逃げれるか?俺

★エリィ★

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あんなことがあったが、環とは会うが、お互いに試験勉強や仕事で忙しく、生徒会のことについて話すだけだった。
あっという間に冬休みになった。その間に、環からは学校の用事以外での連絡がない。学校でも、告白のことについて話すこともない。
何もないことはいいことのはずなのに…。このモヤモヤとする気持ちはなんだろう。
あれほど俺に離さないと言っていたはずなのに、放置されている現状。自分の気持ちがわからない。

結局、年明けに「あけましておめでとう」と連絡がきただけで、他には何もない。

イライラしていて、夜の街を徘徊していたのは、ダメだった。いつも以上に目つきが悪く、絡まれる頻度が上昇した。そのせいで余計にイライラしてといった悪循環に陥っていた。
そんな中、またうちの生徒が絡まれているのが視界に入った。イライラしていてもさすがに見て見ぬふりはできないために、助けに入って驚いた。後姿だったのとマフラーでわからなかったのだが、環だったのだ。
言いたいことはあるが、とりあえず目の前の絡んできたやつらをどうにかしてからだ。
丁重にお帰り頂いた後(ストレス解消に強く腹を殴ったが)、環の方を振り向いた。俺的には、気まずいのだが、沈黙が苦しい。

「あの、またマサくんに助けてもらっちゃったね。ありがとう」
と照れたようにマフラーで顔を隠しながら言われた。
「いや…」
俺、他に言う言葉があるだろ。でも、何を言っていいのかわからない。というか何を俺は言いたかったんだろう。
「連絡できなくて、ごめんね。ちょっと実家の方が忙しくて」
「…なんかあったんですか?」
「うーん、僕は特にはないんだけど、古い家だから、お正月はいつも忙しいんだよね。それに、今年は、兄の婚約もあるから、特に親戚同士の顔見せで忙しかったかな」
「お兄さんいるんですね?」
「うん7歳上にね。優秀な兄だから、両親は僕にも兄のように頑張れ、とね」
寂しそうに両親について話している環を見たくなくて俺は、環を抱きしめた。
「えっ?マサくん、どうしたの?」
腕の中で環は俺から離れようともがいていたが、強く抱き締めたら、抵抗をやめた。そっと環も腕を俺の背に回して抱き締め返してくれた。

抱き締めながら、俺は自分の行動について考えた。環の悲しそうな顔は、寂しそうな顔は見たくない、と思う。
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