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40 (キャロライン視点4)
結局、舞踏会は一曲も踊ることなく這う這うの体で逃げ出すしかなかった。
帰りの馬車の中は最悪だった。
「ちょっとギルバート! どういうことよ!? シナリオと違うじゃあないの!」
「そんなこと言われても僕だって分からないよ!」
「どうすんのよ!? これじゃあ上手く行かないかも知れないわよ!?」
「五月蝿いな! 分かってるよ! 少し黙っててくれ!」
五月蝿くもなるわ!
「とにかく! 一度態勢を立て直す! それまで大人しくしていてくれ!」
「分かったわよ...」
お互いに言い争いした挙げ句、渋々と引き下がるしかなかった。
私の中では疑心暗鬼がまた頭を擡げて来ていたのだった。
◇◇◇
2、3日してから私の元にアンリエットからお茶会の招待状が届いた。
私は首を傾げながらギルバートに相談した。
「アンリエットからお茶会の招待状が!?」
「えぇ、なんでいきなり私宛に来たのか分からないわ」
「確かにそうだね...」
ギルバートはしばし黙考した後、
「キャロライン、参加してくれないか?」
「えぇ!? 私一人で!? なんだか不安だわ...」
「そうだろうけど、シナリオを進めるチャンスでもあるんだ。頼むから頑張ってくれ」
「そういうことなら...分かったわ...」
「あ、そうそう。壊れても惜しくないペンダントを付けて行くのを忘れないでくれよ?」
「えぇ、大丈夫よ。抜かりないわ」
気は進まなかったが、ギルバートには招待状が来てないので仕方ない。私は一人で参加することになった。
◇◇◇
そうして始まったお茶会だが、最初にちょこっと挨拶したっきり、アンリエットは私に近付いても来ない。
私の方から近付こうにも、アンリエットの周りは知り合いで囲まれていて中々近付けない。
手持ち無沙汰になっていた私に、
「お嬢様、お茶のお代わりは如何でしょうか?」
「えぇ、頂くわ。あら? あなたは?」
「私はアンリエット様の侍従を勤めております、アランと申します」
おぉっ! 私の好みどストライクの良い男だわ!
「そう、私はキャロラインよ。よろしくね」
「よろしかったら我が家自慢の庭園をご案内したいと思いますが如何でしょうか?」
「良いわね。是非お願いしたいわ」
こうしてアランは私の手を取って歩き始めた。
アランは話題が豊富で、特に造詣が深いという演劇の話はとても面白くて、私は本来の目的も忘れてすっかりアランに夢中になっていた。
◇◇◇
「キャロライン、昨日はどうだった? 上手くやったかい?」
「ごめんなさい。結局、アンリエット様とはほとんど話せなかったの...だからイベントを起こせなかったわ...」
「そうか...」
「アンリエット様の周りは仲の良いご友人方が囲んでいて、近くに寄ることも難しかったの...」
「そうだったんだね...」
「ギルバート、ごめんね...」
ギルバートに謝りながらも、私の心の中はアランで一杯だった。
その後、ギルバートの誘いを初めて断った。
帰りの馬車の中は最悪だった。
「ちょっとギルバート! どういうことよ!? シナリオと違うじゃあないの!」
「そんなこと言われても僕だって分からないよ!」
「どうすんのよ!? これじゃあ上手く行かないかも知れないわよ!?」
「五月蝿いな! 分かってるよ! 少し黙っててくれ!」
五月蝿くもなるわ!
「とにかく! 一度態勢を立て直す! それまで大人しくしていてくれ!」
「分かったわよ...」
お互いに言い争いした挙げ句、渋々と引き下がるしかなかった。
私の中では疑心暗鬼がまた頭を擡げて来ていたのだった。
◇◇◇
2、3日してから私の元にアンリエットからお茶会の招待状が届いた。
私は首を傾げながらギルバートに相談した。
「アンリエットからお茶会の招待状が!?」
「えぇ、なんでいきなり私宛に来たのか分からないわ」
「確かにそうだね...」
ギルバートはしばし黙考した後、
「キャロライン、参加してくれないか?」
「えぇ!? 私一人で!? なんだか不安だわ...」
「そうだろうけど、シナリオを進めるチャンスでもあるんだ。頼むから頑張ってくれ」
「そういうことなら...分かったわ...」
「あ、そうそう。壊れても惜しくないペンダントを付けて行くのを忘れないでくれよ?」
「えぇ、大丈夫よ。抜かりないわ」
気は進まなかったが、ギルバートには招待状が来てないので仕方ない。私は一人で参加することになった。
◇◇◇
そうして始まったお茶会だが、最初にちょこっと挨拶したっきり、アンリエットは私に近付いても来ない。
私の方から近付こうにも、アンリエットの周りは知り合いで囲まれていて中々近付けない。
手持ち無沙汰になっていた私に、
「お嬢様、お茶のお代わりは如何でしょうか?」
「えぇ、頂くわ。あら? あなたは?」
「私はアンリエット様の侍従を勤めております、アランと申します」
おぉっ! 私の好みどストライクの良い男だわ!
「そう、私はキャロラインよ。よろしくね」
「よろしかったら我が家自慢の庭園をご案内したいと思いますが如何でしょうか?」
「良いわね。是非お願いしたいわ」
こうしてアランは私の手を取って歩き始めた。
アランは話題が豊富で、特に造詣が深いという演劇の話はとても面白くて、私は本来の目的も忘れてすっかりアランに夢中になっていた。
◇◇◇
「キャロライン、昨日はどうだった? 上手くやったかい?」
「ごめんなさい。結局、アンリエット様とはほとんど話せなかったの...だからイベントを起こせなかったわ...」
「そうか...」
「アンリエット様の周りは仲の良いご友人方が囲んでいて、近くに寄ることも難しかったの...」
「そうだったんだね...」
「ギルバート、ごめんね...」
ギルバートに謝りながらも、私の心の中はアランで一杯だった。
その後、ギルバートの誘いを初めて断った。
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