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「100年後のちいかわはもぐコロユニバースと合流した劇場版やってますよ」
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「おや、聞いたことはないかい? あの浮世クラブの中には、本当に未来を知っている人間がいるんだよ」
我堂さんはまるで隣町にショッピングモールができるぐらいのテンションで言い放った。
この人にとってはこんな突飛もないウワサも、その程度ということなのだろうか。
「いやぁ、そういうのっていくつになってもワクワクしないかい?」
「……そういうもんですかねぇ」
それとなく返事をしておく。
いやいや未来を知ってる人間は貴方の隣でカルビ食ってますよ、とはなかなか言い出せない。
「なんでも、本物の未来人は未知のデバイスが身体に埋め込まれていて電子機器を自由に操れるんだとか」
ゴホッゴホッ。
ウーロン茶が気管に入ってむせた。
「やっぱり我堂さんも気になりますか、未来のピカチュウがどう太ってるか」
朝陽はどれだけ肥満ピカチュウの話がしたいんだよ。いや別にいいけど。
「えっ、ワタシはポケモン世代じゃないからなぁ……まぁ強いて言うなら、100年後のちいかわがどんな目に遭ってるかは気になるかな」
我堂さんも意外とちいかわとか読むんだ。
「100年後のちいかわはもぐコロユニバースと合流した劇場版やってますよ、多分」
心底どうでもいい適当をこいた。
本当のところはどうなんだろう。メメメに聞いておきたい気持ちと、自分で今後の更新を楽しみにしておきたい気持ちで心が二つある。
「はっはっは!そしたらもっと酷い目に遭っていそうだねぇ!」
そんなに笑いながら言うことでもないだろ、100年後のパワーアップしたちいかわの境遇って。
……とまぁ、ひとしきりしょうもない話をしたところで、浮世クラブについて言っておかなければならないことがある。
「その、花咲が言っていたことなんですけど」
「うんうん」
「『会いはするけど浮世クラブのことについては一切話すことはない』というのが条件でして」
「ああ、大丈夫大丈夫。ワタシみたいな怪しい人間においそれと話すことはないよねぇ」
「……それでも、会うんですか?」
「勿論だとも。だって、浮世クラブの会員だとわかった上で接してくれるのだから、ワタシにとってはこれ以上ない目的の達成じゃないか」
「えっ、浮世クラブに入りたいんじゃ?」
「いやいや! ワタシじゃ入会は無理だろう? 椿くんみたいな、文字通りこの世から浮いているような人でないと!」
今すごい笑顔で悪口を言われた気がする。
「ワタシはもう既に社会に馴染んでしまったし、自分自身の社会もある程度固まってしまったからね。元来、世から浮き出るタイプの人間ではないんだ」
「……ボクから見たら十分社会ルールを逸脱した人に見えるんですけども?」
「そんなことはないさ。ワタシは税金は嫌いだが脱税しようと思ったことはない。こうした善人に生まれたことを両親に感謝したいぐらいだね」
「まぁ、確かに善人だとは思いますけども……」
……微妙にモヤっと気持ちが晴れないのは、別に浮世クラブの人間が悪人ばかりではないとボクが思っているからだろうか。
────いや、今花咲夢美の顔が浮かんだからやっぱなし。
確かに、本当の意味での善人なら浮世クラブにいることなど耐えられないだろう。
ボクはあんまり話さなかったけど、なんか表にしちゃいけない経歴の人とかそれなりにいるらしいしな。うん。
× × ×
帰り際。焼肉屋のガムを噛みながら外に出る。
なんか上手く言えないけど、焼肉屋で最後にガム貰えると嬉しいよな。
「じゃあ我堂さん、今度は占いで何か素敵な未来が出たら教えてください」
朝陽が笑顔で手を振る。
……よくよく考えると朝陽は花咲に対していい印象を持たないはずなのに、今日一日笑顔でいて偉い。
これがボクと朝陽の社会性の違いということか。
対する我堂さんも笑顔なはずなんだけど、この人の笑顔は相変わらずなんだか色んなものが一致してなくて怖い。
見てるものとか、価値観とか、色々と。
「嫌だなぁ。未来を知ってる人間の人生が楽しいわけないじゃないか。聞くとしても、ワタシの未来は聞けないよ」
そうして返ってきたのは、なんとも我堂さんっぽいコメントだった。
