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いつか絶対殺してやるからな・・・

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いつか絶対殺してやるからな・・・




ボクは石に刻むように心の中で呟いて歯をくいしばった。






















バシッッ!






















肉片を打ち付ける生々しい乾いた音が部屋に響き渡る。


その衝撃はボクの軸がぶれる程だった。






「お前は兄貴だろうがっ!」







またこのセリフだ・・


お前らが勝手にsexして、たまたま早くボクが生まれただけだろ。


ボクはいつも思う。


先に生まれただけなのに、何故、こんな理不尽な扱いを受けなければならないのだろうか?


あいつはいつも、瞬間湯沸し器のように突然怒りだす。


そして、夜叉のような顔をして、ボクの前に仁王立ちする。


そして、右手でボクの頬を思いっきり叩く。


人間というのは、環境に順応する生き物だなぁとつくづく思う。


幼い頃は、こちらが準備する間もなく叩かれていた。


しかし、段々と叩かれるタイミングが分かりだし、叩かれる前に歯をくいしばる事が出来るようになった。


叩かれた後は、痛さ、惨めさ、自分だけ殴られる悔しさからか涙が出る。


幼い頃は声を上げて泣いていた。


しかし、その泣き声がアイツの逆鱗に触れて、再び殴られてしまう。


だから、いつからか泣き声を上げることなく涙を流せるようになった。


でも、本当は泣きたくなんかない。


だけど何故だか泣いてしまう。


こんなボクにだってプライドがある。


普段、母さんはボクに優しかった。


けれど、ボクがアイツに殴られる時は、見て見ぬふりをしていた。


所詮、アイツの女だからな・・・


諦めにも似た感情だった。


アイツに殴られた後、泣きながら自分の部屋の窓から見える海を眺めるのが好きだった。


無限に広がる大きな海。


あの地平線の向こうには、どんな世界があるのかな・・・


その瞬間だけは希望が持てた。


そんな事を考えているうちに、いつのまにか涙は乾いていた。


窓から見える海だけがボクを裏切らず慰めてくれた。


きっと、心理学の事は詳しくわからないが、この海を眺めて自分を落ち着かせる行為。


“今いる場所から逃げ出したい”


きっと、そんな診断結果なんだろうと思う。


そして何より、ボクは弟が殴られているのを1度も見た事がない。

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