61 / 72
4章 まさかの目覚め!?
60.乱暴な告白
しおりを挟む切れ長の細い目から落ちて来る涙に、俺はそっと手を伸ばして親指で拭った。
ルナは声を出さずに泣き続け、ドサっと俺の上に体を預けた。
なんちゅー乱暴な告白だ。
あんな告白で落ちる奴なんているの?ってぐらい乱暴で、怖くて、無茶苦茶な告白だった。
それでも俺の上で泣き続けてるルナを突き放そうとせずに左腕で軽く抱き締めて、右手でピンクの髪色の頭を撫でていた。
それが出来たのは本気の告白だと分かったからだ。ルナはふざけてなんか無い。
本気なんだって分かっちゃったからだ。
「くそっ伊吹のくそっ」
「ルナ、ごめん。ずっとお前がふざけてるんだと思ってた」
「結婚してくれたら許す」
「えー、じゃあ許してくれなくてもいっかな~?」
「ああ!?テメェそこはルナのお嫁さんになるから許して~♡だろうが!空気読め!」
「だから何で俺が嫁なんだよ!嫁になるなら女顔のお前だろ!」
「お?何だよ、俺の事を嫁に欲しかったのかよ。どうしてもって言うなら俺が嫁になってやってもいいぜ?」
「いやいや、違う!違うから!てか何でお前そんな偉そうなの!そんなんで好きになって貰えると思ってんのかよ!」
「思ってるよ。伊吹ならどんな俺でも愛してくれるって自信あるし♡」
ふと、泣き顔のまま笑顔を見せるルナ。
イケメンはどんな顔してもイケメンなんだな。
もう泣き止んだけど、まだ泣いてたのが分かるその顔は、少し色っぽくも見えた。
さすが女顔だな。俺がゲイだったなら大盛り上がりだったろうな。
そんな事を考えてると、ルナはまた表情を曇らせてさも不機嫌そうな顔して言った。
「それなのによぉ、他の男になんか惚れやがって!しかも客だぞ!?あり得ねぇ!騙されて泣くのは伊吹なんだぞ!?」
「…………」
ルナの言葉が心に突き刺さった。
俺は尚輝くんに惚れてるのか。客なのは間違いない。客の言う事は9割嘘って教えたのも俺だ。騙されて泣くのは、俺?
俺は尚輝くんに騙されてるのか?
でもとてもそうは思えない。毎週あんな大金払って会いに来てくれてるのに、尚輝くんの話す事が嘘とは思えない。
いや、思いたくないだけなのかも。
俺は尚輝くんの事が好きだから、ルナみたいに好きな人にフラれるのを認めたくなくて、尚輝くんの全てを無理矢理信じようとしてるのかも。
てかさぁ、俺って尚輝くんの事、そう言う好きなんだなぁ。だから家にも連れて来たし、連絡先も教えたんだな。
男なのに、好きになれるんだなぁ。
「おい伊吹!何ニヤけてんだ!」
「ハッ!!」
尚輝くんの事を考えてたら、一瞬ルナの事忘れてたよ!
危ね危ね。俺は緩んだ顔を戻そうと顔を押さえると、ルナはため息を吐いて俺の上から退いた。
解放されたけど、俺はそのまま床に寝転がったままでいた。
「ったくよ、大きな声出したら喉痛くなっちまったぜ」
「てかお前明日も仕事?帰らなくていいのか?」
「午後から予約入ってるよ。マジもうやる気ねぇ。会ったら速攻ホテル誘って金巻き上げるしか考えらんねぇ」
「それなら帰った方がいいだろ。もう遅いし」
「なぁ伊吹、これだけ聞かせてよ。俺の事嫌い?」
「好き?」じゃなくて「嫌い?」だったから、すぐに言葉が出て来なかった。
ルナにしては弱気なその質問に、俺は素直に答える事にした。
「嫌いじゃないよ。めちゃくちゃな奴だけど、頑張って稼いでるし、何だかんだお前と飲むの楽しいからさ♪」
「だったら俺と結婚しろよ!腹立つなぁ!」
「だから男と男じゃ結婚出来ねぇだろって」
「伊吹、今日は帰るよ。これ以上言っても馬鹿な伊吹には分かって貰えないみたいだからな」
「馬鹿って付けなくてよくね?」
「お前が俺の嫁になったら付けないでやるよ。じゃあな馬鹿伊吹~」
どこまでも上からだな。
それでも俺は今ルナに対してムカつくとかそう言う感情は湧かなかった。
それよりも尚輝くんを好きだと自覚してしまった事の方が大きかった。
まさかルナに気付かされるとは思わなかったな。
はぁ、これから尚輝くんとどう言う顔して会えばいいんだよぉ。
20
あなたにおすすめの小説
ブラック企業の寮で、同期とだけは恋に落ちないと決めていた~同室生活・過労案件・限界メンタル―それでも、唯一の味方が、隣にいる。
中岡 始
BL
「限界社畜、恋に落ちたら終わりだと思ってた――でも、一緒に辞めて起業しました。」
ブラック企業で出会った新卒ふたり。
職場は地獄、寮は同室、心は限界寸前。
“ちゃんとした社会人”を目指す白井と、マイペースに生き延びる藤宮。
恋なんてしない、期待なんてしない――そう思ってたはずなのに、
「お前がいたから、ここまで来られた」
気づけば手を取り、会社を辞め、仲間たちと“理不尽の外側”へと走り出す。
すれ違い、涙、ほうじ茶プリンとキスの夜。
これは、仕事と恋に潰れかけたふたりが、
一緒に人生を立て直していく、再起系BLラブコメディ!
