【完結】どいつもこいつもかかって来やがれ5th season

pino

文字の大きさ
189 / 219
4章 文化祭

ちょー良い年下じゃねぇかぁ♪

しおりを挟む

 一人残された俺は椅子に座ったままボーッとしていた。
 突然の類の登場で、伊織と微妙だった空気が一気に増して、そんでそのまま伊織は類と行っちゃって……

 あーあ、また類に取られるのかなぁ。
 絶対言うもんなあいつ。
 あれをあいつに言われたら俺、ちゃんとやだって言えるかな。もうガキじゃねぇし言えるだろ。 
 でももしもまた周りがあいつの味方したら?
 また俺が我慢するしかなくなったら?

 くそー、あいつさっさと帰れよ!


「あのー、ちょっと聞きたいんですけどー?」

「あ?何だよっ」


 むしゃくしゃしてる所に一人の背の高い男が声を掛けて来やがった。
 その男は茶髪で肌の色が焼けたのか、焼いてるのかやや色黒だった。地黒って可能性もあるな。
 少々不機嫌に対応すると、男は無表情のままジーッと見ていた。


「だから何だよ!」

「あ、すみません。かっこいいなぁって見惚れちゃって」

「かっこいいだぁ?」


 初見で怖いとか可愛いなら言われ慣れてるけど、かっこいいだと?そんな事を俺に言う奴なんて今までいなかったな。
 ふーん。こいつ見る目あるんじゃね?


「そ、そうかよ?お前いい奴だな」

「あはは、ところでお兄さん機嫌悪そうでしたね。時間あるんで話聞きましょうか?ほら俺とはこれ切りの関係ですし、人に話して楽になる事もあるんじゃないですか?」

「まぁ確かにそうかもな」


 こいつの言う通り一人でモヤッてるよりはマシか。何か聞き上手っぽい言い方してるし、こんな話は誰にでも出来る訳じゃねぇから話してみるか。


「俺さ、付き合ってる奴いるんだわ。そんでそいつとちょっとギクシャクしちまってよ。怒らせちゃったんだ」

「あ、恋愛系の悩みですか。なるほど~。お兄さんモテそうですもんね~。何が原因なんですか?」


 男は嫌な顔せずに頷きながら聞いてくれていた。
 俺が空いてた椅子を出して座れよと指示すると、男はペコッと頭を下げて座った。


「原因は俺じゃね?俺が他の奴と仲良くしたり、てか他を好きなのが悪いんだ。それは分かってるんだけど、俺はどっちかを選ぶとか出来なくていつもどっちも傷付けちまうんだ」

「三角関係か。俺もそこまで経験ある方じゃないから本当に聞くしか出来ませんけど……俺の意見を言うとすれば、俺ならどちらも選びませんね」

「えっどっちも?」

「はい。俺、面倒くさいの嫌いなんで。他行きます」


 男は落ち着いた様子のままニコッと笑って言った。ほう、これが大人の意見ってやつか?
 過去に一度どっちも選ばないってのはやった事があるけど、そん時はどうだったかな?二人共俺を取り合う感じでそれはそれで面倒じゃなかったっけ?
 てか俺がどっちも好きだから手離せない感じなんだけどな~。


「こんがり兄ちゃん、相手に困ってなさそうだもんな。取っ替え引っ替えしてんだろー?」

「そこまで経験は無いって言ったじゃないですか~。俺、本命に出会った事無いんです。だからお兄さんみたいに恋愛で悩めるのって羨ましかったりもしますよ」

「マジで?俺も高校入ってから誰かを好きってなったけど、てか兄ちゃんいくつ?大学生か?」

「いやいや、俺お兄さんより年下ですよ。今中三です」

「中学生ー!?おまっ!なんつー大人っぽい見た目と振る舞いしてんだ!騙されたじゃねぇか!」

「えー、騙したつもりないんですけどね~。ごめんなさい♪てかお兄さんの場合、俺が年上でも年下でも関係なさそうですけどね」


 クスクス楽しそうに笑う中三だというこんがり兄ちゃんは、本当に大人っぽかった。スラッと背が高くて詩音とかみてぇな感じ。
 顔も切れ長の綺麗な目してて、男らしくもあった。


「なぁ、何食ったらそんな風になれんの?俺もまだ背伸びる予定なんだけどさ、もっと高くなりてぇんだ」

「特に変わった物食べてませんけど。野菜は好きですねー♪あと魚も」

「うげっ!俺の苦手なもんじゃねぇか」

「肉も食べますよ。多分遺伝じゃないですか?お兄さん、人は見た目じゃないですから、そこまで気にする必要ありませんよ~。大事なのは中身です」

「それさー、お前がそんなナリしてっから言えるんだぞ?お前が俺と逆の立場だったらって考えてみろよ~」

「逆だったら?うーん、やっぱり今と変わらないかな。俺、お兄さんみたいにかっこよかったら満足です♪」

「おまっ!ちょー良い年下じゃねぇかぁ♪気に入った!名前なんてーの?」

「やったぁ♪気に入って貰えた~♪俺は双葉って言います。浅野双葉。お兄さんの名前も教えて下さい」

「双葉な!名前までお洒落じゃねぇか♪俺は貴哉だ!秋山貴哉!」

「え……秋山、貴哉?」


 俺が名乗ると双葉は一瞬目を大きくして驚いた顔をした。なんだ?そんな珍しい名前でもねぇだろ?


「どうした?お前良い奴だから貴哉でいいぞー」

「いや、えっと、貴哉って呼び捨てで呼んでいいんですか?」

「おう♪俺はそんな小させぇ事気にするような男じゃねぇんだ。好きに呼べよ♪お前の言う通り話したら大分元に戻ったしな♪てかお前は俺に何の用だったんだ?」

「……あ、人探してたんです。その人ボラ部の人と知り合いだったからここに来ればいるかなって。やっぱり連絡してどこかで待ち合わせしますね。それじゃあ俺そろそろ行きます」

「そ?無事会えるといいな。気を付けて帰れよ~」


 俺は双葉と話して本当に心が和らいだから、機嫌良く見送ろうと手を振ってやった。
 すると、双葉は立ち去ろうとした足を止めてクルッと振り返って俺を見た。
 双葉は少し戸惑ってる感じだった。


「あのっまた会ってくれますか?俺、貴哉ともっと話がしたいです」

「おう!会える会える~♪俺の恋愛相談も聞いてくれや。いつでも会いに来いよ~」


 俺が笑顔でそう言うと、双葉も笑顔になって、帰って行った。

 本当に良い奴だったな~。
 俺はこんな見た目だから年下からは怖がられて来たからあんな風に普通にしてもらえてちょっと嬉しかったわ。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2025.12.14 285話のタイトルを「おみやげ何にする? Ⅲ」から変更しました。 ■2025.11.29 294話のタイトルを「赤い川」から変更しました。 ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

処理中です...