21 / 178
1章 写真ばら撒き事件
※おい、みんなが引いてるぞ
しおりを挟む※茜side
昨日から、学校中が秋山と桐原の話題で騒いでいた。今日、二人は朝から会議室に呼び出されるらしいし、俺はずっとソワソワしていた。
秋山、大丈夫かな?
今日から本格的に授業が始まる為、参加してるけど、全く頭に入らなかった。考えるのは秋山の事ばかり……
そして休み時間の度に湊が来て俺の心配をしていた。
今もため息ばかりを吐く俺をジーッと見ている。
「秋山……」
「まるで恋する乙女だな」
「そうか、これが恋する乙女の気持ちなのか……って違うだろ。会議室に呼び出されるなんて、絶対良い話な訳無いじゃないか。無事ならいいんだけど」
「あいつなら大丈夫だろ」
「なぁ、俺らに出来る事は何だろ?」
「んー、信じて待つとか?」
「それだけなのかぁ?」
「あ、犯人探しとかしてみる?」
「探し出せたらいいけど、どうやる?俺達だけじゃ難しいだろ」
「まずは演劇部に絞り込めただろ?次は二人に関連してる奴らをピックアップする。そしたら大体絞り込めるんじゃね?」
「二人に関連か……桐原繋がりだとほとんどの人が対象になるから、秋山で見てみるか。秋山と話すのは限られているからな。一年の数名とは同じクラスらしく話してるのを見た事がある。二年だと、俺か部長の卯月か、あと小平か。三年は薗田さんぐらいかな。俺が知る限りはこんな感じだな」
「やっぱ小平が怪しくね?」
昨日の帰りにも少し話が出たが、もし小平が犯人だとしたら不可解な点があるんだ。
「昨日はそう思ったんだが、バーベキュー大会の時は俺と小平ってほぼ一緒にいたんだよ。あんな写真を撮る時間なんてなかった筈なんだ」
「カチーン。あいつ俺のいない所で茜に手出してたの?ん?」
「勘違いするな。一緒に過ごしただけだ」
「小平んとこ行ってきまーす♡」
湊が暴走しかけてたからシャツを引っ張って止める。
こいつは俺の事になると誰が相手でも暴走し出すんだ。もう少し理性を働かせて欲しいところだよ。
「待てって!てか次の授業始まるだろ!」
「もうあいつが犯人で良くね?そんで、茜に手を出した罪も合わせてダブルで処刑すりゃいいじゃん。はい解決~」
「お前はどうしていつもそうなんだ!昼休み!昼休みに一緒に小平の所へ行こう。そこでちゃんと話して判断しよう」
「個人的にボコりたい」
「そんな事したら嫌いになるぞ」
「やだ!てか俺の事嫌いになれねぇ癖に♡」
嫌いになるって言ってるのに嬉しそうに抱き締めてくる湊。
ここは俺の教室で、みんなが見てるから辞めてもらいたい。引き剥がそうとすると、たまに見せる馬鹿力でなかなか離れなかった。
「おい、みんなが引いてるぞ。離れろって」
「じゃあ好きって言って♡」
「す、きだよ……」
「もっと言ってー♡」
こんなやり取りをしていたら授業が始まるチャイムが鳴って次の授業の先生が入って来て扉を閉めていた。
え、湊がまだここにいるんだが!
「ちょ、お前早く出て行けって!」
「もう鳴っちゃったし、俺もここで授業受けるよ。せんせー気付いてねぇみてぇだし♡マジウケる!キャハハ」
馬鹿な湊がケラケラ笑うと、先生がキョロキョロして、こちらを見た。
そして部外者に気付いて怒り出した。当たり前だな。
「ん?その笑い声は……やっぱり桃山かー!お前のクラスはA組だろぉ!」
「今日からC組になるんだよ。そうだ、ここに草間いるだろー?俺の代わりに体育行ってくれー」
「ひぃ!俺を巻き込むな!桃!さっさと出て行けよ!」
巻き添えを喰らったのは、湊と同じデザイン部の草間だった。草間も湊とはジャンルは違うけど、いつも個性的な髪型や服装をしているちょっと変わった奴だ。ちなみに今の髪型は形といい色といいまるでマッシュルームみたいだった。
「桃山!ふざけた事を言ってないで早く戻るんだ!C組の授業が遅れるだろ!」
「うるせーなぁ。俺もちゃんと授業聞くからいいだろー?」
「湊、みんなが迷惑してるんだ。早く自分のクラスへ戻れ」
「はーい♡また休み時間になったら来るからな♡んじゃ」
散々人のクラスを荒らして、俺が言ったらあっさり戻るようだった。それに対して先生や他の生徒達はポカーンと口を開けたまま驚いていたが、湊が立ち去ろうとした場所に更に驚いて声を上げる者もいた。
それは、廊下側のドアじゃなくて、窓だったんだ。窓を開けて縁に足を乗せて「とう!」と掛け声を掛けてそのまま外に飛び降りた。
ちなみにここは三階だ。
「桃山ー!!何やってるんだぁー!!」
先生は慌てて窓から顔を出して下を見ていた。
先生だけじゃない、クラス中が立ち上がり、湊が降りた所を覗き込んでいた。
驚くのも無理もないが、俺はもう慣れていた。
目的地に向かう時は最短距離を選びたがる湊はああして道無き道を行くんだ。さっき体育って言ってたから外に行きたかったんだろ。
本当にあいつの行動は読めない。
でもそんなあいつを可愛いなと思う俺。
嫌いになんてなれる訳ないだろ。
次の休み時間も待ってるからな。
10
あなたにおすすめの小説
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は未定
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
・本格的に嫌われ始めるのは2章から
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる