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「僕に託されたんだ……」

「託した……? じゃあ、榛名さんは……もう……」

「亡くなったんだ。五年前に……」

(亡くなった……)

 璃玖はその言葉に胸が締め付けられた。

 璃玖の祖父、浩二朗が亡くなってから一年ほどになるが、いることが当たり前だった人がいなくなることは、辛いや寂しいという言葉だけでは表現できない気持ちだということを璃玖自身もわかっていた。

「五年前って……。じゃあ、相良先生が退所してすぐってことですか?」

「うん……。あっという間だったよ。そして榛名さんが亡くなった後に、あの書きかけの歌詞が僕宛てに届いたんだ」

「歌詞だけがですか……?」

「あと……短い手紙もね」

「手紙……。そこには、なんて書いてあったんですか?」

「……。大事なものを奪ってごめん。自分の代わりに、この歌詞の続きを作って彼に届けて欲しい……ってさ」

「……」

「勝手だよね」

 聖は抑揚なく淡々と話しており、感情のない冷たい言葉のように聞こえた。

 目を腕で覆ってしまっているため表情はわからなかったが、璃玖には聖が辛そうに話しているように見え、冷たく聞こえてしまうのは本当の感情を隠そうとしているからだろうと璃玖は感じ取った。

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