37 / 116
本編
これは先輩命令だ!
しおりを挟むお泊まり会が終わった次の日。みんなが帰った後、部屋でパソコンをいじっていた。
俺は持ってないから父ちゃんのパソコン借りてんだけど、数馬とゲームをやる為だ。マイクを使って喋りながらできるから楽だ。
「あ、俺死にそう。数馬助けて」
『そっち行っちゃダメだって。あ、ほらー』
「おわっ!またやられた!」
『貴哉ってば勝手に進むから。俺も戻るから待ってて』
数馬はゲームが上手い。だから一緒にダンジョンに行ってレベル上げしてるんだけど、パソコンでの操作がなかなか難しいんだ。
「はー、ちょっと休憩ー」
『やっぱり俺ヒーラーやろうか?』
「いや、それじゃ戦力落ちるだろ。やっぱもう一人誘うかー」
『空はやってくれないんだろ?』
「誘ったけど、返事無し。戸塚は興味ないだろうし、直登はヒーラーはやだとか言いそうだしなぁ」
『まぁ俺達二人で地道にレベル上げしよ』
「そうだなー。ん?あ、電話だ」
ここで誰かから着信があった。って、茜からじゃん。演劇部の事かと思ってすぐに出てやった。
「もしもーし?茜ー?どしたー?」
『休みの日に悪いな。今平気か?』
「へーき。友達とゲームしてた」
『そうか。ちょっと今から会えないか?あ、ゲームの後でも構わないから』
「遊びの誘い?ちょっと待ってて~。なぁ数馬ー、俺ちょっと出掛けて来るから帰って来たら続きやろうぜー」
数馬に許可を取ってからゲームをやめた。
ゲームならいつでも出来るしな。てか茜をヒーラーに誘おうと思ってんだ♪見た目的にパソコン得意そうだし?
「おう茜~、どこ行けばいい?」
『来てくれるのか!あ、場所はメッセージで送るよ。分からなかったら電話してくれ』
「はーい」
茜との電話を切って着替えて家を出た。
メッセージで届いた場所なら歩いて行ける距離だ。駅前のコンビニ。
まさか茜が俺に会いたがってるなんてな~♪すっかり俺の事好きだな茜のやつ。
少しワクワクしながらコンビニまで行くと、茜が外に立っていた。
「おーい、茜~」
「あ、来てくれたのか!」
「近かったからな。でどこ行くんだ?」
茜は白のTシャツに青いカーディガンを羽織っていた。下は普通のGパンにスニーカー。うん。イメージ通りの私服姿だな。
「えっとー、今日って隣街で花火大会あるの知ってるか?」
「知らねー。まさか花火見に行くのか?」
「そうなんだけど、実は湊と行く予定なんだ」
「湊?誰だそれ?」
「……桃山だよ」
「桃山?あー!前髪斜めか!」
一瞬誰の事かと思ったぜ!確かに茜に告ってた時そんな名前言ってた気がするな!
てか茜達ってもうそんな関係になってたのか?
「何だ、上手く行ってんだな。下の名前で呼んでるし」
「湊が呼べって言うからだっ」
「あーはいはい。ごちそーさま。花火大会は二人で行くのな。で、俺は何で呼ばれたんだ?」
「秋山にも一緒に来て欲しいんだ」
「はいぃ!?」
「頼むよ!ほら、俺って秋山しか友達がいないだろ?」
「いやいや二人きりで行けよ。俺邪魔じゃん。桃山に殴られそうだし」
「邪魔なんかじゃない!実は、今日俺から告白しようと思ってるんだっ」
「へ?付き合ってねぇのか?ちょ、桃山と会うまで時間あるか?どっかでちゃんと話聞きてーわ」
「ああ、秋山に相談したかったから早めに家出て来たんだ」
俺と茜は場所をカフェに移して詳しい話を聞く事にした。
「で、お前らの今の関係はあれから変わってないんだな。でも話してく内に茜も桃山を好きになったと」
「そうなんだ。秋山が一緒に帰れって言ってくれただろ?そこでたくさん話をしたんだ。それと昨日とかもたくさん電話をしたんだ」
とても嬉しそうに話してくれる茜はまるで恋する乙女のような顔をしてた。あの部活の時の鬼のような茜はすっかり抜けていた。
「だから正式に付き合いたいと思うんだけど、まだ早いか?」
「いや、いいんじゃね?頑張れよ」
「頑張る!秋山がいてくれたら頑張れる気がするんだ!」
「さっきも言ったけど、二人の間に俺いたら邪魔だって。絶対二人きりの方がいい」
「無理だ!俺一人じゃ告白なんてそんなのっだから、上手くそういう雰囲気に持ってってくれないか?」
「それ、俺に頼むかぁ?」
「恋愛に関しては秋山の方が先輩なんだろ?」
「そ、そうだけどよ。こういうのはもっと気の使える大人な奴……あ、伊織がいんじゃん」
「桐原か?」
「そうだよ。あいつならお前らと同じ二年だし、そういうの上手いだろ。よし、伊織に頼め」
「桐原と俺は話した事がない。それに、桐原は湊が好きだった相手だ……」
「あ」
元気を失くす茜。やべー、確かにそりゃまずいよな。もし桃山がまた伊織の事好きになっちまったら茜がショックでどうにかなっちまうかもしれねぇ。んー、他にいねぇかなぁ?
