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元気づけたい!!
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城下町から帰ってきてからの俺の目標はステラの”寂しい”という目をどうにかしたいということだった。
あの日の後から何度か一緒に城下町に出た。
そこで気づいたがステラのあの目は人の絆を見た時によくしている気がした。
特に親子とか兄弟を見ている時のステラの目はまるで眩しいものをみるかのように細められる。
でもその奥にあるのはハイライトが消えてしまった暗い暗いものだった。
原因はわかってるけどどう慰めたらいいかわからないまま日々は過ぎていく。
このままだとどうしてもいけない気がした。
物語ではアルルに出会ってから少しずつ傷を癒やされていくのだけれどアルルが治癒師として現れるのはまだまだ先なのだ。
探しにいってみるか?とも考えたがアルルを連れてきたとしても光魔法に目覚めてないので父上になんと説明すればいいかわからない。
何度かステラに探りを入れてもかわされてしまう。
どうしようかと悩んでいると近くで紅茶を準備していたサラに遠慮がちに声をかけられた。
ちなみにサラは今では結構仲が深まり信頼できるメイドの1人になっている。
「リリウム様、どうかされましたか?何かお悩みのようでしたら私でよかったらお話しくださいね。」
「あぁ。ありがとう。ちなみにステラは今何をしているんだ?」
「ステラ様ですね。ステラ様はカルウスさんの監視のもと魔法と剣術のレッスンの方に行かれました。」
「そうなのか。カルウスがいれば安心だな。」
ステラは基本は俺と一緒にいるが最近は毎時間ではなくなった。
まだステラも15歳なのだ。学ぶことも鍛えることもまだまだあるのだ。
だから最近はカルウスの監視の元でさまざまなレッスンを受けに行っている。
本当は最初は俺と一緒に受ける予定だったんだがステラの方が俺よりも格段に全ての技術が優秀だったので個別で受けている。
俺も優秀のつもりだったがさすがは推し。
スペックの差が凄すぎる。
負けてはいられないが相変わらずかっこよすぎてため息が出る。
カルウスとレッスンに出かけているということは当分は戻ってこないだろう。
推しのことを1人でぐだぐだ考えていても仕方ないだろう。
聞いてみるか。
「その、サラ。最近ステラに元気がないように感じて、元気づけるにはどうすればいいんだろうと悩んでたんだ。」
寂しい目と言っても話しづらいので抽象化して言ってみた。
「ステラ様ですか、、。
そうですねぇ、、。あ、そういえば使用人の間では新しい使用人が入ってきた時歓迎会を開くんです。
ステラ様の歓迎会を開くのはどうですか?」
歓迎会か、、いいかもしれない。
やってみる価値があるだろう。
親子や兄弟の絆は無理でも使用人や俺との間だって絆があるだろう。
その絆を繋ぐことができればステラの寂しいという目も、人工的な笑顔も変わるかもしれない。
そして円満契約解消にも繋がりそうだ。
「いいな!それ。やってみようか。ステラにはサプライズにしよう。」
サプライズとはいったもののステラは基本的に俺と一緒にいるのでサプライズは容易ではない。
かといって王宮を監視なしでは歩かせられない。
まだ契約をしていない以上危ないからだ。
そしてステラは諜者として潜り込んでいるしな。
そこで俺はある案を出した。
ステラがレッスンから帰ってくる。
「ステラ待っていたぞ!」
俺はこほん。とわざとらしく咳をして厳かに言う。
「ステラに奴隷としての初めての命令を出そうと思う。ステラ、明日から一週間孤児院の方に視察に行ってくれ。」
ステラの笑顔が少し崩れる。突然何を言っているかわからないという感じだ。
「ステラ、初めての命令なんだ。受けってくれないのか??」
俺はステラを一生懸命下から見上げた。
ステラはわずかに目を開いたあとにまた笑顔で答えた。
「いえ、もちろん受け取りますよ。ご主人様。明日からですね。分かりました。」
よし、うまくいった!これでステラは王宮内から出るから歓迎会の準備ができる!
