【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ 5thのその後

pino

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4章 空のバースデーパーティー

相手チームの核兵器はいなくなった!!

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 紫チーム対黒チームの試合は、内野にいた神凪が脱落した事により勢いをつけた追い上げで黒チームの逆転完全勝利に終わった。
 次は俺の緑チームの出番だ。
 コートに入ろうと立ち上がった時に紘夢がボソッと言った。


「あの子、どっかで見た事あるんだよな」

「あ?文化祭だろ?俺もそこで会ったし」

「それは覚えてるよ。友達と来てた事も名前も覚えてる。浅野双葉くん。中学三年生で、城山を受験する予定だろ。でもそれよりももっと前にどっかで会った気がするんだ」

「記憶力抜群のお前がそんな曖昧なの珍しいな。たまたま似てる奴だったとかじゃね?」

「うーん、そんな事無いと思うんだけどな~?あんなインパクトある子、俺が忘れる訳ないんだ。名前も聞いてたとしたら絶対一致する筈だし……」

「とりあえず俺行って来るわ!」

「てか次俺もだよ。緑対青~♪貴ちゃん狙いで行くからよろしくね~♪」

「マジで!?そりゃ楽しみだな!」


 俺と紘夢は歩き出す。
 俺達緑チームと紘夢の青チームはそれぞれ一回負けてるから、この勝負に負けたらほぼ優勝は出来ねぇ。大事な一戦だな!

 でも、青チームはキーマンだった桃山が抜けて代わりの奴が入ったけど、名前も知らない弱そうな奴だった。前の試合の時に見た限りトモは持ち前のデカい体と丈夫さ。紘夢は普通に運動神経良いって感じの動きをするだけ。だからトモさえ封じられれば何とかなる試合だ。


「いいか緑チーム!!相手チームの核兵器はいなくなった!!一気に大猿を落として速攻で勝つぞ!!」

「やるぞー!悪の二人は俺が倒す!!貴哉は内野に、中西は外野を頼む!薗田さんはジャンプボールお願いします!」

 
 俺がみんなに意気込むと、やたら張り切ってる侑士がそれぞれ指示を出していた。
 そっか。桃山はいなくなったけど、侑士から見て許せねぇのがまだ残ってるのか。紘夢とトモか。トモも犬飼達と悪さしてたらしいからな~。


「頼りにしてた桃がいなくなっちゃったから、本気出しちゃおっかな~?」

「あれ?一条ってば本気出してなかったのか?」

「うん。だって桃が一人で片付けちゃってたから。て事でよろしくなトモ~♪」


 そんな二人の声が聞こえて来た。
 紘夢とトモ。一見接点が無さそうだけど、同じ二年でやりやすいのはあるかもな。
 紘夢が本気出して無かったとか言ってるけど、桃山程じゃねぇだろ?

 ジャンプボールは詩音と紘夢だった。
 これは予想通り、身長差があって楽々と詩音が取ることが出来た。

 すかさず俺はそれをキャッチして、すぐに側にいた奴に向かって投げる。余裕で当てる事が出来た。まずは一人目~♪


「シャアァ!!」

「貴哉くんナイスだね♪」

「ほいっ!」


 一人当てる事が出来たけど、そいつに当たって転がるボールを紘夢が拾っていた。
 そしてニヤリと笑って外野に投げる。


「誰でもいいから当てて中においで~♪」

「はい!」


 元外野を内野に戻す作戦か。
 落ち着いてて紘夢らしいぜ。
 相手の外野の一人が紘夢から貰ったボールを投げるけど、詩音が難なくキャッチする事が出来て再びボールは俺らのチームに渡る。


「僕が投げてもいいのかい?」

「薗田さんお願いします!内野同士でのパスは禁止ですので」

「じゃあ遠慮なく♪」


 これまで詩音はジャンプボールでは活躍してたけど、コートの中ではあまり活躍してなかった。
 いや、前の試合ん時は相手チームの神凪が凄すぎてそれどころじゃなかったんだ。詩音だけじゃなくて俺も何も出来ずに終わったもんな。

 詩音は長い腕を横に広げて回すようにボールを投げた。おおー!投げる姿まで綺麗なのな!
 そのボールは鋭く敵陣に固まっていた集団に目掛けて飛んで行き、一人仕留める事が出来た。
 これで残り五人だ!


「詩音やったな~!かっこいいぞー!」

「貴哉くんに褒められると嬉しいな~♪でもボールはまた紘夢くんに取られちゃったね」


 そう、紘夢は必ずこぼれ球を拾っていた。素早く反応して、ボールが自分の陣地から出ないように誰よりも先に。
 そしてボールを手にするとすぐに投げる。それを徹底していた。


「こうなったら当てちゃうもんね~!」


 紘夢の口調こそはいつもの呑気な感じだったけど、体と力強さは立派なもんだった。
 素早く投げられたボールは俺の真横を通って後ろにいた一人に命中したようで、小さな悲鳴が聞こえて来た。
 何だよ!紘夢もやるじゃねぇか!


「よし!ボールは拾った!」

「侑士!トモだけじゃなくて紘夢も狙って行こう!」


 こっちの陣地に転がるボールを拾った侑士に言うと、ニコッと笑って紘夢に投げ返した。
 それを紘夢がひょいっと避ける。ボールは紘夢の後ろにいたトモがガシッとキャッチした。


「あはは~♪楽しい~♪」

「一条お前急に避けるなよ!俺じゃなかったら取れなかっただろうが!」

「トモがいるの分かってたから避けたんだよーん♪それよりも早く投げて~♪」

「おう!っても誰狙おうかなー?貴哉には当てたくねぇから~」

「そんなの一人しかいないだろー?ほら、あそこで俺達の事睨んでる城山の今の王様だよ♡」

「前田かぁ!よし!いっくぞ~!」


 紘夢の誘導で侑士が狙われる!トモは動きは遅いけど、なっち同様力が強い。侑士が耐え切れるか分からないぞ!
 侑士も二人の言葉を聞いて構えていた。

 ここで侑士が外野に行かれたら困る!
 何としてでもボールを避けさせるか止めるかしなきゃだ!
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