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第2章 聖女と聖獣
第45話 事後説明
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戦いが終わり、アンジュ達との別れを済ませたセイラは、クロウの背中からゆっくりと降りて久し振りに大地を踏みしめた。やっぱり地に足を付けるのっていいよなっと思いながら。
それにしてもよくもまぁ、あんな巨大な竜を倒せたものだと、我ながら激戦の後を振り返りしみじみと思う。
「お前のお陰だな。トカ...クロウ、本当にありがとうな」
「クルルル」
アンジュの立てた作戦を成功に導いたのは、クロウの力に依る所が大きい。自分はただ仕上げをしただけだとセイラは思っている。クロウが全てお膳立てしてくれたのだと。
感謝の意味を込めてクロウの翼を撫でながら、最後に見たアンジュ達の睦まじい姿に思いを馳せる。
(お似合いだったなぁ、あの二人。確かに私と同じ黒髪だった。アンジュの巫女姿は綺麗だったし、シンって人の騎士姿もカッコ良かった。再会できて本当に良かった...)
セイラが感慨に浸っていると、クロウが甘えるように頭を擦り付けてくる。図体はデカくなったけど、こういうところはちょっと可愛いかもって思った。
しかもアンジュの為に千年もの間ファーヴニルの封印を守り続けるってなんて健気な...ん? ちょっと待てよ? そこでふとセイラはアンジュの言葉を思い出す。
-- この子を神が授けて下さったのよ --
確かにそう言っていた。邪竜ファーヴニルを倒す為に神から賜ったと。という事はファーヴニルが天界に帰ったならもうここに居る必要は無い訳で...
「クロウ、お前、なんでまだここに居るんだ!?」
「クル?」
クロウは何の事だか分からずに首を捻っている。
「アンジュ達と一緒に帰らなくて良かったのか!?」
「クルッ!」
クロウは大きく首を縦に振る。
「まだ帰らなくていいってことか?」
「クルルル!」
クロウがもう一度大きく首を縦に振る。
「そうか...まぁ、急に居なくなったらタチアナが泣きそうだし、それを宥めるのも面倒だし、お前がいいならそれでいいか」
セイラは感謝の気持ちを込めて、クロウの太い首をポンポンと優しく撫でた。
◇◇◇
リシャールは強行軍で疲れ切った体に鞭打ちセイラの元へ急いだ。視線の先に巨大な黒い竜の姿が映って来て一瞬足が竦みそうになるが、それを無視して歩を進める。その巨体の傍らにお目当ての人物を見つけて叫んだ。
「セイラっ!」
振り向いたセイラは、どこか困ったような戸惑ったような、それでいてホッとしたような、何とも言えない表情を浮かべていた。
「よぅ、リシャール。無事で何よりだ」
どこか気の抜けたようなセイラの声に若干苛つきながら、
「説明して貰おうか。何がどうしてこうなったんだ?」
セイラが事情を説明しようとした時、
「殿下!」「リシャール様!」「「「こ、これはっ!?」」」
レイモンドが騎士達をゴドウィンが神官達をそれそれ率いてやって来て、皆一様にクロウの巨体を見て驚きの声を上げた。全員の視線に晒されたセイラは、
「え、えーとだな..」
取り敢えず、事ここに至った経緯を余す所無く説明することにした。
それにしてもよくもまぁ、あんな巨大な竜を倒せたものだと、我ながら激戦の後を振り返りしみじみと思う。
「お前のお陰だな。トカ...クロウ、本当にありがとうな」
「クルルル」
アンジュの立てた作戦を成功に導いたのは、クロウの力に依る所が大きい。自分はただ仕上げをしただけだとセイラは思っている。クロウが全てお膳立てしてくれたのだと。
感謝の意味を込めてクロウの翼を撫でながら、最後に見たアンジュ達の睦まじい姿に思いを馳せる。
(お似合いだったなぁ、あの二人。確かに私と同じ黒髪だった。アンジュの巫女姿は綺麗だったし、シンって人の騎士姿もカッコ良かった。再会できて本当に良かった...)
セイラが感慨に浸っていると、クロウが甘えるように頭を擦り付けてくる。図体はデカくなったけど、こういうところはちょっと可愛いかもって思った。
しかもアンジュの為に千年もの間ファーヴニルの封印を守り続けるってなんて健気な...ん? ちょっと待てよ? そこでふとセイラはアンジュの言葉を思い出す。
-- この子を神が授けて下さったのよ --
確かにそう言っていた。邪竜ファーヴニルを倒す為に神から賜ったと。という事はファーヴニルが天界に帰ったならもうここに居る必要は無い訳で...
「クロウ、お前、なんでまだここに居るんだ!?」
「クル?」
クロウは何の事だか分からずに首を捻っている。
「アンジュ達と一緒に帰らなくて良かったのか!?」
「クルッ!」
クロウは大きく首を縦に振る。
「まだ帰らなくていいってことか?」
「クルルル!」
クロウがもう一度大きく首を縦に振る。
「そうか...まぁ、急に居なくなったらタチアナが泣きそうだし、それを宥めるのも面倒だし、お前がいいならそれでいいか」
セイラは感謝の気持ちを込めて、クロウの太い首をポンポンと優しく撫でた。
◇◇◇
リシャールは強行軍で疲れ切った体に鞭打ちセイラの元へ急いだ。視線の先に巨大な黒い竜の姿が映って来て一瞬足が竦みそうになるが、それを無視して歩を進める。その巨体の傍らにお目当ての人物を見つけて叫んだ。
「セイラっ!」
振り向いたセイラは、どこか困ったような戸惑ったような、それでいてホッとしたような、何とも言えない表情を浮かべていた。
「よぅ、リシャール。無事で何よりだ」
どこか気の抜けたようなセイラの声に若干苛つきながら、
「説明して貰おうか。何がどうしてこうなったんだ?」
セイラが事情を説明しようとした時、
「殿下!」「リシャール様!」「「「こ、これはっ!?」」」
レイモンドが騎士達をゴドウィンが神官達をそれそれ率いてやって来て、皆一様にクロウの巨体を見て驚きの声を上げた。全員の視線に晒されたセイラは、
「え、えーとだな..」
取り敢えず、事ここに至った経緯を余す所無く説明することにした。
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