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第一部
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刹那、耳が痛いほどの静寂に包まれた。
…………あれ、今、何て言ってた?
あの事件……? …………あのって、一体何のことだ。
「…………お前、あんなことがあったのに忘れたのか?」
アランは訝しげな声を出す。
あれ? 本当に何のことだ。覚えていないって、どうでもよかったことなのかもしれないが……まずい、早いところ思い出さなくては……。
そうしなければ、生徒会長の怒号が飛んできそうだ。
「その……新入生歓迎会の最中に起こったことなんだが……覚えていないか?」
「…………あ、あぁ。あのことか」
ディランの言葉によって、生徒会長が何について話していたのか気付く。
そういえばそんなこともあったなぁ。
フレディではなく、自分に対しての出来事だったため、エリオットはどうでもいいやと記憶から抹消していたのであった。
「……あのことかって、随分のんきな奴だな。下手すれば命を落としていたかもしれないというのに」
いや、あの時生徒会長が後を追いかけてこなくても一人で対処出来たのだが……。
というか、俺より生徒会長の方が危なかったんじゃないか? 浮遊魔法を発動せずに、ロープのような魔道具一つでどうにかしようとするとか……命知らずな人だな。
前世の時代では魔道具というものは殆ど発展しておらず、全ては己の魔法でどうにかしていたから今世と少し感覚が違うのだろう。
……俺も、何か一つくらい持っておくべきか?
「まあまあ、結果的に助かってますし? ……じゃあ、今回呼ばれたのは、聴取でもするんですか?」
にしては、対応が遅いと思うが。
エリオットの言葉に対し、アランは違うと首を横に振る。
「え? じゃあ、一体何の用で……」
「あの一件の犯人が見つかったんだが……」
へぇー、見つかったのか。あの状態では誰しもが犯人の顔を見ていないと思っていたというのに、意外にも見ている人がいたのか。
しかし何処か歯切れの悪いアランに、エリオットはどうしたんだ? と、首を傾げた。
「実はな、その犯人の処罰をお前に委ねることとなった」
「……………は?」
思考が停止する。
犯人の処罰……それを自分に委ねる!? どう考えても異常事態だ。
てっきり、その犯人を退学にするとか、そういう系の話かと密かに思っていたのだが。……一体どういう経緯でそんなことになっているんだ!?
一人あわあわし始めたエリオットを見て、アランはため息混じりに言葉をこぼす。
「俺様もな、それは駄目だって言ったのだが……。すまない」
いや、この学園を牛耳っているであろう生徒会長でも、その決定には逆らえなかったということか。……誰だ、天下の生徒会長様よりも権力を持っている人は。
学園長か? と、思ったが、流石にそれだともっと事態が別方向へ大事になっていそうだ。……裏生徒会長でもいるのか?
「で、エリオット。君はどうする? 別に君が退学させると決定打出したとしても、安全は保証する」
いや、もし逆恨みされたとしてもやり返すだけだが……。しかし、それはそれでめんどくさいな。なら……答えは一つだ。
ディランとアランの視線がこちらに向き、少し気が散るが答えは決まった。
「今回の一件は不問にしてください」
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