47 / 100
3章 年下の友達
あれ、俺……そうなのか?
しおりを挟む紘夢んちでの空のバースデーパーティーはそれはそれは豪華な物だった。豪華なご馳走に、紘夢が作ったと空の紹介的なVTR映像。豪華景品が当たるビンゴ大会も用意されていた。
ただ、平日だったのと明日も学校ってので遅くまではやれなかった。人の集まりも悪く、週末にまたやろうって事になった。
俺はご馳走とか勿体無いなと思ったけど、出来ればいろんな人に祝ってもらった方がいいだろうし、俺も紘夢の意見に賛成した。
「て事で今週末は必ず参加ね!みんなも積極的に周りに声掛けてね!もう知らない人でもいいから!はい解散!」
紘夢の無茶苦茶な指示に、呆れながらも俺はお土産で貰ったご馳走を持って空と茜と帰っていた。
結局集まったのは俺と紘夢と空と茜と雉岡だけだった。桃山も来るかと思ったけど、予定があるとかで今日は早退したらしい。
直登と数馬も予定があると言って来れなかった。
「もー、一条さんてばやり過ぎなんだよ~。全然今日来てくれたメンバーで良かったし、もっとこじんまりしてていいんだよ!」
「まぁまぁ、一条も早川の為に用意してくれたんだし。今から声を掛ければ土曜日はみんな集まってくれるだろう」
「茜さん、今日は来てくれてありがとうございます♪嬉しかったです♪」
「俺なんかでよければいつでも誘ってくれ。これからはお前達といろんな事をして遊びたいからな」
「茜は帰宅部だもんな~」
「はは、今日とか自然と足が演劇部に向かっていて危うく普通に参加してしまう所だったよ」
「茜さんらしいですね~。ボラ部に入ればいいのに」
「いや、勉強も進めたいからちょうど良いと思ってな。部活には入らない事にしたんだ」
「そっか~。茜さんは来年受験生ですもんね。頑張って下さいねっ」
「うん。ありがとう……おい?秋山?」
二人が話してるのを後ろで聞いていた俺に茜が気付いて声を掛けて来た。
「お?どうした?」
「いや、元気がないような気がしたから。大丈夫か?」
「ちょっと疲れただけ。文化祭終わった後もバタバタしてたからよ」
「俺とは遊んでくれない癖にねー?」
「まだ言うのかよっ」
「秋山、疲れてるなら早く帰って風呂に入って休むんだ。今日は夜更かししちゃダメだぞ?」
「あ、じゃあ送ってってやるよ~。ほら後ろ乗って」
「ん。んじゃ頼むわ」
「茜さん、駅まで送れなくてすみません。先に失礼します!」
「おう。秋山の事頼んだぞ」
俺は来た時と同じようにチャラ男号の後ろに乗って揺られる事になった。
元気が無いか~。
やっぱり伊織とか類の事か?
考えないようにしてるんだけど、つい考えちまうよな。ほら、土曜日に人集めるとか言ってたじゃん?それって伊織も対象になってるだろ?
誘ったら来るのかな?
「なぁ空~。今何時ー?」
「えー?20時とかじゃん?どしてー?」
「ちょっとどっか寄ってかね?」
「……いいよ~」
俺が誘うと、空は軽く答えて途中で自転車を止めた。
川沿いの土手の所に降りて、俺と空は並んで座った。
「寒くないか?」
「うん。平気」
「これからどんどん寒くなっていくな。貴哉と初めての冬だ♪」
「お前冬好きなの?」
「好きだよ♪寒いのは好きじゃないけど、イベント多いし、夜景とかイルミネーションとかあるから楽しいじゃん」
「俺今までそういうイベントとは無縁だったから楽しいとか分からなかったわ」
「今年は一緒に楽しもうな♪」
「イルミネーションとかは見たいかな」
「任せろ♪早速帰ったら調べちゃお~♪あ、クリスマスはどうするんだ?」
「……さぁ。そん時まで一人だったら一人で過ごすんじゃん?」
「だから俺がいるだろ!」
「なに、お前一緒に過ごしてくれんの?」
「当たり前だろ♡桐原さんと別れると思わなかったから絶対無理だと思ってたから嬉しい~♡」
「伊織か、どうするんだろうな」
「……貴哉さ、桐原さんと別れるって決めたの後悔してる?」
空に聞かれて俺はハッとして顔を上げた。
すると、困ったように笑う空がいた。
「あれ、俺……そうなのか?」
「茜さんが言ってた通り元気ねぇもん。嫌いで別れた訳じゃないからじゃね?」
「俺は、別れるって決めて二人に宣言した時はスッキリしたんだ。でも、今はモヤモヤしてる。そっか、後悔してんのか」
「俺からしたら忘れろって言いたいけどな。無理にとは言わないよ」
「どうしてだ?」
「貴哉の気持ちを大切にしたいからだよ。もし、桐原さんの事をキッパリ忘れたいって言うなら俺も全力で口説きに入るけどさ。今は貴哉の気持ちを優先したいと思うよ」
「……伊織がさ、親に怒られたんだって。金の使い過ぎで。多分コレのせいだろ」
俺は首に下げていた指輪をギュッと握った。
空に話していいか分からなかったけど、もう全部話しておいた方がいいと思った。
これ以上一人で考えてても何も変わらないからな。
「あー、そりゃ怒られるよな~。そっか桐原さんの親はまともな親だったのか」
「怒られて、今監視として兄貴が家に戻って来てるらしい。あいつの親は……仕事で遠くに住んでるらしいからさ。全部俺のせいだ」
「……そういう事か」
俺が伊織がそうなった事を悔やんでいると、空は納得するような感じでスマホをいじり始めた。
10
あなたにおすすめの小説
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない
タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。
対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
猫と王子と恋ちぐら
真霜ナオ
BL
高校一年生の橙(かぶち)は、とある理由から過呼吸になることを防ぐために、無音のヘッドホンを装着して過ごしていた。
ある時、電車内で音漏れ警察と呼ばれる中年男性に絡まれた橙は、過呼吸を起こしてしまう。
パニック状態の橙を助けてくれたのは、クラスで王子と呼ばれている千蔵(ちくら)だった。
『そうやっておまえが俺を甘やかしたりするから』
小さな秘密を持つ黒髪王子×過呼吸持ち金髪の高校生BLです。
僕の王子様
くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。
無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。
そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。
見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。
元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。
※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
王子様と一緒。
紫紺
BL
田中明夫は作家を目指して10年、全く目が出ない男だ。
ある日、書店の前で金髪青い目の青年が突然話しかけてきた。最初は胡散臭く思っていたのだが……。
南の国の第2王子アスラン、その護衛トーゴー、田中が住むアパートの大家や住人の奨励会員などなど。
様々な人間模様と恋模様が織りなすBL多めのラブコメ開幕です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる