絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります

第77話 リオの選択

　話が纏まったところでラキが立ち上がった。

「それじゃあシモン、子供達をよろしく頼むぞ?」

「任せておけ!　お主らも気を付けてな。決して無理をするでないぞ?」

「誰に向かって言うておる」

　ユウ達も立ち上がり別れの挨拶を交わす。ここ何日か一緒に暮らした子供達との別れは、情が移ったアリィが子供達と一緒に号泣してしまい大変なことになってしまった。

「また来るから」「元気でね」「風邪引かないでね」「好き嫌いしちゃダメよ」などなど、アリィはまるでお母さん目線だった。

　獣人街を後にして、冒険者ギルドまでの道程を歩きながら、ユウはリオにそう言えばと切り出した。

「今更なんだが、リオは街に残らなくて良かったのか?　いや、一緒に来てくれるのはありがたいんだが、ちょっと気になってな...」

「あぁうん、前にも言ったと思うけど、もうリオはユウ達と離れられないかなと。その...主に食事面で...」

　最後の方は恥ずかしいのか小声だった。

「フフフッ!　確かにリオの言う通りじゃな。妾もすっかりユウ達に餌付けされてしもうた。胃袋を掴まれたらもう離れられんの」

　ラキが笑いながらそう続けた。

「あぁうん、そういうことね...そういやあの子達もほんの数日でそんな感じになってたっけな...」

　ウサギ獣人の子達はそのまんまベジタリアンで、ドレッシングやマヨネーズを掛けたサラダに感動していたし、猫獣人の子達は焼き肉に夢中になっていたことをユウは思い出した。

　結局、自分達がどうこうというより、日本の食文化が彼女達のハートを射止めたということに、多少忸怩たる思いはあるものの、一緒に来てくれることは力強くて助かるので、ユウは色々と呑み込んでこれ以上は突っ込まないことに決めた。　

「あぁっ!　もちろん、食事だけじゃないよ!　トイレもベッドも...あとついでにお風呂も...と、とにかく、一度味わっちゃったらもう二度と」

「あぁうん、もういいよリオ。皆まで言わなくても分かってるから...」

　今度は日本文化に負けたような気になって落ち込むユウの隣で、アリィはまだグズグズと涙を溢していた。


◇◇◇


　冒険者ギルドに着いて早速、王家が発注した高難度クエストを受注しようとしたユウ達に待ったが掛かった。

「申し訳ありません。こちらのクエストはCランク以上でないと受注できません」

「ランク制限があるのか...」

「えぇ、ご自分の実力を見誤って無謀なクエストに挑み、命を落としたりしないようランク別に制限を掛けてあります。皆さんの命を守るための制限ですので、どうかご理解下さい」

　そう言われてしまえば仕方ない。ユウ達はDランクで受けられる最高難度のクエストを受注して、一刻も早くCランクに上がることにした。