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1章 二学期中間テスト
笑い事じゃねぇだろ!
しおりを挟む球技大会も終わり、大分涼しくなって来た10月に入った頃、後は月末にやる文化祭か~と呑気に考えていた俺は教室にて愕然としていた。
なんと、文化祭の前に中間テストがあるらしい!しかも一週間後と来た!やべぇ!球技大会とか文化祭とかいろいろなゴタゴタで勉強の事すっかり忘れてたぜ!
また赤点取ったらどーすんだよ!?あの生徒会長ももう引退するってのに!
そして朝のホームルーム後、担任の玉ちゃんから呼び出しを受けた。久しぶりの呼び出しに俺は内心焦っていた。まさか釘を刺されるのか?「中間で赤点取ったらお前退学な」玉ちゃんに言われるのを想像して俺は更に焦る。
あーもぉ!他は何とか出来ても勉強だきゃ何とも出来ねぇよ!どーする俺!
「何か良い言い訳はねぇもんか」
職員室へ向かう途中で歩きながら一人で考える。
すると、向こう側から同じクラスの瑛二が歩いて来るのが見えた。瑛二も俺に気付いて駆け寄って来た。
「秋山くん~♪どこに行くのー?」
「玉ちゃんのとこだよ。瑛二お前は?」
「あ、ちょうど職員室へ行って来た帰りなんだ。ほら、一条さんに旅行をプレゼントしてもらったから土日でお母さんと温泉へ行って来たんだ。そのお土産を先生達に渡して来たの。みんなの分もあるよ」
「まじ?やったー♪そっかー、温泉行って来たのか~。いいなー」
嬉しそうに報告してくる瑛二は、あの件から本当に良く笑うようになった。クラスでみんなとも良く笑うようになったしな。
「秋山くんはどこに行くの?」
「俺は別件で玉ちゃんのとこだよ。久しぶりに呼び出されちまった」
「そうだったんだね。行ってらっしゃい」
「おう。行ってくらぁ」
瑛二と別れて再び職員室へ向かう。
もうあとはこの一本道を行けば到着するって時に、今度は伊織に会った。
伊織はパァッと笑顔になり、近寄って来た。
「貴哉ぁ♡こんなとこで会うなんて運命だなぁ♡」
この背の高い赤い髪をしてるイケメンは伊織っつって、一個上の二年で俺の彼氏だ。
「本当だな。まさかお前も呼び出しかぁ?」
「え、て事は貴哉もか?」
冗談でからかったのに、伊織は少し驚いた顔をして言った。
マジかよ!伊織も呼び出されてたのか!
って事は勉強の事じゃねぇのか?俺と伊織って事は、まさかまたあの事件の事言われるのか!?
「おう。俺は中間テストで赤点取ったら退学って言われるのかと思ってたけど、お前もって事は違ぇのかもな」
「俺は柴ちゃんから教頭が呼んでるって聞いたんだ。一ヶ月も経ってるしもうあの件じゃないとは思うけどな」
「教頭が!?お前何したんだよっ」
「さぁ?貴哉とはバレないようにイチャイチャしてるつもりだけど見つかったのかもな♪」
「笑い事じゃねぇだろ!」
嬉しそうに笑いながら話す伊織。
冗談じゃねぇ。俺らは一度教頭もいる場でその不純同性交遊ってやつに引っかかり、謹慎食らってんだ。またそれで呼び出されたとしたらヤベェだろ!
教頭は優しそうなおっさんだったし、何とかゴマ擦って見逃してもらえねぇかな?
「まぁ行ってみようぜ~?また違う話かもだし」
「……おう」
そのまま伊織と二人で職員室へ行くと、それぞれの担任が待っていたから俺達はバラけて各々の担任の所へ行った。
「お、来たか秋山!一緒に着いて来い」
「なぁ玉ちゃん!俺何したのー?何で呼ばれたのー?」
「いいから黙って付いて来るんだ。次の授業まで時間も無いからな」
玉ちゃんは少し焦ってるようだった。えー、マジでヤベェのかな?
俺は言われるがまま玉ちゃんに付いて行き、奥にあった誰かが座って話をするようなソファとテーブルがあるスペースに連れて来られた。伊織も伊織の担任の柴先と一緒に同じ場所へ来た。
俺と伊織は同じ件で呼び出されたらしい。やっぱり学校内でたまにいちゃついてるからかぁ!?
