16 / 35
16
しおりを挟む
「おい! ビビアン! どういう事だ!?」
次の日、ビビアンは学園に着くなりバレットに詰め寄られた。
「と、どういう事とは!?」
「惚けるな! 昨日お前の家に行ったら、お前は王宮に行ったと聞いたぞ!? 一体どういう事なんだ!?」
「そ、それが私にも何がなんだか...」
ビビアンにも分からないのだから答えようがない。
「ふざけるなぁ! そんなはずがあって堪るかぁ!」
バレットも収まらない。それも当然で、自分の婚約者がいきなり王宮暮らしになるなんて訳が分からないだろう。
確かに昨日ビビアンはライオスが連れて帰った。だがそのまま王宮に連れて行かれるとは夢にも思わない。バレットが感情的になるのも無理はない。
だがビビアンにも分からないのだからどうしようもない。このままだとカウンターが発動する。そんな時だった。
「騒がしいな。朝っぱらからなんの騒ぎだ!?」
騒ぎを聞き付けてライオスがやって来た。ビビアンと一緒に馬車で来たのだが、所用があってビビアンから離れていたのだ。
「で、殿下! こ、これはどういう事ですか!?」
ライオスが現れたことで若干慌てたバレットだったが、気を取り直して今度はライオスに詰め寄った。
「どういう事とは!?」
「ひ、ビビアンを王宮に連れて行ったことです! こ、婚約者である私に許可なく黙って連れて行くなんて、お、おかしいじゃないですか!」
「婚約者だと!?」
ライオスはバレットをギロリと睨み付けた。
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
それだけでバレットは震え上がる。
「貴様! 良くそんな偉そうな口を叩けるな! ビビアンが実家でどんな状況に置かれていたか何も知らないクセに! ビビアンは使用人以下の扱いをずっと受けていたんだぞ! 貴様はそれに対して何をしてあげた!? 何もしてないだろ!? 婚約者のこともしっかり守れないようなヤツにビビアンを任せてられるか! 何か文句があるなら言ってみろ!」
バレットは金魚みたいに口をパクパクさせるだけで言葉を発することが出来ない。
「それにな」
ライオスは怒りを吐き出して幾分スッキリしたのか、やや穏やかな口調で続けた。
「ビビアンはスキル持ちだ。国としてはスキル持ちを保護する義務がある。俺はビビアンを保護しただけだ。婚約者である貴様が保護しなかったからな。こちらにはちゃんとした理由もある。誰にも後ろ指を指されることはない」
そう言ってライオスはビビアンの手を握った。
「さぁ、ビビアン。行こうか」
「は、はい...」
バレットはそんな二人の後ろ姿をただ見送るしかなかった。
次の日、ビビアンは学園に着くなりバレットに詰め寄られた。
「と、どういう事とは!?」
「惚けるな! 昨日お前の家に行ったら、お前は王宮に行ったと聞いたぞ!? 一体どういう事なんだ!?」
「そ、それが私にも何がなんだか...」
ビビアンにも分からないのだから答えようがない。
「ふざけるなぁ! そんなはずがあって堪るかぁ!」
バレットも収まらない。それも当然で、自分の婚約者がいきなり王宮暮らしになるなんて訳が分からないだろう。
確かに昨日ビビアンはライオスが連れて帰った。だがそのまま王宮に連れて行かれるとは夢にも思わない。バレットが感情的になるのも無理はない。
だがビビアンにも分からないのだからどうしようもない。このままだとカウンターが発動する。そんな時だった。
「騒がしいな。朝っぱらからなんの騒ぎだ!?」
騒ぎを聞き付けてライオスがやって来た。ビビアンと一緒に馬車で来たのだが、所用があってビビアンから離れていたのだ。
「で、殿下! こ、これはどういう事ですか!?」
ライオスが現れたことで若干慌てたバレットだったが、気を取り直して今度はライオスに詰め寄った。
「どういう事とは!?」
「ひ、ビビアンを王宮に連れて行ったことです! こ、婚約者である私に許可なく黙って連れて行くなんて、お、おかしいじゃないですか!」
「婚約者だと!?」
ライオスはバレットをギロリと睨み付けた。
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
それだけでバレットは震え上がる。
「貴様! 良くそんな偉そうな口を叩けるな! ビビアンが実家でどんな状況に置かれていたか何も知らないクセに! ビビアンは使用人以下の扱いをずっと受けていたんだぞ! 貴様はそれに対して何をしてあげた!? 何もしてないだろ!? 婚約者のこともしっかり守れないようなヤツにビビアンを任せてられるか! 何か文句があるなら言ってみろ!」
バレットは金魚みたいに口をパクパクさせるだけで言葉を発することが出来ない。
「それにな」
ライオスは怒りを吐き出して幾分スッキリしたのか、やや穏やかな口調で続けた。
「ビビアンはスキル持ちだ。国としてはスキル持ちを保護する義務がある。俺はビビアンを保護しただけだ。婚約者である貴様が保護しなかったからな。こちらにはちゃんとした理由もある。誰にも後ろ指を指されることはない」
そう言ってライオスはビビアンの手を握った。
「さぁ、ビビアン。行こうか」
「は、はい...」
バレットはそんな二人の後ろ姿をただ見送るしかなかった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
四季
恋愛
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる