12 / 21
抗う
しおりを挟む
和也との練習も1ヶ月ほど経った。
「いいぞ、和也!今みたいに動ければ、相手はついてこれないからな!」
すっかりピボットターンを身につけていた。勇二が繰り出す大振りなパンチをかいくぐり、ピボットターンで相手の死角に入り、鳩尾にパンチを打ち込む。端から見れば一端のボクサーのような動きになっていた和也。
「勇二さんのお陰です!」
和也は弾けるような笑顔で答えた。
その言葉を最後に、和也は姿を見せなくなった。
次の日も、そのまた次の日も・・・。
練習が嫌になってしまったのだろうか?病気にでもなったのだろうか?
勇二は和也の事が気になっていた。和也の連絡先も知らないし、知っていたとしても、勇二からは電話をかけなかっただろう。
和也の事が気になっていたある日。いつものように朝6時から公園でロードワークの前のストレッチをしていた勇二。
屈伸しながら地面に目を落としていた。見慣れた運動靴が視界に入る。顔を上げた勇二。
和也だった。
「和也、久しぶ・・・ど、どうしたんや、その顔!」
見上げた勇二は、久しぶりに見た和也の顔の異変に気がついた。
両目の辺りがパンダのようにどす黒くなっていた。明らかに殴られた跡。
ばつが悪そうにはにかみながら和也は言った。
「・・・やっぱりばれちゃったか。一応、勇二さんが心配すると思って何日間か腫れだけでも引かそうとずっと氷で冷やしてたんだけどね。・・でも、勇二さんに少しでも早く報告したくて・・俺、やったよ!」
和也は勇二との練習で自分に自信が持てるようになっていた。身体の身のこなし、パンチ。明らかに以前の弱い自分ではなく、あいつらに抗う事ができる自信がついた。
そして、初めて奴らに抗った。
いつもと違う反応をする和也に奴らも最初は戸惑っていた。しかし、すぐに集団で暴行を受けた。でも、和也の話によると、何人かには勇二に教えてもらった拳を叩き込む事ができたようだ。
和也は清々しい顔をしていた。
あん時・・・アイツらに仕返しをする為、ボクシングという手段を手に入れた時、俺も和也と同じ顔をしていたのかな?
「・・・やったな、和也。」
涙もろい勇二は和也に涙がバレないように右手で和也の頭に手をやり乱暴に撫で、左手で涙を拭った。
「痛い、痛い!まだ、治ってないんだってば勇二さん!」
「あ、ゴメン、ゴメン!」
そう言って二人は笑いあった。
でも、本当に良かった・・・
今現在、日本全国、和也のように心優しい子供たちがイジメにあっている。今のいじめは相当たちが悪く、死ぬまで追い込まれてしまうケースもある。
そんな子供たちが、1人でも多く和也のように自分に自信を持ち、心から笑えるようになって欲しい。
一瞬、そんな仕事をしたいなと勇二は思った。
「それと・・・今日は勇二さんに伝えたい事があるんだ・・・」
和也は言いにくそうにしていた。
「なんやねん、さらっと言ってくれよ。ためられたら怖いやん!」
勇二は笑いながら言った。
「勇二さん、後2か月後に試合でしょ?本当だったら1分でも1秒でも自分の勘を取り戻す練習をしなければいけないじゃない?なのにボクの為に時間を割いてもらってたのが申し訳ないなってずっと思ってたんだ。だから・・・ボクはもう大丈夫だから!勇二さんのお陰でボク、生まれ変わる事ができたんだ!本当にありがとうございました!」
そう言って和也は丁寧にお辞儀をした。
「そうか・・俺も嬉しいよ!和也と一緒に練習出来なくなるのは淋しいけど、今度は俺が頑張ってる姿を和也に見せなきゃな!」
この子は本当に優しい子なんだなと勇二は思った。
そうだ、俺には後2ヶ月しか時間がない。和也の前で恥ずかしい姿は見せられない。
勇二は気持ちを切り替えた。
「いいぞ、和也!今みたいに動ければ、相手はついてこれないからな!」
すっかりピボットターンを身につけていた。勇二が繰り出す大振りなパンチをかいくぐり、ピボットターンで相手の死角に入り、鳩尾にパンチを打ち込む。端から見れば一端のボクサーのような動きになっていた和也。
「勇二さんのお陰です!」
和也は弾けるような笑顔で答えた。
その言葉を最後に、和也は姿を見せなくなった。
次の日も、そのまた次の日も・・・。
練習が嫌になってしまったのだろうか?病気にでもなったのだろうか?
