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016 森の南の都市(3)
マルス達は地図に無い坑道を進んでいった。
外はすっかり夜になっていた。
「ねえー、少し休まない?」
ルシアが言ったが、マルスは急いでいた。
「大蛇の魔獣、あれは誰かに使役されていたのです」
「魔獣を操るなんて、普通の人間に出来るわけがない、おそらく魔族が操っていたのです」
マルスが言うと、ヨハンがつぶやいた。
「魔族……」
「前に、ヨハンに魔獣は自然発生すると言いましたが、では人はどうして魔人になるのか、知っていますか?」
マルスが言う、ヨハンが答えた。
「サンリみたいに闇の魔法を使っていると、魔人になってしまうんだろう」
「そうです。魔人も自然発生する場合もありますが、たいていは闇の魔力の魔法を使っているからです。闇の魔力を使い続けると精神が破壊され、人格が壊れてしまう。そうなった人を魔人と呼んでいます」
マルスは話を続ける。
「ところが、闇の魔力を使い続けても精神が正常なままの者がいる。なぜまともでいられるのか分かりませんが、その者達を魔族と呼んでいます」
「森の周辺の町の事件には、おそらく魔族が関わっています。嫌な予感がします。先を急ぎましょう」
話をしながら進んでいると、坑道から人工的に整備されたトンネルのような所に出た。
下には水が流れていた。
「これは、地下水道……」
ルシアが言うと、マルスも言った。
「南の都市の地下水道、坑道とつながっていた……。ここは既に都市の中……」
◆◇◆◇
マルス達が坑道を進んでいた、ちょうどその頃、森の西の町にある領主の館。
その一室でモニカが事務作業をしていた。
モニカはサンリをアルバス機関の本部に送り届けた後、西の町に戻っていた。
サンリの事件の後始末も大体終わり、モニカは報告書を書いていた。
休息しようと手を止めて、窓の外の庭を見た。
その庭はマルス達がサンリと戦った庭とは別のいわゆる裏庭だった。
マルス達が戦った美しい中庭とは違い、あまり手入れされていないのか草木が鬱蒼としていた。
モニカはふと庭の傍らにある物置小屋に目が止まった。
なんとなくだが、その小屋が庭の風景と比べて立派すぎると思った。
サンリの事件の後、その小屋も人に調べさせてあるが何もおかしなことはなかった。
しかし、モニカは気になったので、その小屋まで行ってみることにした。
小屋に入ると、掃除道具などが置かれていた。
無造作に置かれている掃除道具に比べると、床がきれいなのが気になった。
モニカは掃除道具をどけると、持っていた剣で床を叩いて調べていった。
すると、小屋の隅で床の音が違った。
調べると床の一部が隠し扉となっており、開けると地下へと続く階段があった。
階段を下りてみると、広い空間があった。
「これは倉庫、いや避難所……、領主はこんな地下室があることは言っていなかったが……」
整備された地下室であったが、モニカはその床にある物に目がとまった。
同じ時、マルス達は地下水道を通って広い場所に出た。
そこも、避難所のような礼拝堂のような広い地下室だった。
マルスもまた床にある物に目がとまった。
(普通の人には見えないように巧妙に隠されているが、魔方陣が描かれている!)
それは転送の魔法陣だった。
モニカが思ったとき、魔方陣が光り、光の中から魔族のブルクが現れた。
モニカは魔族が現れたのを見て驚いたが、魔族の圧倒的な闇の魔力に動けないでいた。
ブルクもモニカがここにいるのを見て、驚いて言った。
「あなたは勇者の仲間の類いですか?」
モニカは身構えた。
「一歩遅かったですね」
ブルクは更に言うと、魔方陣に手をかざし魔力を注いだ。
すると魔方陣が光り、幾多の魔獣が現れた。
魔獣達はモニカを無視して、天井を突き破り、地下から町に流れていった。
モニカは崩れる天井のがれきを避けるのが精一杯だった。
ブルクは魔方陣から現れた鳥の魔獣の背に乗りながら、モニカに言った。
「また、どこかでお会いしましょう」
ブルクはそう言うと、鳥の魔獣に乗って飛んでいった。
モニカがブルクと接触した同じ時、森の北の町、東の町でも同様の事が起きていた。
森の北の町では、旅芸人が芸を披露していた場所の地下から、魔族のヴァルトが現れた。
ヴァルトも魔獣を召喚し、町に解き放った。
そして、飛空の魔法で自ら飛んで行った。
森の東の町では、女にそそのかされた商人の息子が所有する倉庫の中から、ディアナが現れた。
ディアナも同じく魔獣を召喚すると、飛空の魔法で飛んで行った。
そして、森の南の都市ではマルス達の目の前で、魔方陣が光り、魔族が現れた。
大剣を背負った魔族だった。
名をジークという。
マルス達も魔族の莫大な闇の魔力に驚いた。
ジークはマルス達を一瞥すると、無視して魔方陣に手をかざした。
しかし、ヨハンの剣を見とどめて言った。
「お前も剣士か?」
マルス達は身構えて、ジークに打ちかかろうとした。
「今はお前達の相手にしている暇は無いんでね。また今度相手してやるよ」
魔方陣が光り、幾多の魔獣が現れた。
魔獣達は天井を突き破り、町に流れていった。
ジークはブルクと同じく鳥の魔獣に乗り飛んで行った。
マルスは崩れる天井のがれきを避けると、地上に出た。
そこは町の中心地で、広場のあるところだった。
広場の下にある地下室だった。