「いや、逆に有りだな」
「ん?何が?」
「桐原の前で湊に告白をする。そうすれば湊はどちらかを選ばなくてはならない。今は俺を好きだと言ってくれているけど、いつまた桐原の追っかけに戻るか分からないからな。良い機会だからそれも解決しよう!」
「おー、伊織には俺から言っといてやるよ。あいつ今俺のパシリだから断れねーだろ」
「ありがとう!あ、秋山も来てくれるんだよな?」
「いやいや、俺は帰るよ。後は伊織に任せ……」
「ダメだ!これは先輩命令だ!」
「なっ!職権乱用だ!俺は行かねー!」
冗談じゃねぇ。茜と桃山だけならまだしも伊織が来るかも知れねぇのに行ける訳ねぇだろ。空にバレたら面倒なのもあるけど、昨日伊織とは気まずくなるような事したばっかだっつの!
そんなの茜に言える訳ねぇから、とにかく断るしか無かった。
「秋山頼む!好きな屋台何でも奢るから!」
「何でも?」
「ああ!何でもいいぞ!何個でも好きなだけな!」
「なら行ってもいいか?」
「ありがとう秋山ぁ!」
「その代わり、今日の事は誰にも言うなよ!桃山にも口止めする事!いいな!?」
その後も何度も茜に口外するなと釘を刺しておいた。
伊織と会うのは気まずいが、好きな屋台奢ってくれるのは魅力的だ。何を食おうか今から考えておこう。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】僕は、メタルスライムに転生しちゃった。2
そば太郎
BL
僕は、平凡な男子高校生だったんだ。あの日までは・・・。
気がついたら、森の中にいて、何故かメタルスライムになっていた・・・。
え?
そんな僕が、三白眼のガチムチな冒険者のお嫁さんを手に入れた!さぁ、頑張って、可愛がるぞぉ♡♡♡⬅️今は、ここから少し先に進んだ未来♡♡ぐへへ、赤ちゃん出来ちゃった♡♡もちろん、スライム♡♡
※メタルスライムとは、攻撃が1しか入らず、しかもヒットの確率は限りなく低い。運良く倒すと。経験値が爆上がり!なスライム。しかし、主人公はちょっと特殊みたいで・・・。
⚠️赤ちゃんスライム産みましたし、現在進行形で孕んでいます♡♡
⚠️スライム×ガチムチ冒険者
ムーンさんでも投稿しています。少し題名変えてますけど。
え、待って。「おすわり」って、オレに言ったんじゃなかったの?!【Dom/Sub】
水城
BL
マジメな元体育会系Subの旗手元気(はたて・げんき、二十代公務員)は、プチ社畜。
日曜日、夕方近くに起き出して、その日初めての食事を買いに出たところで、いきなり「おすわり」の声。
身体が勝手に反応して思わずその場でKneelする旗手だったが、なんと。そのcommandは、よその家のイヌに対してのモノだった。
犬の飼い主は、美少年な中学生。旗手は成り行きで、少年から「ごほうび」のささみジャーキーまで貰ってしまう始末。
え、ちょっと待って。オレってこれからどうなっちゃうの?! な物語。
本を読まない図書館職員と本が大好きな中学生男子。勘違いな出会いとそれからの話。
完結後の投稿です。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
どうしょういむ
田原摩耶
BL
苦手な性格正反対の難あり双子の幼馴染と一週間ひとつ屋根の下で過ごす羽目になる受けの話。
穏やか優男風過保護双子の兄+粗暴口悪サディスト遊び人双子の弟×内弁慶いじめられっ子体質の卑屈平凡受け←親友攻め
学生/執着攻め/三角関係/幼馴染/親友攻め/受けが可哀想な目に遭いがち
美甘遠(みかもとおい)
受け。幼い頃から双子たちに玩具にされてきたため、双子が嫌い。でも逆らえないので渋々言うこと聞いてる。内弁慶。
慈光宋都(じこうさんと)
双子の弟。いい加減で大雑把で自己中で乱暴者。美甘のことは可愛がってるつもりだが雑。
慈光燕斗(じこうえんと)
双子の兄。優しくて穏やかだが性格が捩れてる。美甘に甘いようで甘くない。
君完(きみさだ)
通称サダ。同じ中学校。高校にあがってから美甘と仲良くなった親友。美甘に同情してる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる