【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ5th season

pino

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3章 文化祭まで一週間

※ だから空くんの事ムカついたりしてないよ

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 ※紘夢side

 金曜日の学校終わりに空くんと通りにあった公園のベンチに座って肉まんを頬張る。
 ここら辺のコンビニの肉まんは吉乃と一緒に全て制覇したからどこのやつが一番美味しいのかは把握済みだった。

 ん~♡やっぱりこの肉まんが一番好き♪
 ふわふわの白い生地にゴロゴロした具がたくさん入ってて食べ応えがあるの~♡
 学校帰りに食べるってのがまたいいんだよね♪


「美味しそうに食べますね。肉まん好きなんですか?」


 パクッと最後の一口を口に入れてほっぺを押さえて満足してると、隣でゆっくり食べてた空くんに笑われた。
 吉乃のにも初めはそんな顔されたなー。


「好き!暖かくて美味しいからね♪この時間にこの場所で食べるってのが程良い量でまた良い♪」

「はは、お腹が空く時間ですもんね」

「そうだ!今度は空くんがして来た放課後を見せてよ♪吉乃の放課後はゲームセンターで遊んだり、ファーストフード店に意味もなく居座ったり、そういうのばっかだったんだ。空くんは楽しい事してそうだよね~♪」


 ここで、空くんは「あ」と一瞬驚いた顔をしたけど、すぐにニコッと笑ってくれた。


「いいですよ。でも俺も雉岡さんとあまり変わりませんよ。期待しないで下さい」

「期待するする~♪間違いなく俺が知ってる放課後何かより楽しくて価値のある物なんだから♪」

「一条さん、さっきは生意気な事を言ってしまってすみませんでした。言い訳になってしまいますが、俺男友達と素で過ごしたのって貴哉が初めてだったんで、慣れてないんです。女の子とは初対面でもフランクに話せるんですけどね。だから一条さんがこうして普通に話してくれて良かったです」

「おっ、やっと本音で話してくれてる感じ~?いいね~♪先輩後輩のガチ対話!青春っぽくて最高!」


 俺とは一枚壁を作っていた空くんが、やっと少しだけこちら側に来てくれた気がして嬉しかった。
 俺だって人と話すのは義務的な行為でしか慣れていない。だから誰とでも話せるけど、こうして同世代として話すのは今でも頭を使わないと上手くやれない事もあるんだ。

 周りとは少し違う頭を持った俺はどうにも上から物を言ってしまう癖があるんだ。
 だから話し方だけでも柔らかくしてるつもりなんだけど、ただの馬鹿っぽく見えないか不安になる事もあるよ。

 俺や上級生を相手にする空くんはいつも落ち着いて、知的な話し方をする。目上の人と接する事が多かったのかな?と感心する所もあるけど、壁を作られている気がして親しくなるのに時間が掛かるタイプだ。
 そう言うのを好む人もいるけど、普通の高校生には難しい話ばかりじゃ退屈じゃない?俺は楽しいけど~。

 そして今空くんから聞きたい本音は貴ちゃんの事。
 貴ちゃんから空くんを任されたのは本当だ。
 空くんが俺の所でバイトをする事になったのは貴ちゃんからお願いされたから。その時に貴ちゃんなりに空くんを心配していて、近くで見ていてやれない代わりに俺に不安定な空くんを見ていて欲しいと。

 どんな風に不安定なのかは良く分からない。敢えて貴ちゃんからも聞かなかったし、自分でも調べたりしてない。これから空くんと過ごして行く内に本人から聞ければなと思ってる。

 大体は分かるけどね。貴ちゃんといーくんを見ている空くんはとても寂しそうで悲しそうにしているから。

 今日の昼休憩で、貴ちゃんと空くんは一緒に出て行った。そして大遅刻をして戻って来た。
 絶対何かあったのは俺だけじゃなくていーくんも気付いた筈だ。
 でもいーくんはいつも通りにして二人に接していたね。大人だね~。


「青春ついでに恋バナでもしようか」

「唐突ですね。雉岡さんですか?」

「俺のじゃなくて空くんのだよ」

「……俺の恋バナなんてありませんよ。過去のも付き合ったり別れたりの繰り返しでつまらないものだし」

「今の恋バナ聞かせてよ♪貴ちゃんとどうなのよ?」

「どうって、普通です。そもそも貴哉には恋人がいるんで」

「もう面倒だから率直に聞くけど、今日貴ちゃんに手出したでしょ?」

「…………」

「いーくんも気付いてると思うよ」

「お願いします。誰にも言わないで下さい。もし蒸し返したりでもしたら貴哉が辛い思いするから」

「言わないけどさー、それで空くんはいいの?貴ちゃんが手に入るのはその一瞬だけじゃん」

「俺はいいんです。貴哉が笑ってくれてるなら」

「ふーん。で、どこまで手出したのー?」

「は?そこまで言わなきゃいけないんですか?」


 空くんは凄く嫌な顔をした。
 ふふ。俺にもそんな顔してくれるようになったね。少し嬉しいな♪


「聞きたーい♡恋バナってそういうものでしょー?」

「嫌です。聞きたいなら貴哉に聞いて下さい」


 ふいっと違う方を向いてしまった空くん。
 拗ねてるみたいで可愛いな~。
 ま、無理には聞かないでおこうか。

 ちゃんと本当の事を言ってくれた。それだけでも空くんとの距離は縮まったかな?


「実を言うとね、俺も貴ちゃんに片想いしていたんだよ」

「あ、やっぱりそうだったんですね。一条さんならあの手この手を使って手に入れそうですけど、それしてくれなくて助かりましたよ」


 いきなり言うようになったね。
 この方が話しやすくていいけどね。


「そう思うでしょー?でもね、さすがの貴ちゃんに関しては無理なのよ。だから好きなまま側にいる事を選んだよ。今の空くんと似ているようで違う関係かなー」

「えっ!まだ好きなんですか!?」

「当たり前だろー?ちなみに吉乃はまだ貴ちゃんを超えてないよ」


 ここで空くんがギョッとした顔をしていたから、面白くなって普通答えた。


「吉乃も知ってるんじゃない?俺が貴ちゃん大好きなの隠してないから。でもね、ちゃんと吉乃の事も好きなんだよ。愛おしいって思うんだ」


 空くんは更に驚いた顔をした。
 やっぱり面白い~♪
 ケラケラ笑う俺を見て、今度は軽く笑っていた。


「そうだったんですね。良く貴哉を自分の物にしたいって思いませんね。もしかして俺の事もムカついてます?」

「好きになってもらいたいとは思うけど、自分の物にしたいとは思わないかな~?だって、そんなの貴ちゃんじゃないもん。俺は貴哉、貴哉くん、秋山、秋山くん、貴ちゃんっていろんな人から愛される貴ちゃんが好きなんだもん♡だから空くんの事ムカついたりしてないよ」

「一条さんは大人ですね。俺もそうなれたら楽なのに」

「空くんはそのままでいなきゃダメでしょ。俺の楽しみが減るじゃん!」

「え?」

「貴ちゃんにいろんな人が寄って来て何かあるから楽しいんでしょー♡そんで貴ちゃんは困って今回みたいに俺を頼る♡あはは♡楽しい~」

「…………」


 貴ちゃんは滅多な事では俺を頼りたがらないからね~。だから今回のは本当に嬉しかった。
 貴ちゃんと再会出来てから俺は毎日が楽しくて仕方ないよ。

 空くんにもこのままいーくんから貴ちゃんを奪う気で頑張って欲しいんだけどな~。

 
 
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