「なんだか嬉しそうですね。ご主人様。私はご主人様の”会いたかった人”ではなかったのですか?」
いつもの笑顔が少し深まる。
疑われているのだろうか?
「うっ、いやそれはその、その魔法石は偽物という話だっただろう、、?」
「そうでしたね。すいません。」
「いや、いいんだ。あと別に嬉しいわけではないぞ。ステラがもしちゃんと視察できたらご褒美となるものがあるんだ。」
歓迎会のことなんだけどね。
「そうなんですね。それは楽しみです。」
次の日ステラは孤児院に出発した。
なぜ孤児院に行かせたかというと単純に王宮を出ていって欲しかったからではない。
ちゃんと作戦の上でのことだ。
ステラはたぶん子供好きだと思う。
本人も気づいてないかも知れないが子供を見る時の視線は心なしか優しい。
子供と戯れてそこでも色々な絆を作って元気づけたかった。
そして孤児院なら父上への許可も要らなかったのだ。
元々俺がいくべきだった仕事をステラに変えただけだからだ。
一応俺ではなくステラが行くとはさっき報告書を出したが、その紙を見たかはわからない。
まあ、父上は俺に興味がないので大丈夫だろう。
そういうことで、今推しがいないのは大変大変悲しいのだが、
この一週間がチャンスなのだ!
絶対に歓迎会を成功させたい!
俺は意気込んでその日の内に町の本屋から
『歓迎会を成功させる10の方法』や
『大事な人を喜ばせる方法100選』などといった本をいっぱい買ってきた。
これでサラや他の使用人と手を合わせればきっと成功するはずである。
頑張るぞーー!!!
俺はワクワクしていた。
ーーーーーーー
カルウスはステラについていっちゃいました!監視人になってますね。
少しずつ読んでいただける人が増えてびっくりしています。
ありがとうございます。💞
来週から忙しくなってしまい、一話更新となる日があるかも知れません。
ですが引き続き読んでくださると嬉しいです。
あの日の後から何度か一緒に城下町に出た。
そこで気づいたがステラのあの目は人の絆を見た時によくしている気がした。
特に親子とか兄弟を見ている時のステラの目はまるで眩しいものをみるかのように細められる。
でもその奥にあるのはハイライトが消えてしまった暗い暗いものだった。
原因はわかってるけどどう慰めたらいいかわからないまま日々は過ぎていく。
このままだとどうしてもいけない気がした。
物語ではアルルに出会ってから少しずつ傷を癒やされていくのだけれどアルルが治癒師として現れるのはまだまだ先なのだ。
探しにいってみるか?とも考えたがアルルを連れてきたとしても光魔法に目覚めてないので父上になんと説明すればいいかわからない。
何度かステラに探りを入れてもかわされてしまう。
どうしようかと悩んでいると近くで紅茶を準備していたサラに遠慮がちに声をかけられた。
ちなみにサラは今では結構仲が深まり信頼できるメイドの1人になっている。
「リリウム様、どうかされましたか?何かお悩みのようでしたら私でよかったらお話しくださいね。」
「あぁ。ありがとう。ちなみにステラは今何をしているんだ?」
「ステラ様ですね。ステラ様はカルウスさんの監視のもと魔法と剣術のレッスンの方に行かれました。」
「そうなのか。カルウスがいれば安心だな。」
ステラは基本は俺と一緒にいるが最近は毎時間ではなくなった。
まだステラも15歳なのだ。学ぶことも鍛えることもまだまだあるのだ。
だから最近はカルウスの監視の元でさまざまなレッスンを受けに行っている。
本当は最初は俺と一緒に受ける予定だったんだがステラの方が俺よりも格段に全ての技術が優秀だったので個別で受けている。
俺も優秀のつもりだったがさすがは推し。
スペックの差が凄すぎる。
負けてはいられないが相変わらずかっこよすぎてため息が出る。
カルウスとレッスンに出かけているということは当分は戻ってこないだろう。
