【完結済】キズモノオメガの幸せの見つけ方~番のいる俺がアイツを愛することなんて許されない~

つきよの

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あんなに傷つけたのに……どうして俺に

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 身体の異変は怠さくらいしか感じないが、どうやらここに連れて来られたときには熱があったようだ。

 東谷は俺のおでこに、わざわざ冷却シートを貼ってくれたらしい。

 それだけでなく、部屋に備え付けのナイトウェアにまで着替えさせてくれていた。

 しかも、ご丁寧に袖の余った部分は折り畳んであった。

(ほんと、なんていうか……)

 三年前と変わらない東谷の優しさで胸がいっぱいになり、思わず笑みが溢れてしまう。

 俺は剥がれ落ちた冷却シートを、おでこにそっと貼り直した。

(あっ……!)

 ふと思い出したように俺は不安に駆られ、慌てて首元に手を当てた。

(よかった。こっちは剝がれてない)

 番の噛み痕を隠すための絆創膏がそのままになっていることに、俺はそっと安堵した。

 だが、すぐに意味がないことを思い出し、静かに心の中で深い溜め息をついた。

(いや。もう何もかも東谷には知られているのに、いまさら噛み痕隠しても意味がないだろ……)

『それは……番のところに、ですか?』

(ずっと忘れて……いや、逃げていたのに……)

 俺の、嘘で固められた汚いところ。

 なにもかも全部、東谷に知られてしまった三年前のあの日から、俺はずっと逃げていた。

(なぁ、東谷……。お前はなんのために戻ってきたんだ? 仕事のため、なんだよな? 俺のことなんて忘れてたんだろ? あんなに傷つけたのに……どうして俺にこんな、優しくするんだ……?)

 答えの返ってこない質問を、俺は東谷の寝顔を見つめながら、そっと心の中で問いかけた。
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