上 下
22 / 179

15-8

しおりを挟む
「えっ!」

 あまりに唐突な相良の言葉に璃玖は慌てて心配になり、周りに聞こえていなかったキョロキョロしてしまう。

「ふっ、驚いたか?」

「な、なんでそんな大事なことを僕に……」

「さあ、なんでだろうなー。きっと……お前たちが羨ましかったのかな」

「羨ましかった?」

「そう……。俺も、隣にいたかったヤツがいたんだけどな……。隣にいるわけにはいかなかったんだ。けど、俺は自分の選択を間違えたとは思っていない。アイドルを諦めたのも、後悔はしていない。ただ、アイツには恨まれているかもしれないけどな……」

 相良の見つめる先には、研修生に囲まれた聖がいた。

「その人って……」

「だからかな。なんかお前のこと放っておけないんだよな。昔の自分見ているみたいで。まぁ、困ったことがあったら何でも相談しろよ」

 相良は笑いながら、いつもの調子で璃玖の背中をポンっと叩いた。

 璃玖は詳しく聞きたい気持ちがあったが、聖を見つめる相良は、笑っていながらも目はどこか寂しげで、今の璃玖にはそれ以上詳しく聞く勇気がなかった。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪役令息の義姉となりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21,066pt お気に入り:1,518

【完結】ぎゅって抱っこして

BL / 完結 24h.ポイント:674pt お気に入り:1,486

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:143,641pt お気に入り:8,005

【完結】義姉の言いなりとなる貴方など要りません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:866pt お気に入り:3,541

処理中です...