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1章 写真ばら撒き事件
※最強の立会人
しおりを挟む※紘夢side
葵くんの言っていた「最強の立会人」「強力な味方」って……
「やあ一条くん、君黒髪も似合うね~。うん!僕は黒髪の方がいいと思う!ね?神凪くん?」
「教頭先生の事ー!?」
葵くんについて行くと、そこは放送室で、中には既に人が一人。なんと、教頭先生が椅子に座ってニコニコ笑っていたんだ。
「実は既に教頭先生には話してあったんだ。今回の件の事全てをな。後は何とかしてお前をここに連れて来る事だったんだが、まさかの紘夢からの申し出にすんなり事が済んだ」
「神凪くんは本当に良く周りの事を考えているよね。まぁ僕もいつでも協力出来る訳じゃないからね。午後からちょっと外に出なくてはならなくてね。さっき連絡を貰って急いで来たんだよ。だから時間は限られている。それでもいいかね?一条くん」
「あ、葵くんてば凄すぎー!俺でも予想出来なかったよこれは!あ、はい!数分頂ければ十分です!お忙しいのにすみません!」
「あ、せっかくだから授業始まるまで待とうか?後少しでチャイムが鳴るから、そしたらまずは私から全校に話そう。今回の件で一条くんが謝りたがっている事をね。各担当の先生達にも理解してもらわないとだし、そしたらその後は好きに話したらいいよ」
「そうしていただけると助かります。全校生徒にも落ち着いて聞いてもらいたいですからね」
「本当はこの黒髪の一条くんを見てもらいながら聞いて欲しかったね~!体育館で全校集会ってのも悪くなかったかもね♪」
「じゅ、十分です!」
この二人は終始楽しそうに話してるけど、俺にとっちゃ一大事よ?
まぁ全校生徒の前で話すのなんて今までいろんな場所で、いろんな人達の前でスピーチとかして来たから容易いけど……でも、何だろうな。こういう事に慣れてる筈なのに、今は手が震えてる。
はは、こんなの初めてだ。
顔は見えない。だから声だけで伝えなくちゃいけない。その場合の対処方も分かってる。
だけど、俺は今までのどんな演説よりも、体が震えていて、結果も分かっているのに不安だった。
この俺をここまでにさせるなんて、みんなやるじゃん……
今のこの状況が俺にはおかしくて笑えた。
自分が見下していた人達にこんな気持ちにさせられるなんて。
ああ俺は負けたんだ。
この学校にいる全員に負けた……
初めて味わう敗北感に俺は目を閉じて深呼吸をしていた。
うん。この気持ちも悪くない。
居心地は良くないけど、次は繰り返さないようにって気持ちになれる。
綺麗事かもしれないけど、今までのどんな勉強よりも為になった気がする。
今この場にいれるのは自分一人の力じゃ無理だった。
何でも出来るなんて傲慢に考えていたから良く分かったよ。
葵くん、教頭先生、ありがとう。
そして貴ちゃん。俺をこんな気持ちにさせてくれて本当にありがとう。大好きだよ。
その後授業の始まりを告げる鐘が鳴って、教頭先生がマイクのスイッチを入れて校内放送を始めた。
俺は今までこの学校でして来た事を走馬灯のように思い出していた。
俺の記憶力は鮮明だ。
物心ついた頃からの記憶なら綺麗に覚えている。
教頭先生が話終わるのを思い出しながら落ち着いて待っていた。
「……では一条くん、どうぞ」
一通り話終わった教頭先生に席を譲られてマイクの前に座ろうとしたが、そのまま椅子を退けて俺は立ったままマイクスタンドからマイクを外して手に持った。
教頭先生はニッコリ笑って後ろに下がって葵くんの隣に並んだ。
そして俺の謝罪放送は始まった。
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