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第2章 聖女と聖獣
第26話 神獣
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リシャール達はゴドウィン大神官の執務室に通された。
「うーむ、俄には信じられませんな...」
リシャール達からの説明を聞いたゴドウィンが訝しげに呟く。現在、部屋に居るのはゴドウィンとカリム、リシャールとセイラ、例の生物を抱えたタチアナだけで、鑑定スキル持ちの神官が来るのを待っている。
タチアナの腕の中に抱かれている限り、危険は無いだろうと判断された。
「すいません、遅くなりました」
やがてドアが開き、鑑定スキル持ちの神官バウムが到着した。年の頃は30歳ぐらいだろうか、分厚いメガネをかけた如何にも研究職っぽい人である。
「待っていましたぞ、バウム神官。早速ですが、聖女様が抱えておられる生物の鑑定をお願いします」
「分かりました」
ゴドウィンの言葉にバウムはメガネを光らせる。あのメガネ、魔道具なのかな? リシャールは場違いな事を考えていた。
「こ、これはっ!」
バウムが驚愕の声を上げると、室内に緊張が走る。
「どうですかな?」
ゴドウィンが代表して尋ねると、
「竜の幼体で間違いありません」
やっぱりそうか。あの魔力を直で見ているリシャールは納得した。
「おぉ、なんと!」「信じられませんっ!」
室内が驚愕に包まれるが、タチアナだけはポカンとしていた。セイラは無言だった。
「ただし、ハッキリと断言は出来ませんが、この幼体には何らかの封印が施されていると思われます」
続くバウムの言葉に室内は別の驚愕に包まれた。
「な、封印だと!? そんなバカな!」「神獣に封印を掛けるなんて可能なんですかっ!?」
これにはリシャールも驚いた。
「鑑定で全ての情報を見る事が出来ませんでした。まるで靄が掛かったように見えない部分がありました」
「見えない情報に関して、何かしら予想出来る事はあるかね?」
「そこまではなんとも。そもそも神獣に関してのデータがほとんどありませんし。ただ重要な情報が隠蔽されているんだと思われます」
フムと頷いた後、ゴドウィンは最後の質問をした。
「神獣に封印を掛けられる存在はなんだと思うかね?」
「それは...同じ神獣か若しくは..」
「若しくは?」
「...神自身かと...」
室内を重い沈黙が支配した。
「バウム神官、ご苦労様でした」
バウムが退室した後、ゴドウィンはリシャールに向き直って、
「殿下、色々と不確定要素があって不安ではありますが、封印されているかも知れないとはいえ、神獣をこのまま放置する訳にもいきません。こちらで保護するということでよろしいですかな?」
「はい、その...私が言うのもなんですが、危険が無ければそれで...」
今度はタチアナに向き直って、
「聖女様、その子は随分と懐いているようですが、聖女様と一緒に居れば危険は無いと思って良いですかな?」
「は、はい。大丈夫だと思います」
「よろしい。ではカリム神官、聖女様が神獣と一緒に暮らせる新しい部屋を用意して貰えますかな?」
「畏まりましたっ! では聖女様どうぞこちらにっ!」
タチアナとカリムも退室して、ゴドウィンと部屋にはリシャールとセイラが残った。
「セイラ、お前なんで王都に来たんだ?」
リシャールはずっと疑問に思っていたことを聞いた。
「...呼ばれた気がしたんだよ...あの場所に...」
少し沈黙した後、セイラはそう言った。
「うーむ、俄には信じられませんな...」
リシャール達からの説明を聞いたゴドウィンが訝しげに呟く。現在、部屋に居るのはゴドウィンとカリム、リシャールとセイラ、例の生物を抱えたタチアナだけで、鑑定スキル持ちの神官が来るのを待っている。
タチアナの腕の中に抱かれている限り、危険は無いだろうと判断された。
「すいません、遅くなりました」
やがてドアが開き、鑑定スキル持ちの神官バウムが到着した。年の頃は30歳ぐらいだろうか、分厚いメガネをかけた如何にも研究職っぽい人である。
「待っていましたぞ、バウム神官。早速ですが、聖女様が抱えておられる生物の鑑定をお願いします」
「分かりました」
ゴドウィンの言葉にバウムはメガネを光らせる。あのメガネ、魔道具なのかな? リシャールは場違いな事を考えていた。
「こ、これはっ!」
バウムが驚愕の声を上げると、室内に緊張が走る。
「どうですかな?」
ゴドウィンが代表して尋ねると、
「竜の幼体で間違いありません」
やっぱりそうか。あの魔力を直で見ているリシャールは納得した。
「おぉ、なんと!」「信じられませんっ!」
室内が驚愕に包まれるが、タチアナだけはポカンとしていた。セイラは無言だった。
「ただし、ハッキリと断言は出来ませんが、この幼体には何らかの封印が施されていると思われます」
続くバウムの言葉に室内は別の驚愕に包まれた。
「な、封印だと!? そんなバカな!」「神獣に封印を掛けるなんて可能なんですかっ!?」
これにはリシャールも驚いた。
「鑑定で全ての情報を見る事が出来ませんでした。まるで靄が掛かったように見えない部分がありました」
「見えない情報に関して、何かしら予想出来る事はあるかね?」
「そこまではなんとも。そもそも神獣に関してのデータがほとんどありませんし。ただ重要な情報が隠蔽されているんだと思われます」
フムと頷いた後、ゴドウィンは最後の質問をした。
「神獣に封印を掛けられる存在はなんだと思うかね?」
「それは...同じ神獣か若しくは..」
「若しくは?」
「...神自身かと...」
室内を重い沈黙が支配した。
「バウム神官、ご苦労様でした」
バウムが退室した後、ゴドウィンはリシャールに向き直って、
「殿下、色々と不確定要素があって不安ではありますが、封印されているかも知れないとはいえ、神獣をこのまま放置する訳にもいきません。こちらで保護するということでよろしいですかな?」
「はい、その...私が言うのもなんですが、危険が無ければそれで...」
今度はタチアナに向き直って、
「聖女様、その子は随分と懐いているようですが、聖女様と一緒に居れば危険は無いと思って良いですかな?」
「は、はい。大丈夫だと思います」
「よろしい。ではカリム神官、聖女様が神獣と一緒に暮らせる新しい部屋を用意して貰えますかな?」
「畏まりましたっ! では聖女様どうぞこちらにっ!」
タチアナとカリムも退室して、ゴドウィンと部屋にはリシャールとセイラが残った。
「セイラ、お前なんで王都に来たんだ?」
リシャールはずっと疑問に思っていたことを聞いた。
「...呼ばれた気がしたんだよ...あの場所に...」
少し沈黙した後、セイラはそう言った。
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