「……………………」
隣のメメメを見る。無表情だった。
我堂さんはそうして、終始上機嫌でボクらの前から去って行ったのだった。
我堂さんはまるで隣町にショッピングモールができるぐらいのテンションで言い放った。
この人にとってはこんな突飛もないウワサも、その程度ということなのだろうか。
「いやぁ、そういうのっていくつになってもワクワクしないかい?」
「……そういうもんですかねぇ」
それとなく返事をしておく。
いやいや未来を知ってる人間は貴方の隣でカルビ食ってますよ、とはなかなか言い出せない。
「なんでも、本物の未来人は未知のデバイスが身体に埋め込まれていて電子機器を自由に操れるんだとか」
ゴホッゴホッ。
ウーロン茶が気管に入ってむせた。
「やっぱり我堂さんも気になりますか、未来のピカチュウがどう太ってるか」
朝陽はどれだけ肥満ピカチュウの話がしたいんだよ。いや別にいいけど。
「えっ、ワタシはポケモン世代じゃないからなぁ……まぁ強いて言うなら、100年後のちいかわがどんな目に遭ってるかは気になるかな」
我堂さんも意外とちいかわとか読むんだ。
「100年後のちいかわはもぐコロユニバースと合流した劇場版やってますよ、多分」
心底どうでもいい適当をこいた。
本当のところはどうなんだろう。メメメに聞いておきたい気持ちと、自分で今後の更新を楽しみにしておきたい気持ちで心が二つある。
「はっはっは!そしたらもっと酷い目に遭っていそうだねぇ!」
そんなに笑いながら言うことでもないだろ、100年後のパワーアップしたちいかわの境遇って。
……とまぁ、ひとしきりしょうもない話をしたところで、浮世クラブについて言っておかなければならないことがある。
「その、花咲が言っていたことなんですけど」
「うんうん」
「『会いはするけど浮世クラブのことについては一切話すことはない』というのが条件でして」
「ああ、大丈夫大丈夫。ワタシみたいな怪しい人間においそれと話すことはないよねぇ」
「……それでも、会うんですか?」
「勿論だとも。だって、浮世クラブの会員だとわかった上で接してくれるのだから、ワタシにとってはこれ以上ない目的の達成じゃないか」
「えっ、浮世クラブに入りたいんじゃ?」
「いやいや! ワタシじゃ入会は無理だろう? 椿くんみたいな、文字通りこの世から浮いているような人でないと!」
今すごい笑顔で悪口を言われた気がする。
「ワタシはもう既に社会に馴染んでしまったし、自分自身の社会もある程度固まってしまったからね。元来、世から浮き出るタイプの人間ではないんだ」
「……ボクから見たら十分社会ルールを逸脱した人に見えるんですけども?」
「そんなことはないさ。ワタシは税金は嫌いだが脱税しようと思ったことはない。こうした善人に生まれたことを両親に感謝したいぐらいだね」
「まぁ、確かに善人だとは思いますけども……」
……微妙にモヤっと気持ちが晴れないのは、別に浮世クラブの人間が悪人ばかりではないとボクが思っているからだろうか。
────いや、今花咲夢美の顔が浮かんだからやっぱなし。
確かに、本当の意味での善人なら浮世クラブにいることなど耐えられないだろう。
ボクはあんまり話さなかったけど、なんか表にしちゃいけない経歴の人とかそれなりにいるらしいしな。うん。
× × ×
帰り際。焼肉屋のガムを噛みながら外に出る。
なんか上手く言えないけど、焼肉屋で最後にガム貰えると嬉しいよな。
「じゃあ我堂さん、今度は占いで何か素敵な未来が出たら教えてください」
朝陽が笑顔で手を振る。
……よくよく考えると朝陽は花咲に対していい印象を持たないはずなのに、今日一日笑顔でいて偉い。
これがボクと朝陽の社会性の違いということか。
対する我堂さんも笑顔なはずなんだけど、この人の笑顔は相変わらずなんだか色んなものが一致してなくて怖い。
見てるものとか、価値観とか、色々と。
「嫌だなぁ。未来を知ってる人間の人生が楽しいわけないじゃないか。聞くとしても、ワタシの未来は聞けないよ」
そうして返ってきたのは、なんとも我堂さんっぽいコメントだった。
「……………………」
隣のメメメを見る。無表情だった。
我堂さんはそうして、終始上機嫌でボクらの前から去って行ったのだった。
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