推しのことを1人でぐだぐだ考えていても仕方ないだろう。
聞いてみるか。
「その、サラ。最近ステラに元気がないように感じて、元気づけるにはどうすればいいんだろうと悩んでたんだ。」
寂しい目と言っても話しづらいので抽象化して言ってみた。
「ステラ様ですか、、。
そうですねぇ、、。あ、そういえば使用人の間では新しい使用人が入ってきた時歓迎会を開くんです。
ステラ様の歓迎会を開くのはどうですか?」
歓迎会か、、いいかもしれない。
やってみる価値があるだろう。
親子や兄弟の絆は無理でも使用人や俺との間だって絆があるだろう。
その絆を繋ぐことができればステラの寂しいという目も、人工的な笑顔も変わるかもしれない。
そして円満契約解消にも繋がりそうだ。
「いいな!それ。やってみようか。ステラにはサプライズにしよう。」
サプライズとはいったもののステラは基本的に俺と一緒にいるのでサプライズは容易ではない。
かといって王宮を監視なしでは歩かせられない。
まだ契約をしていない以上危ないからだ。
そしてステラは諜者として潜り込んでいるしな。
そこで俺はある案を出した。
ステラがレッスンから帰ってくる。
「ステラ待っていたぞ!」
俺はこほん。とわざとらしく咳をして厳かに言う。
「ステラに奴隷としての初めての命令を出そうと思う。ステラ、明日から一週間孤児院の方に視察に行ってくれ。」
ステラの笑顔が少し崩れる。突然何を言っているかわからないという感じだ。
「ステラ、初めての命令なんだ。受けってくれないのか??」
俺はステラを一生懸命下から見上げた。
ステラはわずかに目を開いたあとにまた笑顔で答えた。
「いえ、もちろん受け取りますよ。ご主人様。明日からですね。分かりました。」
よし、うまくいった!これでステラは王宮内から出るから歓迎会の準備ができる!
「なんだか嬉しそうですね。ご主人様。私はご主人様の”会いたかった人”ではなかったのですか?」
いつもの笑顔が少し深まる。
疑われているのだろうか?
「うっ、いやそれはその、その魔法石は偽物という話だっただろう、、?」
「そうでしたね。すいません。」
「いや、いいんだ。あと別に嬉しいわけではないぞ。ステラがもしちゃんと視察できたらご褒美となるものがあるんだ。」
歓迎会のことなんだけどね。
「そうなんですね。それは楽しみです。」
次の日ステラは孤児院に出発した。
なぜ孤児院に行かせたかというと単純に王宮を出ていって欲しかったからではない。
ちゃんと作戦の上でのことだ。
ステラはたぶん子供好きだと思う。
本人も気づいてないかも知れないが子供を見る時の視線は心なしか優しい。
子供と戯れてそこでも色々な絆を作って元気づけたかった。
そして孤児院なら父上への許可も要らなかったのだ。
元々俺がいくべきだった仕事をステラに変えただけだからだ。
一応俺ではなくステラが行くとはさっき報告書を出したが、その紙を見たかはわからない。
まあ、父上は俺に興味がないので大丈夫だろう。
そういうことで、今推しがいないのは大変大変悲しいのだが、
この一週間がチャンスなのだ!
絶対に歓迎会を成功させたい!
俺は意気込んでその日の内に町の本屋から
『歓迎会を成功させる10の方法』や
『大事な人を喜ばせる方法100選』などといった本をいっぱい買ってきた。
これでサラや他の使用人と手を合わせればきっと成功するはずである。
頑張るぞーー!!!
俺はワクワクしていた。
ーーーーーーー
カルウスはステラについていっちゃいました!監視人になってますね。
少しずつ読んでいただける人が増えてびっくりしています。
ありがとうございます。💞
来週から忙しくなってしまい、一話更新となる日があるかも知れません。
ですが引き続き読んでくださると嬉しいです。
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