勇二は和也の事が気になっていた。和也の連絡先も知らないし、知っていたとしても、勇二からは電話をかけなかっただろう。
和也の事が気になっていたある日。いつものように朝6時から公園でロードワークの前のストレッチをしていた勇二。
屈伸しながら地面に目を落としていた。見慣れた運動靴が視界に入る。顔を上げた勇二。
和也だった。
「和也、久しぶ・・・ど、どうしたんや、その顔!」
見上げた勇二は、久しぶりに見た和也の顔の異変に気がついた。
両目の辺りがパンダのようにどす黒くなっていた。明らかに殴られた跡。
ばつが悪そうにはにかみながら和也は言った。
「・・・やっぱりばれちゃったか。一応、勇二さんが心配すると思って何日間か腫れだけでも引かそうとずっと氷で冷やしてたんだけどね。・・でも、勇二さんに少しでも早く報告したくて・・俺、やったよ!」
和也は勇二との練習で自分に自信が持てるようになっていた。身体の身のこなし、パンチ。明らかに以前の弱い自分ではなく、あいつらに抗う事ができる自信がついた。
そして、初めて奴らに抗った。
いつもと違う反応をする和也に奴らも最初は戸惑っていた。しかし、すぐに集団で暴行を受けた。でも、和也の話によると、何人かには勇二に教えてもらった拳を叩き込む事ができたようだ。
和也は清々しい顔をしていた。
あん時・・・アイツらに仕返しをする為、ボクシングという手段を手に入れた時、俺も和也と同じ顔をしていたのかな?
「・・・やったな、和也。」
涙もろい勇二は和也に涙がバレないように右手で和也の頭に手をやり乱暴に撫で、左手で涙を拭った。
「痛い、痛い!まだ、治ってないんだってば勇二さん!」
「あ、ゴメン、ゴメン!」
そう言って二人は笑いあった。
でも、本当に良かった・・・
今現在、日本全国、和也のように心優しい子供たちがイジメにあっている。今のいじめは相当たちが悪く、死ぬまで追い込まれてしまうケースもある。
そんな子供たちが、1人でも多く和也のように自分に自信を持ち、心から笑えるようになって欲しい。
一瞬、そんな仕事をしたいなと勇二は思った。
「それと・・・今日は勇二さんに伝えたい事があるんだ・・・」
和也は言いにくそうにしていた。
「なんやねん、さらっと言ってくれよ。ためられたら怖いやん!」
勇二は笑いながら言った。
「勇二さん、後2か月後に試合でしょ?本当だったら1分でも1秒でも自分の勘を取り戻す練習をしなければいけないじゃない?なのにボクの為に時間を割いてもらってたのが申し訳ないなってずっと思ってたんだ。だから・・・ボクはもう大丈夫だから!勇二さんのお陰でボク、生まれ変わる事ができたんだ!本当にありがとうございました!」
そう言って和也は丁寧にお辞儀をした。
「そうか・・俺も嬉しいよ!和也と一緒に練習出来なくなるのは淋しいけど、今度は俺が頑張ってる姿を和也に見せなきゃな!」
この子は本当に優しい子なんだなと勇二は思った。
そうだ、俺には後2ヶ月しか時間がない。和也の前で恥ずかしい姿は見せられない。
勇二は気持ちを切り替えた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる