【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ 5thのその後

pino

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3章 年下の友達

あれ、俺……そうなのか?

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 紘夢んちでの空のバースデーパーティーはそれはそれは豪華な物だった。豪華なご馳走に、紘夢が作ったと空の紹介的なVTR映像。豪華景品が当たるビンゴ大会も用意されていた。
 ただ、平日だったのと明日も学校ってので遅くまではやれなかった。人の集まりも悪く、週末にまたやろうって事になった。
 俺はご馳走とか勿体無いなと思ったけど、出来ればいろんな人に祝ってもらった方がいいだろうし、俺も紘夢の意見に賛成した。


「て事で今週末は必ず参加ね!みんなも積極的に周りに声掛けてね!もう知らない人でもいいから!はい解散!」


 紘夢の無茶苦茶な指示に、呆れながらも俺はお土産で貰ったご馳走を持って空と茜と帰っていた。
 結局集まったのは俺と紘夢と空と茜と雉岡だけだった。桃山も来るかと思ったけど、予定があるとかで今日は早退したらしい。
 直登と数馬も予定があると言って来れなかった。


「もー、一条さんてばやり過ぎなんだよ~。全然今日来てくれたメンバーで良かったし、もっとこじんまりしてていいんだよ!」

「まぁまぁ、一条も早川の為に用意してくれたんだし。今から声を掛ければ土曜日はみんな集まってくれるだろう」

「茜さん、今日は来てくれてありがとうございます♪嬉しかったです♪」

「俺なんかでよければいつでも誘ってくれ。これからはお前達といろんな事をして遊びたいからな」

「茜は帰宅部だもんな~」

「はは、今日とか自然と足が演劇部に向かっていて危うく普通に参加してしまう所だったよ」

「茜さんらしいですね~。ボラ部に入ればいいのに」

「いや、勉強も進めたいからちょうど良いと思ってな。部活には入らない事にしたんだ」

「そっか~。茜さんは来年受験生ですもんね。頑張って下さいねっ」

「うん。ありがとう……おい?秋山?」


 二人が話してるのを後ろで聞いていた俺に茜が気付いて声を掛けて来た。
 

「お?どうした?」

「いや、元気がないような気がしたから。大丈夫か?」

「ちょっと疲れただけ。文化祭終わった後もバタバタしてたからよ」

「俺とは遊んでくれない癖にねー?」

「まだ言うのかよっ」

「秋山、疲れてるなら早く帰って風呂に入って休むんだ。今日は夜更かししちゃダメだぞ?」

「あ、じゃあ送ってってやるよ~。ほら後ろ乗って」

「ん。んじゃ頼むわ」

「茜さん、駅まで送れなくてすみません。先に失礼します!」

「おう。秋山の事頼んだぞ」


 俺は来た時と同じようにチャラ男号の後ろに乗って揺られる事になった。
 元気が無いか~。
 やっぱり伊織とか類の事か?
 考えないようにしてるんだけど、つい考えちまうよな。ほら、土曜日に人集めるとか言ってたじゃん?それって伊織も対象になってるだろ?
 誘ったら来るのかな?


「なぁ空~。今何時ー?」

「えー?20時とかじゃん?どしてー?」

「ちょっとどっか寄ってかね?」

「……いいよ~」


 俺が誘うと、空は軽く答えて途中で自転車を止めた。
 川沿いの土手の所に降りて、俺と空は並んで座った。


「寒くないか?」

「うん。平気」

「これからどんどん寒くなっていくな。貴哉と初めての冬だ♪」

「お前冬好きなの?」

「好きだよ♪寒いのは好きじゃないけど、イベント多いし、夜景とかイルミネーションとかあるから楽しいじゃん」

「俺今までそういうイベントとは無縁だったから楽しいとか分からなかったわ」

「今年は一緒に楽しもうな♪」

「イルミネーションとかは見たいかな」

「任せろ♪早速帰ったら調べちゃお~♪あ、クリスマスはどうするんだ?」

「……さぁ。そん時まで一人だったら一人で過ごすんじゃん?」

「だから俺がいるだろ!」

「なに、お前一緒に過ごしてくれんの?」

「当たり前だろ♡桐原さんと別れると思わなかったから絶対無理だと思ってたから嬉しい~♡」

「伊織か、どうするんだろうな」

「……貴哉さ、桐原さんと別れるって決めたの後悔してる?」


 空に聞かれて俺はハッとして顔を上げた。
 すると、困ったように笑う空がいた。

 
「あれ、俺……そうなのか?」

「茜さんが言ってた通り元気ねぇもん。嫌いで別れた訳じゃないからじゃね?」

「俺は、別れるって決めて二人に宣言した時はスッキリしたんだ。でも、今はモヤモヤしてる。そっか、後悔してんのか」

「俺からしたら忘れろって言いたいけどな。無理にとは言わないよ」

「どうしてだ?」

「貴哉の気持ちを大切にしたいからだよ。もし、桐原さんの事をキッパリ忘れたいって言うなら俺も全力で口説きに入るけどさ。今は貴哉の気持ちを優先したいと思うよ」

「……伊織がさ、親に怒られたんだって。金の使い過ぎで。多分コレのせいだろ」


 俺は首に下げていた指輪をギュッと握った。
 空に話していいか分からなかったけど、もう全部話しておいた方がいいと思った。
 これ以上一人で考えてても何も変わらないからな。


「あー、そりゃ怒られるよな~。そっか桐原さんの親はまともな親だったのか」

「怒られて、今監視として兄貴が家に戻って来てるらしい。あいつの親は……仕事で遠くに住んでるらしいからさ。全部俺のせいだ」

「……そういう事か」


 俺が伊織がそうなった事を悔やんでいると、空は納得するような感じでスマホをいじり始めた。

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