある日、おじいさんはいつものように家の近くにある竹林へ竹を切りに来ていました。
「今日中に……はぁ、はぁ……なんとか……ふぅ……ノルマは終わるかの……」
例え昔の話だとしても、例え田舎だとしても、生活するためにお金は必要でしょう。おじいさんは切った竹を加工業者に売ることで細々と暮らしていました。
「さて、そろそろ帰るか……」
途中で休憩を挟みつつ、必死で竹を切ること既に数時間。辺りは既に薄暗くなってきていました。
おじいさんは今年で83歳、体のあちこちにガタがきています。腰痛に悩み、精力は消え果て、筋力だって落ちています。
特に、小さい頃からの近視は年と共にひどさを増し、おじいさんはこの仕事をすることに限界を感じていました。
つまり、仕方がないのです。
すぐ近くに、一部分がぼんやりと光る竹があることに気がつかなくても。
「……年金がもう三万ぐらい増えればのぉ……」
おじいさんはそんなことを呟きながら、1人帰路につきました。
「おじいさぁぁぁぁん!! 私お金あるよぉぉぉぉ!!」
ここは光る竹の中。硬い壁を拳で叩きながら小さな少女が叫んでいた。
「ここから出してくれたら、いっぱいお金あげるからぁぁぁ!!」
おじいさんが通り過ぎてもひたすら叫び続ける少女。しかしその声は段々と枯れ、小さくなっていく。
「ウソでしょ……こんな所に閉じ込めるなんて……」
少女はがっくりと肩を落とし、上を見上げた。
「このまま死ぬの……? ううん、それは絶対に嫌。せっかくあの家から逃げてこれたんだもの、必ず幸せになってやるわ」
よし、と気を持ち直し、少女は立ち上がった。
きっとおじいさんはまた竹を切りに来る。その時にまた叫んだら、いつかは気づいてくれるはず。
少女はそう考えていた。
おじいさんは次の朝、布団で冷たくなっていた。
死因は詳しくは分からない。医療なんてほとんど発達していない時代。「年だから」死んだ、それで終わりだ。
さらにそこから一週間後、おじいさんを訪ねてきた知り合いに発見され、村の人達に丁重に葬られた。
竹の中の少女はその後どうなったのか、誰一人として知る者はいない。
出られたのか、まだ叫んでいるのか、もしくは……
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