恋人のいない彼女達

ももずく

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2.優花の場合

下校

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新学期が始まり数日が経つ。
優花も少しずつクラスに溶け込めていた。

「さっきの問題解けた?」
「うん、まぁ…」
「えー、すごいね」

授業の間の短い時間に、春人と話すのが彼女の楽しみになっていた。
必ず話すという程でもないが、目が合うと会話が始まる。
かといって、お互いの友人に声をかけると離れる。
そのくらいの距離感であった。

それでも、彼の話しやすさに彼女は救われていた。

全ての授業を終え、荷物を整理していた。

「この前の本、どこまで読んだの?」
「半分、くらいかな」
「最後すごく面白いよ」
「楽しみだなぁ」

同じタイミングで荷物を詰め終わった2人は、会話を続けながら教室を出た。
廊下から校門までもずっと話し続けていた。

当たり前のように2人で並んで歩いている。

不意に意識してしまった。
これは恋人がすることではないだろうか。

一瞬だけそのような考えが浮かんだが、それよりも彼との会話を楽しみたかった。

「僕、すぐ近くが家なんだ」

数分経たないうちに、2人の時間は終わった。
彼は校門を出るとすぐに細い道に曲がった。

「そっか、ばいばい」

軽く挨拶をし、別の道を歩く。

(もっと、話したかったな)

そう思いながら歩いていた。
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