だからっ俺は平穏に過ごしたい!!

しおぱんだ。

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第一部

56

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「アラン様、今回は本当にありがとうございます!」

 アリスティアはまた、新たな火種を生み出した。アランの左腕にギュッと抱きついたと思えば、「来てくれて本当に嬉しかったんですよ」と顔を近づけた。
 その途端、一気にこの場の気温が下がった気がした。季節は春で天気もいいというのに、この身震いするほどの気温。冬将軍の化身がこの場にいるのではないのかと、錯覚してしまう。
 それに比例するように、アランの顔色が青白くなっていた。が、それがアリスティアのせいであるということを、エリオットは考えもしていなかった。

「こらこらアリスティア。もう時期授業が始まるんや。イチャつくのはそろそろ終わりにしときぃ」
「せっセドリック様っ! 別にイチャついてなんて」

 セドリックの言葉に、恥ずかしそうに腕から離れるアリスティア。何処か不服そうな雰囲気も漂わせていたが、それとは反対にアランの表示は安堵に包まれていた。
 それと同時刻に、授業の開始を告げるチャイムが鳴り響いた。

 授業の内容はこうだ。魔法で作り出した魔物を連携を取りながら倒すという、実に単純な内容だ。
 しかしここは数多くの優秀な生徒を排出している学園。魔物の攻撃は素早く。そう簡単にはいかず、何人かの生徒たちは失敗に終わっていた。
 殺傷能力こそはないが、束縛魔法によって戦闘不能に追い込んでいた。
 魔物自体攻撃が素早くても、大振りで隙が大きい。これは連携が取れていれば実に簡単によけれる攻撃だが……まだ入学して1ヶ月。ましては初めてのデュオの授業だ。全員が全員絶妙なチームワークを発揮することが出来るとすれば否だ。
 ……だが、これを如何にして実践で発揮出来るかがこの授業の至要たることだ。
 そのためか、先生たちも真摯に指導をしている。

「いくぞ、フレ!」

 エリオットの杖が赤く光る。他の生徒の目もあるため簡単な詠唱をし、フレディの剣へ目掛けて炎を放つ。
 その炎を剣で受け止めると、剣身は炎に包まれ簡易的魔法剣へと様変わりした。
 フレディはエリオットにお礼を述べると、魔物の脚を切り落とし行動不能にすると、身体へ剣を突き立てた。
 そのうちの一匹。攻撃を逃れた魔物がフレディの背後へ周り、のしかかるかのように黒く鋭い爪を振りかぶった。
 流石のフレディだとしても、あまりに距離が近い。それを避けるのは困難である。
 実際身体を捻らせて避けようとするが、脚がもつれ体勢を崩していた。
 そんなことをさせまいと、エリオットは杖を向ける。
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