【完結済】キズモノオメガの幸せの見つけ方~番のいる俺がアイツを愛することなんて許されない~

つきよの

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俺への嫌がらせにするつもりだったのか?

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 サボったと責められ、本当はアフターピルの副作用のせいで調子が悪くなったからだと言い返したかった。

 だが、言い返したところで何も生まれないと思い、俺は言葉を飲み込んだ。

「だいたい、昨日はお前が調子悪いって言うから、俺は気を遣って早く帰してやったよな?」

(帰してやった? やることやって、置いていっただけだろ)

「……。そうだね……」

「なんだよ? プレゼンの準備遅らせて、俺への嫌がらせにするつもりだったのか?」

「だから、そういうわけじゃ……」

 このままでは埒が明かない上に、誰かに見られてしまうかもしれない。

 そう思った俺は、仕方なく廊下を見回して、空いている会議室がないか探した。

 だが目に飛び込んできたのは、一緒にいるところを俺が一番見られたくない相手だった。

「あっ! いたいた、勇利先輩。お昼これからですか?」

「あ、東谷っ……」

 コンビニのビニール袋を片手に持った東谷が、俺を見つけて手を振ると、嬉しそうに笑顔で駆け寄ってきた。

(まずい、見られた……)

 そんな東谷の笑顔とは裏腹に、番である将人といるところを見られてしまった俺は焦り、将人から一歩離れ俯いてしまう。

(落ち着け……。将人が俺の番だってこと、東谷が知っているはずがないんだから)

 そう自分に言い聞かせ、俺は速まる心臓の音を必死に落ち着かせた。
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