私を虐めたりしたらカウンターが発動してあなたは酷い目に遭いますよ?

真理亜

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「パパぁ! ママぁ! あぁ、やっと来てくれたのね!」

 ブレンダが拘留されている拘置所にグラントとイライザが面会にやって来たのは、ブレンダが逮捕されてから一週間経った頃だった。

 ブレンダは喜色満面で両親を出迎えた。これで外に出して貰えると思っているのだ。そんなおめでたいブレンダは、この一週間で両親の様子が変わり果てていることに全く気付いていなかった。

 二人ともたったの一週間で見る影もない程の凋落ぶりで、頬は痩せこけ、服は薄汚れ、目には生気が宿っていなかった。

「...ブレンダ...お前はなんてことを仕出かしてくれたんだ...」

 グラントは力無い声でそう言うのがやっとだった。イライザは放心したような顔で心ここにあらずといった感じだった。

「えっ!? あんなのただの躾でしょ!? あのクソ生意気な女に思い知らせてやりたかっただけよ! それなのにあの忌々しいカウンターのせいで上手く行かなかったわ! 全く腹立たしいったらありゃしない! でも今度は失敗しないわ! 次こそ目に物見せてやるんだから! ねぇ、だから早くここから出してよ! ここ、メシは不味いし、ベッドは硬いし、風呂には入れないしでもう最悪よ! もう1日だって居たくないわ! お願いよ!」

 ブレンダはここぞとばかりに捲し立てた。すぐに出して貰えると微塵も疑っていないという感じで、反省している様子も全く無かった。

「...そんなこと出来る訳が無いだろう...お前も含めて俺達はもう貴族じゃないんだぞ?」

 それに対してグラントは頭を振りながら淡々と告げる。

「えっ!? どういうことよ!?」

「...そのままの意味だ...俺達の身分は既に平民に落とされている。財産は全て没収され家からも追い出された。金も住む家も働く場所も無い...」

 グラントは血を吐くように言葉を絞り出した。それを聞いたイライザが泣き崩れる。

「そ、そんな...う、ウソでしょ...」

 ブレンダは信じられないといった表情を浮かべて呟いた。

「...ウソじゃない...だからお前の保釈金も出してやれん...お前は犯した罪をちゃんと償うんだ...ハハハッ...それは俺達も同じか...」

 グラントは渇いた笑みを浮かべた。

「...そんな...そんな...そんな...」

「...じゃあな、ブレンダ。お前の刑期が終わったらまた会おう...もっともその時まで俺達が生きていればの話だが...」

 そう言ってグラントはイライザの肩を抱いてトボトボと面会室を出て行った。ブレンダはそれに気付かずただ只管「ウソよウソよウソよ...」と呟いていたのだった。
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