だからっ俺は平穏に過ごしたい!!

しおぱんだ。

文字の大きさ
43 / 78
第一部

42



 刹那、耳が痛いほどの静寂に包まれた。
 …………あれ、今、何て言ってた?
 あの事件……? …………あのって、一体何のことだ。

「…………お前、あんなことがあったのに忘れたのか?」

 アランは訝しげな声を出す。
 あれ? 本当に何のことだ。覚えていないって、どうでもよかったことなのかもしれないが……まずい、早いところ思い出さなくては……。
 そうしなければ、生徒会長の怒号が飛んできそうだ。

「その……新入生歓迎会の最中に起こったことなんだが……覚えていないか?」
「…………あ、あぁ。あのことか」

 ディランの言葉によって、生徒会長が何について話していたのか気付く。
 そういえばそんなこともあったなぁ。
 フレディではなく、自分に対しての出来事だったため、エリオットはどうでもいいやと記憶から抹消していたのであった。

「……あのことかって、随分のんきな奴だな。下手すれば命を落としていたかもしれないというのに」

 いや、あの時生徒会長が後を追いかけてこなくても一人で対処出来たのだが……。
 というか、俺より生徒会長の方が危なかったんじゃないか? 浮遊魔法を発動せずに、ロープのような魔道具一つでどうにかしようとするとか……命知らずな人だな。
 前世の時代では魔道具というものは殆ど発展しておらず、全ては己の魔法でどうにかしていたから今世と少し感覚が違うのだろう。
 ……俺も、何か一つくらい持っておくべきか?

「まあまあ、結果的に助かってますし? ……じゃあ、今回呼ばれたのは、聴取でもするんですか?」

 にしては、対応が遅いと思うが。
 エリオットの言葉に対し、アランは違うと首を横に振る。

「え? じゃあ、一体何の用で……」
「あの一件の犯人が見つかったんだが……」

 へぇー、見つかったのか。あの状態では誰しもが犯人の顔を見ていないと思っていたというのに、意外にも見ている人がいたのか。
 しかし何処か歯切れの悪いアランに、エリオットはどうしたんだ? と、首を傾げた。

「実はな、その犯人の処罰をお前に委ねることとなった」
「……………は?」

 思考が停止する。
 犯人の処罰……それを自分に委ねる!? どう考えても異常事態だ。
 てっきり、その犯人を退学にするとか、そういう系の話かと密かに思っていたのだが。……一体どういう経緯でそんなことになっているんだ!?
 一人あわあわし始めたエリオットを見て、アランはため息混じりに言葉をこぼす。

「俺様もな、それは駄目だって言ったのだが……。すまない」

 いや、この学園を牛耳っているであろう生徒会長でも、その決定には逆らえなかったということか。……誰だ、天下の生徒会長様よりも権力を持っている人は。
 学園長か? と、思ったが、流石にそれだともっと事態が別方向へ大事になっていそうだ。……裏生徒会長でもいるのか?

「で、エリオット。君はどうする? 別に君が退学させると決定打出したとしても、安全は保証する」

 いや、もし逆恨みされたとしてもやり返すだけだが……。しかし、それはそれでめんどくさいな。なら……答えは一つだ。
 ディランとアランの視線がこちらに向き、少し気が散るが答えは決まった。

「今回の一件は不問にしてください」
感想 12

あなたにおすすめの小説

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

聞いてた話と何か違う!

きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。 生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!? 聞いてた話と何か違うんですけど! ※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。 他のサイトにも投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから

西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。 演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP *10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?