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6章 貴哉の暴走
お前、俺と付き合ってみるか?
紘夢と喧嘩をした。今思えば心を入れ替えてからのあいつは本当に良い奴だったな。
俺がピンチの時は必ず力を貸してくれたし、空と付き合ってる時だって協力してくれてたりもした。
だから紘夢のワガママには極力聞いたりして来たんだ。
それがもう無くなった。
数馬と教室へ戻って来てからずっと机に突っ伏して過ごしていたらいつの間にか放課後になっていた。
「貴哉、放課後は予定があるんじゃなかった?」
「んー、面倒くさ……」
後ろからの数馬の声に突っ伏したままボーッとしてると、数馬に背中をツンツンとされた。
ゆっくり体を起こして振り向くと、心配そうな顔をしてる数馬がいた。
そうだ、紘夢を敵に回したら数馬も危ねぇんだよな。気の弱い数馬が紘夢相手に勝てるとは思えねぇし、そもそも俺も数馬からのキスを強く拒否らなかったのも悪かったんだよな。
はぁ、どうすっかな……
「数馬、お前これからどうすんの?」
「な、何が?」
「紘夢が何かして来たらだよ。紘夢の場合、桃山達と違って内面的にも攻撃して来るぞ。お前耐えられんの?」
「それは……怖いよ」
「だよなー?気にするなって言っても無理だよなー?あーあ、いっその事紘夢が俺に興味失くしちゃえばいいのにな!」
「それはないだろ。ずっと想って来たって言ってたし、俺から見ても一条さんは本当に貴哉の事を大切にしてるから」
「だからってやり方があんだろ。アレには俺も我慢出来ねぇわ。弱い者いじめみてぇな事しやがって」
「ごめん……俺が弱いから……」
また元気を無くして謝る数馬。
こいつが弱いのは仕方ないとしても、放っておく訳にはいかねぇ。
数馬とは一年間同じクラスな訳だし、勉強とかでも世話になりてぇし。何より俺が引っ張ってここまで来させたのもあるから変な責任感が湧くんだ。
せめて数馬が他の奴を好きで誰かと付き合ってたら、そいつに任せられるんだけどな。
でももう直登と復活する事は無さそうだし、俺の事を好きって言ってる数馬を無理矢理他の奴と付き合わせるのはかなりのストレスを与えるだろ。
そうなりゃパニックどころじゃなくて、紘夢が何かをして来る前に学校へ来なくなりそうだ。
数馬が誰かと付き合うか……
そんな夢のような話、無理か……
俺がそんな事を考えながら数馬の顔を見てると、焦ったように身を乗り出して俺の様子を伺って来た。
「怒ってるの?なるべく強くなるように頑張るからっそんな睨まないでくれよっ」
「いや、元々こういう目付きなだけだし……」
「あ……ごめん」
「てかお前も俺並に目付き悪いけどな。誰かが言ってたよな?俺達似てるって。だからお前の事俺の子分だとか」
「それを言ってたの直登だろ?俺が初めて教室に行った日だ」
「見た目は似てるんだから、お前も俺みたいになれば舐められないのにな」
「…………」
これ以上は数馬を傷付けるだけか。
俺は諦めてとりあえず食堂へ行こうと席を立つ。
何も入ってない鞄を持って数馬の横を通り過ぎようとした時に悲しそうな数馬の顔が目に入って足を止める。
そんな顔すんなよ……放って置けなくなるだろうが。
「はぁ、おい数馬」
「……何?」
横に立つ俺を見上げる数馬の目は潤んでいて、俺がいなくなった後に絶対泣くだろって顔してた。
そんな数馬に俺は薄っすらと考えていた事をぶつけてみる事にした。
「お前、俺と付き合ってみるか?」
「……え?」
俺の言葉に目を大きく見開いて驚く数馬。一生懸命に言葉を理解しようとしてるのかなかなか返事をしなかった。
そんな数馬の手首を掴んで無理矢理教室から連れ出し、一緒に廊下を歩く。
これは最終手段だ。
もしかしたら数馬を酷く傷付ける事かもしれない。いや、傷付くだろうな。
俺は誰とも付き合う気はない。だけどフリーでいると変態共がちょっかい掛けて来てかなり迷惑なんだ。たまに空と付き合ってた頃は楽だったなとか思うもん。
だから、適当に誰かと付き合っちまうかって考えた事があるんだ。でも誰でも良いって訳じゃねぇ、俺のやる事とかに口出しして来ないような奴じゃねぇと無理。
だから俺は数馬に声を掛けた。
数馬ならいつも俺の側にいて大人しくしてるだけだから適任だ。
問題があるとすれば、数馬は俺の事を好きだと言う事。俺の考えで付き合うってのは、数馬を利用するって事だからな。
でも数馬を放っておけねぇし、そうすりゃ数馬の事も守れるんじゃないかって思ったんだ。
俺と付き合ってれば何かしらのフィルターが掛かって、紘夢も空の時みてぇに応援してくれんじゃね?
と俺はそんな風に考えていたけど、俺が考える事なんて軽くて薄っぺらい事なんだと知らされる事になるとはこの時思っていなかった。
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