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魔道騎士団が姿を消した舞踏会場は、もはや舞踏会どころではなくなってしまった。
と言うより最初から舞踏会どころではなかった訳なんだが...そんな中、今度は騎士団が動き出す。全員が出口に向かい始めた。
「殿下、我々も全員除隊します。よろしいですね?」
キンバリー侯爵が淡々と告げる。
「フンッ! 勝手にしろ! 俺様の命令を聞かんようなヤツらに用は無い!」
「ありがとうございます。おい、お前等! 全員引き上げるぞ!」
キンバリー侯爵が命令を下すと、近衛騎士含む全ての護衛騎士が姿を消した。それをルージュは脱力した様子でただ見ているしかなかった。
「さて、私も領地に戻りますかな。殿下、お待ちしておりますぞ」
プレスコット辺境伯がそう言うとロベルトは、
「フンッ! 顔を洗って待っておれ! 俺様の偉大さを思い知らせてやる!」
「それは楽しみですな。では失礼致します」
プレスコット辺境伯が退場すると、それに呼応するように全ての参加貴族も挙って退場して行ってしまった。結果、舞踏会場に残されたのはロベルトとマリアンヌ、そしてルージュのみとなってしまった。
さすがにロベルトも異常な事態だと認識したらしく、
「な、なんだこれは!? い、一体何がどうなっている!? だ、誰か、誰かおらんのか!?」
その叫びに応える者は誰も居ない。ロベルトは呆然としているマリアンヌの肩を強く抱きながら、
「クソッ! クソッ! みんなしてバカにしやがって! ふざけるな! 俺様は偉いんだぞ! 高貴な存在なんだぞ! なのになんで俺様を敬わない! 俺様は俺様は...」
何やら最後の方はブツブツと呟き出したロベルトの言葉を、放心状態でボーッと聞いていたルージュは、やがてヨロヨロと出口に向かって歩き出した。
それに気付いたロベルトは、それまで肩を抱いていたマリアンヌを突き飛ばした。
「キャッ! 痛~い! ロベルト様ぁ! 酷いですぅ~!」
マリアンヌが悲鳴を上げる。だがロベルトは、そんなマリアンヌの様子を気にも留めずルージュを睨み付けた。
「待てい! ルージュ! 貴様ぁ! どこに行くつもりだ!?」
ロベルトに答えることなくルージュは足を止めない。
「待てと言うに! 俺様の命令が聞けぬのか!」
ついにロベルトは剣を抜いた。
「聞けぬと言うなら、今この場で貴様を切り捨ててくれるわぁ!」
そこで初めてルージュはロベルトの方を向いた。だがその瞳からはハイライトが消えていた。ルージュは剣を掲げて近寄って来るロベルトの姿を、他人事のようにただ見詰めていた。
と言うより最初から舞踏会どころではなかった訳なんだが...そんな中、今度は騎士団が動き出す。全員が出口に向かい始めた。
「殿下、我々も全員除隊します。よろしいですね?」
キンバリー侯爵が淡々と告げる。
「フンッ! 勝手にしろ! 俺様の命令を聞かんようなヤツらに用は無い!」
「ありがとうございます。おい、お前等! 全員引き上げるぞ!」
キンバリー侯爵が命令を下すと、近衛騎士含む全ての護衛騎士が姿を消した。それをルージュは脱力した様子でただ見ているしかなかった。
「さて、私も領地に戻りますかな。殿下、お待ちしておりますぞ」
プレスコット辺境伯がそう言うとロベルトは、
「フンッ! 顔を洗って待っておれ! 俺様の偉大さを思い知らせてやる!」
「それは楽しみですな。では失礼致します」
プレスコット辺境伯が退場すると、それに呼応するように全ての参加貴族も挙って退場して行ってしまった。結果、舞踏会場に残されたのはロベルトとマリアンヌ、そしてルージュのみとなってしまった。
さすがにロベルトも異常な事態だと認識したらしく、
「な、なんだこれは!? い、一体何がどうなっている!? だ、誰か、誰かおらんのか!?」
その叫びに応える者は誰も居ない。ロベルトは呆然としているマリアンヌの肩を強く抱きながら、
「クソッ! クソッ! みんなしてバカにしやがって! ふざけるな! 俺様は偉いんだぞ! 高貴な存在なんだぞ! なのになんで俺様を敬わない! 俺様は俺様は...」
何やら最後の方はブツブツと呟き出したロベルトの言葉を、放心状態でボーッと聞いていたルージュは、やがてヨロヨロと出口に向かって歩き出した。
それに気付いたロベルトは、それまで肩を抱いていたマリアンヌを突き飛ばした。
「キャッ! 痛~い! ロベルト様ぁ! 酷いですぅ~!」
マリアンヌが悲鳴を上げる。だがロベルトは、そんなマリアンヌの様子を気にも留めずルージュを睨み付けた。
「待てい! ルージュ! 貴様ぁ! どこに行くつもりだ!?」
ロベルトに答えることなくルージュは足を止めない。
「待てと言うに! 俺様の命令が聞けぬのか!」
ついにロベルトは剣を抜いた。
「聞けぬと言うなら、今この場で貴様を切り捨ててくれるわぁ!」
そこで初めてルージュはロベルトの方を向いた。だがその瞳からはハイライトが消えていた。ルージュは剣を掲げて近寄って来るロベルトの姿を、他人事のようにただ見詰めていた。
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