殿下、私達は話し合いが必要だと思うんです

真理亜

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第10話

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 その後、男性陣と女性陣は各々婚約者同士で連れ立って会議室を後にした。

 最後に残ったのはアズミとハインツだけだった。

「その...アズミ...色々と済まなかった...」

 気不味い雰囲気がしばし流れた後、ハインツがおずおずと切り出す。

「全くですよ...尻拭いするこっちの身にもなって下さい」

 アズミはもう何杯目になるか分からないお茶を飲みながら、容赦なくハインツを糾弾する。

「うぅ...本当に申し訳ない...」

 ハインツはまさに平身低頭といった体たらくだ。アズミは「ハァッ」大きなため息を一つ吐きながらこう続ける。

「今頃、男性陣はそれぞれ婚約者の口から聞いてる頃だと思いますから、今の内に言っちゃいますけど、あなた方を全員廃嫡すべしって声が挙がっていたんですからね? それも筆頭に立っていたのは国王陛下でした」

 ハインツはあまりの衝撃に言葉もなかったが、考えてみればそうなっていたとしても全くおかしくなかったと思い返す。それくらい簡単に、自分達は悪党の手の平の上で転がされていたのだから。そんな者には王族や高位貴族たる資格無しと判断されてもやむ無しと言えるだろう。

「それを止めたのは、私含め女性陣のみんなです。これまで婚約者として育んで来た絆や情は、確かにまだ残っているんで最後のチャンスを与えてやって欲しいと、それぞれが自分の両親や国王陛下を説得してこの場を設けたんですよ。あの女を目の前にしても惑わされないかどうか、それも確認していました」

「そ、それじゃあもし...この場でも改心しなかったら...」

 ハインツの声は掠れていた。

「はい、問答無用で廃嫡になっていましたよ。感謝しろとは言いませんが、これであなた方は一生私達に頭が上がらなくなりましたね? 覚悟しておいて下さいよ?」

 そう言ってアズミは悪戯っぽく笑った。それに対してハインツは乾いた笑いで返した。

「それにしても一体どの段階で、私の父上にまで話が上がったんだい?」

 確かにそれは気になる所だろう。なにせ一国の国王なのだから。

「結構早い段階からですね。銃火器の密造を疑い出した頃ですから。ちなみに殿下、密造され密輸された銃火器が、どこでどのように使われるのか見当は付きますか?」

 そう問われたハインツはしばし考えた後、

「それはやっぱり...他国を侵略するとか国境の紛争を解決したりとか...」

「でも隣国は我が国始め周辺各国との関係は良好ですし、あの国の王族の方々が好戦的では無いってことは、殿下も良くご存知のはずですよね?」

「た、確かに...でも...だとすると他に使い道があるとすれば...まさか!」

 何かに思い当たったハインツの顔から血の気が失せた。
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