僕と先生は、終わった。

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第1章 同棲生活始まります!?

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さっきの出来事が頭から離れない。
「んだよ、結局盗んだもんも取り返されちまったしよぅ。」
家、とも呼べないような小さな小屋にたどり着いた頃には、もう11時を越えていた。
兄はいつも通り、奥にある白くくすんだソファに寝転んだ。
俺はいつも通り、出口に近い木製の椅子に座る。
さっきの出来事…あの男が着ていた制服は、たしかに中井と同じものだった。
あの男は中井と同じ高校かもしれない。
中井という名が脳内に現れるだけで胸が高鳴るのは、一種の病気なのだろうか。
「あ、兄さん俺明日の夕方いないから。仕事は一人でやってね。」
「ていうかおまえそれ最近ずっとじゃねえか。どこで何してんだよ。」
「とんでもないこと。」
兄は適当に相槌をうって、背を向けた。
そしてすぐに心地良さそうな寝息をたて始める。
俺はいつも通り、そんな兄に毛布をかけて明日の準備を始めるのだった。




翌朝、午前中は二人で仕事をした。
二人とも昨日の分の遅れを取り返そうとやっきになって、帰りにはまずまずと言えるような収穫を得た。
そしてカップラーメンを食べ終えるとすぐ、兄は出て行ってしまった。
さしずめ賭け事でもしに遊びに行ったのだろう。
「よし、もうそろそろ電車が…。」
準備開始だ。

まず、服を全て脱ぐ。そして紺のプリーツスカートに足を入れる。
それだけだとただの変態だ。
半袖のシャツに赤いネクタイ、そして首元にイチゴの香りの香水。
仕上げは黒髪ポニーテールのウィッグだ。
出来上がりに五分もかからないほどに慣れていた。
無理もない、土日祝日以外はほぼ毎日なのだから。
兄がいなくなってしんと静まり返ったこの空間で、俺は今まで何度「女子高生」
になったことだろう。
そしてふと壁時計を見てみると、まだあの電車が来るまで30分もあった。
余裕で間に合うのだが、俺の心は柄にもなく喜びに満ち溢れていたので、ついでにどこか散歩しながら行こうと思った。
まぁあまり広範囲をぶらつくのは職業上よくないので、結局駅のホームで待つことになったのだか。
「まもなく、電車が参ります。黄色い線から、おさがりください。」
機械音のナレーションに、とうとうきたかと胸がときめいた。
変な感じだった。
俺じゃないようだ。
ドバッと人が溢れでてきて、俺は一番に揺れる車両に飛び乗った。
そしてーーーー
「秋ちゃん、こんばんは。」
すぐ左に、いつも通りの場所にいた。
「中井君、こんばんは!!!」
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