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あみだくじ 後編
しおりを挟む喉が震える……背中を冷たい汗が流れる……だんだん吐き気も……
「いや何緊張してんだよ。もうすぐ5分終わっちまうぞ」
「だって……」
僕の猫のマネに何の需要があるだろうか…
「山田君の気分を害する可能性があるからやめておこうかな?」
「やらない方が害してる。早く」
机の下にある山田君の手がグーを作った。これ以上下手に逆らうと後が恐そうだ……
「……ゃあ」
「ん? 聞こえねえぞ」
絞り出すように発した単語は、ニヤニヤしながら一蹴されてしまう。
「……にゃあ」
きっと今、僕の顔はタコみたいに真っ赤になっているだろう。
「お、おぉ……」
「言わせた本人が引くのやめてくれない? ……にゃあ」
なぜか山田君まで顔を赤くしている。もしかしてあれか、猫感が足りないのか……
こうなったらとことんやってやる。
「山田君、顔が赤いにゃあ」
「うるせぇ、気持ち悪くて吐くのこらえてんだよ」
「本当かにゃあ?」
猫のように山田君にすり寄り、手を額に当ててみる。
「うーん……熱はなさそうだにゃ」
「ば、お前!! バカじゃ――!?」
驚いたのか、大声を上げようとした山田君の口を、僕の人差し指が優しく押さえる。
「――!?」
山田君の顔がみるみる赤く染まっていく。
「授業中は……静かにだにゃ」
「お前ら何やってんだ?」
突然前から声をかけられる。僕と山田君が同時に声のする方を向くと、目の前に呆れた顔をした先生が立っていた。
改めて周囲を見てみれば、クラスのほとんどの子達が僕達を見てクスクス笑っていた。
「こいつが勝手に猫のマネ始めたんです」
「あ……ごめんなさい……?」
咄嗟に謝りはしたが、これ悪いの僕じゃないだろう。
「まったく……」と先生が離れていったのを見てから、隣に視線を移す。既に山田君は机に突っ伏して夢の中のようだった。
「もう……」
悔しい反面、先生に見つかった以上あみだくじを続けることはないだろうと考えれば、僕の猫マネは無駄じゃなかったはずだ。
教科書に目を落とし、今どこが読まれているのかを探す。
「ちくしょう……可愛すぎか……」
どこかで呟かれたその言葉は、誰の耳にも入ることはなかった。
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