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「とにかく、私がどのルートを選ぶかどうかっていうことよりも、アクンジョ様が攻略対象者達との関係を改善することの方が重要だっていう結論でいいですかね?」

 いい加減、そろそろ解放して欲しかった私は、強引に結論付けることにした。

「そうなのかしらね...」

「そもそもがですね、私には既に婚約者が居ますから、どのルートも選びませんよ?」

「...マジで!?」

「マジです」

「そ、そんな...じゃ、じゃあこの世界はもしかして...」

「ゲームの世界じゃないんじゃないですかね?」

 あ、アクンジョが崩れ落ちた。私もう帰っていいかな?

「ちょっと待って!」

「うわっ! ビックリした!」

 アクンジョが復活した。

「もしかしてあなたの婚約者っていうのは、逆ハールートをクリアした時のみ現れる隣国の王子様なんじゃ!?」

「そんな訳ないでしょ! 私はしがない男爵令嬢ですよ? そんな雲の上のお方とどうやって知り合えるって言うんですか? 普通に隣の男爵領の子息ですよ!」

「そうなの?」

「えぇ、子供の時から仲良くさせて貰ってますから。所謂幼馴染みってヤツです」

「名前は? 名前はなんていうの?」

「名前に拘りますね...クリンスマンですけど?」

「クリスマスを彷彿とさせる名前! もしかしてイベント繋がり!?」

「いや、知らんがな...もう帰っていいですかね?」

 今度こそもういいよね?

「そうね...隣国の王子様の名前はプリンスメーロンだし...」

「うわあ、なんか知らんけど美味しそうな名前。まぁ良く分かりませんけど、頑張って下さいね?」

「えぇ、ありがとう...」

 その後、どうなったのかは知らない。 

 なにせ雲の上の方々の密事だからね。知る由もない。

 乙女ゲームの世界? 違ったんじゃないの?

 知らんけど。


~ おしまい ~

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