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第1話 一人目
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「リアナ、貴様との婚約を破棄する! そしてこのアニエスを僕の新しい婚約者とする! 理由は言わなくても分かるな?」
今日は学園の卒業式。生徒達の家族が列席しているこの場で、このような暴挙に出たのは、この国の第2王子セシルである。その動機も分かっている。国王夫妻がこの場に居ないからだ。居れば即座に止められるだろう。
つまり後ろ暗いことを隠すために、自分を止められる者が誰も居ないこの場を選んだ訳だ。
「理由ですか? 見当もつきませんが」
そんな中、謂れのない糾弾を受けた公爵令嬢のリアナは静かに答えた。
「貴様はこのアニエスが男爵令嬢というだけで虐めていただろう? 身分を笠に着て爵位の低い者を虐げるなど言語道断! 貴様のように醜い心の持ち主は僕に相応しくない!」
「虐めていた事実はありませんが、証拠はおありで?」
「もちろんだとも。おい!」
セシルが声を掛けると、側近である侯爵子息が前に出た。この国の宰相の子息でもある。
「リアナ、あなたは」
「お黙りなさい!」
その瞬間、リアナが叱りつけた。その威圧に今まで騒がしかった会場が一気に静まり返る。
「誰が名前を呼び捨てにすることを許しましたか? 侯爵風情が身の程を弁えなさい! 宰相! あなたは家でどんな教育をしているのですか!」
「愚息が大変申し訳ありません」
列席していた宰相が頭を下げる。そして恥をかかされた己の息子を射殺さんばかりに睨み付けた、それだけで侯爵子息は顔面蒼白となった。
「まあいいですわ。それで? なんですって?」
リアナが顎をしゃくった。完全に攻守が逆転している。
「り、リアナ様は、あ、アニエスを、その...礼儀知らずと、の、罵ったと...」
恐怖てつっかえながらも何とか侯爵子息が言葉を繋ぐ。
「身に覚えがありませんわ。どなたかの証言でもございますの?」
「あ、アニエスが、そ、その...あ、あなた様に、い、言われたと..」
ついに、あなた様になってしまった。
「まあ、第三者の証言も無しに本人の言い分のみで私を糾弾なさったの? お話しになりませんわね。他には?」
「あ、アニエスの教科書を、あ、あなた様が、び、ビリビリに、ひ、引き裂いたと...」
「そんなことする訳がありませんわ。証人はいらっしゃるの?」
「い、いえ、そ、それも、あ、アニエスが...」
「何月何日何時何分に起こったことなんですの? 私、王子妃教育のため分刻みで動いております。アリバイがお望みならすぐ出せますわよ?」
そう言ってリアナは分厚い手帳を取り出した。
「そ、それは...」
「はぁ...宰相、後はお任せしましたわ」
リアナは深いため息を吐いた。
「大変申し訳ありません。こやつは勘当しますので、どうかご容赦を。このバカが!」
宰相は息子を殴り飛ばした。
「へぐぅ!」
そして引き摺るように外へ連れ出した。
「それで? 次はどなたですの?」
リアナはニッコリと微笑んだ、
今日は学園の卒業式。生徒達の家族が列席しているこの場で、このような暴挙に出たのは、この国の第2王子セシルである。その動機も分かっている。国王夫妻がこの場に居ないからだ。居れば即座に止められるだろう。
つまり後ろ暗いことを隠すために、自分を止められる者が誰も居ないこの場を選んだ訳だ。
「理由ですか? 見当もつきませんが」
そんな中、謂れのない糾弾を受けた公爵令嬢のリアナは静かに答えた。
「貴様はこのアニエスが男爵令嬢というだけで虐めていただろう? 身分を笠に着て爵位の低い者を虐げるなど言語道断! 貴様のように醜い心の持ち主は僕に相応しくない!」
「虐めていた事実はありませんが、証拠はおありで?」
「もちろんだとも。おい!」
セシルが声を掛けると、側近である侯爵子息が前に出た。この国の宰相の子息でもある。
「リアナ、あなたは」
「お黙りなさい!」
その瞬間、リアナが叱りつけた。その威圧に今まで騒がしかった会場が一気に静まり返る。
「誰が名前を呼び捨てにすることを許しましたか? 侯爵風情が身の程を弁えなさい! 宰相! あなたは家でどんな教育をしているのですか!」
「愚息が大変申し訳ありません」
列席していた宰相が頭を下げる。そして恥をかかされた己の息子を射殺さんばかりに睨み付けた、それだけで侯爵子息は顔面蒼白となった。
「まあいいですわ。それで? なんですって?」
リアナが顎をしゃくった。完全に攻守が逆転している。
「り、リアナ様は、あ、アニエスを、その...礼儀知らずと、の、罵ったと...」
恐怖てつっかえながらも何とか侯爵子息が言葉を繋ぐ。
「身に覚えがありませんわ。どなたかの証言でもございますの?」
「あ、アニエスが、そ、その...あ、あなた様に、い、言われたと..」
ついに、あなた様になってしまった。
「まあ、第三者の証言も無しに本人の言い分のみで私を糾弾なさったの? お話しになりませんわね。他には?」
「あ、アニエスの教科書を、あ、あなた様が、び、ビリビリに、ひ、引き裂いたと...」
「そんなことする訳がありませんわ。証人はいらっしゃるの?」
「い、いえ、そ、それも、あ、アニエスが...」
「何月何日何時何分に起こったことなんですの? 私、王子妃教育のため分刻みで動いております。アリバイがお望みならすぐ出せますわよ?」
そう言ってリアナは分厚い手帳を取り出した。
「そ、それは...」
「はぁ...宰相、後はお任せしましたわ」
リアナは深いため息を吐いた。
「大変申し訳ありません。こやつは勘当しますので、どうかご容赦を。このバカが!」
宰相は息子を殴り飛ばした。
「へぐぅ!」
そして引き摺るように外へ連れ出した。
「それで? 次はどなたですの?」
リアナはニッコリと微笑んだ、
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