【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ5th season

pino

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1章 二学期中間テスト

俺にとって伊織もお前も二人共同じぐれぇ大事なんだよ!

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 空は悲しそうな顔をした後、またニコッと笑って更に近付いて来た。
 こいつ、何を考えてるんだ?全く分からないから俺はどうしたらいいのか分からなかった。


「桐原さんに月曜日の事話したのか?」

「……話したけど」

「へー、怒ってた?」

「いや、ちゃんと聞いてくれた。内心は怒ってると思うけど」

「キスした事は言ったのか?」

「言ったよ。全部話した」

「あはは!それなのに俺無傷とか奇跡じゃん♪」

「…………」


 今度は声を出して笑い出した。
 もう何が何やら……
 クラスメイト以下の態度を取られたと思ったら、普通に世間話して来たり、いきなり笑い出したり、今目の前にいる男は俺の知ってる早川空なんだよな?
 明らかに様子が変だ。


「それならさ~、キス以上の事もしても平気なのかな?試してみるー?」


 椅子に座ったままの俺にグイッと顔を近付けて来る空に、思わず身を引いちまった。そんな俺にクスクス笑ってた。


「おい、お前どうしたんだよ?おかしいぞ」

「そう?なんかさー、もう何もかもがどうでも良くなっちゃってさ~」

「……空?」

「って俺のこんな話聞いてもつまんなくね?なんなら面白い話してやろーか?」

「おい空っ」


 俺の声が聞こえてるのか聞こえてないのか一方的に話し続ける空。
 そして空は明るく笑って普通に言った。


「俺、客と寝たんだ。月曜日に」

「は?」


 信じられない話だった。
 空が言う客ってのは、前空をストーカーしてたおっさんみたいな奴らの事だよな?
 寝たって言うのは、同じ布団で寝たって訳じゃねぇよな?


「あはは♪驚いてるー。お小遣いいっぱいくれるって言うからさぁ。俺としてる時の貴哉気持ち良さそうだったからいっかなって……でも全然気持ち良くなかった。気持ち悪くて吐きそうなの堪えるの大変だった。痛ぇし、キモいし、マジで最悪だった。貴哉、良くあんなの耐えられるな」

「お前!何やってんだよっ!んな事すんじゃねぇよ!」

「するよ。だって金欲しいもん」

「だったら普通に働けよ!もっと自分を大切にしろよ!」

「うるせぇな!せっかく人が楽しい話してんだから笑えよ!馬鹿だなって笑えよ!」

「どこが楽しい話だよ!金が欲しいからって、そんな事してんじゃねぇよっ」


 俺は立ち上がって空を叱った。
 いくら金が欲しくてもやって良い事と悪い事がある。そんな危ない事してるなんて知ったら笑える訳がねぇ。
 もう関わらないって決めたのに、俺は空の腕を掴んで自分の方に引き寄せていた。


「空はその客の事が好きなのか!?好きじゃねぇだろ!金の為に気持ち悪くて吐く程の事なんかしてんじゃねぇよ!頼むから!もう危険な事はするな!」

「好きな訳ないだろ。二度と会いたくない。でもまたやるつもりだ。テストが終わったら会う約束したんだ」

「辞めろよ!空!そんな事するな!しちゃダメだ!」

「貴哉には関係ないんじゃなかったのか?関わらないって言ったじゃん。桐原さんを裏切るのか?」

「もう関係なくねぇだろ!俺はお前の事なんとも思ってなくねぇんだ!そんな事ぐらい分かってんだろ!俺にとって伊織もお前も二人共同じぐれぇ大事なんだよ!」

「貴哉っ……」


 俺は無我夢中で空を止めようとしていた。
 空の腕を掴む手に力が入ってカーディガンに皺が付いたけど、辛そうな空の顔見てたら放っておけなかった。
 金が欲しいからとか言ってるけど、さすがの空だってそんな事する筈ねぇ。きっと大半の理由は俺だろ。だから余計に何が何でも止めなきゃって思った。


「はいストーップ。二人共喧嘩しなーい」

「っ!」

「あ!伊織!?」


 ここで赤髪登場。
 俺と空の揉み合う状況を見て冷静に、落ち着いて「とりあえず離れろ」と言った。
 伊織は喧嘩と言ったけど、確かにいきなり来た奴が俺と空を見たらそう見えるのか。とりあえず落ち着いて、言われた通り空の腕を離してやった。
 空は俺に掴まれてた腕をさすりながら伊織が来た事で気まずそうに顔を背けた。そしてそのまま立ち去ろうとするのを伊織が呼び止めた。


「逃げんな早川~、ちょっと面貸せよ?場合によっては俺怒らなくちゃだろ?」

「別に、貴哉に手を出していた訳じゃありませんよ。もう話は終わりましたし」

「まだだ!終わってねぇだろ!」


 伊織の言葉は優しくて笑顔だったけど、きっとこれは怒ってる。空はため息を吐いて向き直り伊織を真っ直ぐに見た。
 無表情。最近時々見る何もない空だった。


「とにかくここじゃマズイから場所移すぞ。貴哉お前は勉強もしなきゃだから手短に済ませよう」

「空!行くぞ!」

「っ……分かったよ」


 俺が空に言うと、顔を合わせる事なくそう言った。俺達は前を歩く伊織について行き、三人で学校を出た。

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