マルスはあたりを見渡すと、魔獣達が町人を襲っていた。
外はすっかり夜になっていた。
「ねえー、少し休まない?」
ルシアが言ったが、マルスは急いでいた。
「大蛇の魔獣、あれは誰かに使役されていたのです」
「魔獣を操るなんて、普通の人間に出来るわけがない、おそらく魔族が操っていたのです」
マルスが言うと、ヨハンがつぶやいた。
「魔族……」
「前に、ヨハンに魔獣は自然発生すると言いましたが、では人はどうして魔人になるのか、知っていますか?」
マルスが言う、ヨハンが答えた。
「サンリみたいに闇の魔法を使っていると、魔人になってしまうんだろう」
「そうです。魔人も自然発生する場合もありますが、たいていは闇の魔力の魔法を使っているからです。闇の魔力を使い続けると精神が破壊され、人格が壊れてしまう。そうなった人を魔人と呼んでいます」
マルスは話を続ける。
「ところが、闇の魔力を使い続けても精神が正常なままの者がいる。なぜまともでいられるのか分かりませんが、その者達を魔族と呼んでいます」
「森の周辺の町の事件には、おそらく魔族が関わっています。嫌な予感がします。先を急ぎましょう」
話をしながら進んでいると、坑道から人工的に整備されたトンネルのような所に出た。
下には水が流れていた。
「これは、地下水道……」
ルシアが言うと、マルスも言った。
「南の都市の地下水道、坑道とつながっていた……。ここは既に都市の中……」
◆◇◆◇
マルス達が坑道を進んでいた、ちょうどその頃、森の西の町にある領主の館。
その一室でモニカが事務作業をしていた。
モニカはサンリをアルバス機関の本部に送り届けた後、西の町に戻っていた。
サンリの事件の後始末も大体終わり、モニカは報告書を書いていた。
休息しようと手を止めて、窓の外の庭を見た。
その庭はマルス達がサンリと戦った庭とは別のいわゆる裏庭だった。
マルス達が戦った美しい中庭とは違い、あまり手入れされていないのか草木が鬱蒼としていた。
モニカはふと庭の傍らにある物置小屋に目が止まった。
なんとなくだが、その小屋が庭の風景と比べて立派すぎると思った。
サンリの事件の後、その小屋も人に調べさせてあるが何もおかしなことはなかった。
しかし、モニカは気になったので、その小屋まで行ってみることにした。
小屋に入ると、掃除道具などが置かれていた。
無造作に置かれている掃除道具に比べると、床がきれいなのが気になった。
モニカは掃除道具をどけると、持っていた剣で床を叩いて調べていった。
すると、小屋の隅で床の音が違った。
調べると床の一部が隠し扉となっており、開けると地下へと続く階段があった。
階段を下りてみると、広い空間があった。
「これは倉庫、いや避難所……、領主はこんな地下室があることは言っていなかったが……」
整備された地下室であったが、モニカはその床にある物に目がとまった。
同じ時、マルス達は地下水道を通って広い場所に出た。
そこも、避難所のような礼拝堂のような広い地下室だった。
マルスもまた床にある物に目がとまった。
(普通の人には見えないように巧妙に隠されているが、魔方陣が描かれている!)
それは転送の魔法陣だった。
モニカが思ったとき、魔方陣が光り、光の中から魔族のブルクが現れた。
モニカは魔族が現れたのを見て驚いたが、魔族の圧倒的な闇の魔力に動けないでいた。
ブルクもモニカがここにいるのを見て、驚いて言った。
「あなたは勇者の仲間の類いですか?」
モニカは身構えた。
「一歩遅かったですね」
ブルクは更に言うと、魔方陣に手をかざし魔力を注いだ。
すると魔方陣が光り、幾多の魔獣が現れた。
魔獣達はモニカを無視して、天井を突き破り、地下から町に流れていった。
モニカは崩れる天井のがれきを避けるのが精一杯だった。
ブルクは魔方陣から現れた鳥の魔獣の背に乗りながら、モニカに言った。
「また、どこかでお会いしましょう」
ブルクはそう言うと、鳥の魔獣に乗って飛んでいった。
モニカがブルクと接触した同じ時、森の北の町、東の町でも同様の事が起きていた。
森の北の町では、旅芸人が芸を披露していた場所の地下から、魔族のヴァルトが現れた。
ヴァルトも魔獣を召喚し、町に解き放った。
そして、飛空の魔法で自ら飛んで行った。
森の東の町では、女にそそのかされた商人の息子が所有する倉庫の中から、ディアナが現れた。
ディアナも同じく魔獣を召喚すると、飛空の魔法で飛んで行った。
そして、森の南の都市ではマルス達の目の前で、魔方陣が光り、魔族が現れた。
大剣を背負った魔族だった。
名をジークという。
マルス達も魔族の莫大な闇の魔力に驚いた。
ジークはマルス達を一瞥すると、無視して魔方陣に手をかざした。
しかし、ヨハンの剣を見とどめて言った。
「お前も剣士か?」
マルス達は身構えて、ジークに打ちかかろうとした。
「今はお前達の相手にしている暇は無いんでね。また今度相手してやるよ」
魔方陣が光り、幾多の魔獣が現れた。
魔獣達は天井を突き破り、町に流れていった。
ジークはブルクと同じく鳥の魔獣に乗り飛んで行った。
マルスは崩れる天井のがれきを避けると、地上に出た。
そこは町の中心地で、広場のあるところだった。
広場の下にある地下室だった。
マルスはあたりを見渡すと、魔獣達が町人を襲っていた。
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