俺達が揃うとすぐ近くの机に座っていた教頭が立ち上がり、俺達の所まで来てニコッと笑った。
教頭はビシッと整えた白髪混じりの髪に、相変わらずの細い目をしていた。
そして俺達をソファに並んで座らせて自分も対面側に座った。玉ちゃん達は俺達の横に立っていた。
「やあ二人共、元気~?」
「元気です……」
「それよりも話って何だよ?」
「コラ!秋山!敬語を使え!」
「あー、はいはい。教頭先生、お話って何ですかー?」
「何、大した事ないよ。球技大会も終わって、もう10月に入ったから神凪くんに頼まれていた事を始めようと思ってね」
「生徒会長にですか?」
相変わらず細目のニコニコ笑顔のままのんびりした話し方で教頭が言うと、伊織も知らないらしく質問していた。
「あれ、神凪くんから聞いてないのか。彼は今月の生徒会長選挙が終わったら引退するから後の事を任されたんだ。その内容は先月の事件で処分を受けた二人に復帰したら僕が特別授業をして欲しいとお願いされていてね」
「教頭先生が俺達に特別授業ですか……」
「えー!それっていつやんの?」
「秋山ぁ!」
「大丈夫ですよ、玉山先生。僕としては他の授業に支障の出ない時間がいいと思っているんだ。君達二人は部活にも所属しているから、そうだね、今のような時間にしようか」
「朝ですか」
「うん。それぞれの朝のホームルームが始まるまでの30分間。僕の所へ来て特別授業を受けてもらおう。そうだな、毎週月曜日、場所は第二会議室がいいかな?」
「第二って、前数馬が使ってた所か」
「そうそう。広瀬くんが使ってた教室だよ。僕からの話は以上。何か質問あるかな?」
「一ついいですか?特別授業って何をやるんですか?」
「それは僕が考えます。まぁ二人に合った授業にしていくつもりでいるよ」
「分かりました」
「先生方からも質問などなければそろそろ授業も始まりますし、終わりにしたいと思います」
「私からは何も。秋山の事をよろしくお願いします!」
「あの、特別授業の期限とかはありますか?」
立ち上がった教頭に柴先が聞いていた。
「いえ、今は決めていません。二人の頑張り次第で決めようと思っています」
「分かりました。よろしくお願いします」
「ではまた。二人共次の月曜日から忘れずにね」
「はい」
教頭は先にこの場からいなくなった。
特別授業って響きは面倒くせぇけど、そこまで面倒じゃねぇかな?朝は少し早く来なきゃいけなくなるけど、30分だし、毎日とかじゃねぇし?
何よりあの教頭の授業だからな。これが学年主任とかだったら話は別だ。あいつは俺の事を目の敵にしてるから面倒くせぇどころの話じゃねぇ。
「うし!んじゃ俺らも教室戻るか~」
「秋山、お前本当にしっかりやれよ!俺に恥をかかせないでくれよな!」
「大丈夫だって~。俺玉ちゃんのお陰で成長したし~」
「目上にタメ口きいてる時点で成長してないだろ!敬語を使え敬語を!」
「柴ちゃん、俺もちゃんとやるから安心してよ」
「ああ。俺は桐原なら大丈夫だと思ってるよ」
隣から聞こえて来た伊織と柴先の会話に、俺は「ん?」と思って柴先をじーっと見た。そんな俺に柴先は不思議そうな顔をしていた。
「どうしたの秋山くん?」
「いや、今桐原ならって言ったから誰と比べてんのかなーって思ってよ」
「へっ!?」
「あはは!貴哉、それ面白ぇな♪」
「秋山、柴田先生を困らせるんじゃない。それに、柴田先生もお前の事を分かってるって事だ」
「ちょ、玉山先生!誤解です!俺は秋山くんも大丈夫だと思ってますって!」
「柴先、慌てると余計に怪しいぞ」
「あーウケる♪柴ちゃんって天然だから、悪気はねぇから許してやってよ」
柴先の何気なく発した言葉に怒ってる訳じゃねぇ。俺が伊織より手のかかる奴だってのは自分でも分かってるしな。うん。柴先が生徒のみんなから人気な理由分かる気がするな。
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