コブシ文庫(ピンク)

コブシ

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●ックス祭り

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今はさすがに、娘(小6)と一緒には風呂に入ってない。

でも、つい1年前まで一緒に娘(小5)と風呂に入っていた。

その時の出来事。

 体を洗い終わり、二人で湯船に入っていたら娘が話し掛けてきた。

 「ねぇ、パパ。」

 「うん、何?」

 「セックスって知ってる?」

 飯食いながら、味噌汁飲んでたら、確実に吹いていたであろう。

 「な、な、何、言うてんの!」

 「だ~か~ら~、セックス知ってるって言ってんの!」

 娘は、困惑している私を楽しむかのように、笑いながら再び聞いてきた。

 「そ、そ、そりゃ~知ってるよ。」

おそらくYちゃんは、知ってて聞いているのだろう。

 変にウソつくのもアレだと思い、正直に答えた。

 「じゃあ~パパとママって、セックスした事あるん?」

 「そ、そ、そりゃ~、あ、あるよ。」

 「エエ~ッ!キンモ~ッ!」

 何なんだろう、この状況・・・。

 「その、アンタがキモいと思っているセックスをしてYちゃんは生まれたんだよ。」

・・・なんて言える訳もなく、困惑していた私。

 「なんで、そんな言葉知ってるんよ?」

 「だって~、今日、保健の授業で習ったんだもん!」

 性教育って、こんなに早かったっけ?

 私の時代は、もっと遅かったように思うんだけど・・・。

 「ねぇ、ねぇ、ディープキスって、した事あるん?」

 「あ、あ、あるよ・・・。」

 「エエ~ッ!キンモ~ッ!」

 実の娘に性に関する事を聞かれ続ける。

 何なんだろう、この地獄のような時間は・・・。

そりゃ~男だから、下ネタを話す事は嫌いじゃない。

いや、むしろ、好きな方かもしれない。

ただし、それは気のあう仲間と、酒でも酌み交わしながらの話である。

この地獄から抜け出したい私は、いつもより早めに湯船から出た。

 娘も、いつも通り私と一緒に出た。

タオルで体を拭く。

 「セ~ックス!セ~ックス!セ~ックス!」

 娘が、変なスイッチが入ったように連呼し出した。

 「こ、こ、こら、や、や、やめなさい!」

こういう時、子供って奴は、諌めれば諌めるほど火に油を注ぐようになるのはわかっていた。

 押してダメなら引いてみな。

っていう訳じゃないけど、私も一緒になって、娘が言う「セ~ックス!セ~ックス!セ~ックス!」という言葉に同調しながら言ってみた。

 「セ~ックス!セ~ックス!セ~ックス!」

 「ハッ!ホッ!ヨイショッ!」

 私も何かが吹っ切れて、言葉の合間に、合いの手みたいに入れながら阿波おどりのように踊りながら、リビングに行った。

 「ちょっとー!何、言ってるの!アンタたち!」

 台所にいた妻が、血相を変えて私たちの元に来た。

 火が着いた私も、当初の娘にセックスの連呼を止めさせるという主旨を忘れていた。

 「祭りかっ!止めなさい!」

 妻の的確な突っ込みの一喝で、ようやく祭りは終わった。

やっぱり小学5年生で、性教育はまだ早いと思う。

きっと、日本全県、小学5年生を持つ家庭で、このセックス祭りは行われている事だろう。
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