抑制剤の効かない薬師オメガは森に隠れる。最強騎士団長に見つかり、聖なるフェロモンで理性を溶かされ、国を捨てた逃避行の果てに番となる
水凪しおん
BL
「この香りを嗅いだ瞬間、俺の本能は二つに引き裂かれた」
人里離れた森で暮らす薬師のエリアルは、抑制剤が効かない特異体質のオメガ。彼から放たれるフェロモンは万病を癒やす聖なる力を持つが、同時に理性を失わせる劇薬でもあった。
ある日、流行り病の特効薬を求めて森を訪れた最強の騎士団長・ジークフリートに見つかってしまう。エリアルの香りに強烈に反応しながらも、鋼の理性で耐え抜くジークフリート。
「俺が、貴方の剣となり盾となる」
国を救うための道具として狙われるエリアルを守るため、最強の騎士は地位も名誉も投げ捨て、国を敵に回す逃避行へと旅立つ。
シリアスから始まり、最後は辺境での幸せなスローライフへ。一途な騎士と健気な薬師の、運命のBLファンタジー。
【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜
星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; )
――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ――
“隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け”
音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。
イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――
恭介&圭吾シリーズ
芹澤柚衣
BL
高校二年の土屋恭介は、お祓い屋を生業として生活をたてていた。相棒の物の怪犬神と、二歳年下で有能アルバイトの圭吾にフォローしてもらい、どうにか依頼をこなす毎日を送っている。こっそり圭吾に片想いしながら平穏な毎日を過ごしていた恭介だったが、彼には誰にも話せない秘密があった。
【BL】『Ωである俺』に居場所をくれたのは、貴男が初めてのひとでした
圭琴子
BL
この世界は、αとβとΩで出来てる。
生まれながらにエリートのαや、人口の大多数を占める『普通』のβにはさして意識するほどの事でもないだろうけど、俺たちΩにとっては、この世界はけして優しくはなかった。
今日も寝坊した。二学期の初め、転校初日だったけど、ワクワクもドキドキも、期待に胸を膨らませる事もない。何故なら、高校三年生にして、もう七度目の転校だったから。
βの両親から生まれてしまったΩの一人息子の行く末を心配して、若かった父さんと母さんは、一つの罪を犯した。
小学校に入る時に義務付けられている血液検査日に、俺の血液と父さんの血液をすり替えるという罪を。
従って俺は戸籍上、β籍になっている。
あとは、一度吐(つ)いてしまった嘘がバレないよう、嘘を上塗りするばかりだった。
俺がΩとバレそうになる度に転校を繰り返し、流れ流れていつの間にか、東京の一大エスカレーター式私立校、小鳥遊(たかなし)学園に通う事になっていた。
今まで、俺に『好き』と言った連中は、みんなΩの発情期に当てられた奴らばかりだった。
だから『好き』と言われて、ピンときたことはない。
だけど。優しいキスに、心が動いて、いつの間にかそのひとを『好き』になっていた。
学園の事実上のトップで、生まれた時から許嫁が居て、俺のことを遊びだと言い切るあいつを。
どんなに酷いことをされても、一度愛したあのひとを、忘れることは出来なかった。
『Ωである俺』に居場所をくれたのは、貴男が初めてのひとだったから。
過去のやらかしと野営飯
琉斗六
BL
◎あらすじ
かつて「指導官ランスロット」は、冒険者見習いだった少年に言った。
「一級になったら、また一緒に冒険しような」
──その約束を、九年後に本当に果たしに来るやつがいるとは思わなかった。
美形・高スペック・最強格の一級冒険者ユーリイは、かつて教えを受けたランスに執着し、今や完全に「推しのために人生を捧げるモード」突入済み。
それなのに、肝心のランスは四十目前のとほほおっさん。
昔より体力も腰もガタガタで、今は新人指導や野営飯を作る生活に満足していたのに──。
「討伐依頼? サポート指名? 俺、三級なんだが??」
寝床、飯、パンツ、ついでに心まで脱がされる、
執着わんこ攻め × おっさん受けの野営BLファンタジー!
◎その他
この物語は、複数のサイトに投稿されています。
【完結】君の手を取り、紡ぐ言葉は
綾瀬
BL
図書委員の佐倉遥希は、クラスの人気者である葉山綾に密かに想いを寄せていた。しかし、イケメンでスポーツ万能な彼と、地味で取り柄のない自分は住む世界が違うと感じ、遠くから眺める日々を過ごしていた。
ある放課後、遥希は葉山が数学の課題に苦戦しているのを見かける。戸惑いながらも思い切って声をかけると、葉山は「気になる人にバカだと思われるのが恥ずかしい」と打ち明ける。「気になる人」その一言に胸を高鳴らせながら、二人の勉強会が始まることになった。
成績優秀な遥希と、勉強が苦手な葉山。正反対の二人だが、共に過ごす時間の中で少しずつ距離を縮めていく。
不器用な二人の淡くも甘酸っぱい恋の行方を描く、学園青春ラブストーリー。
【爽やか人気者溺愛攻め×勉強だけが取り柄の天然鈍感平凡受け】
完結|好きから一番遠いはずだった
七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。
しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。
なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。
…はずだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる