我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

文字の大きさ
42 / 276

42 (キャロライン視点6)

しおりを挟む
 次の日、当然ながらギルバートに詰られた。

「キャロライン! どういうことだ!? なぜ昨夜は僕に黙って帰ったんだ!? 僕がどれだけ心配したと思ってる!?」

「ご、ごめんなさい...急に体調が悪くなってしまって...あなたに伝えようと思ったんだけど、あのように取り込み中だったから遠慮したのよ...でもせめて誰かに伝言を頼むべきだったわ...本当にごめんなさい...」

 もちろん大嘘である。昨夜はアランとすっかり燃え上がってしまい、ギルバートのことなど眼中になかった。

「そうだったのか...いや僕の方こそ君の異変に気付いてやれなくて申し訳なかった。今はもう大丈夫なのかい?」

 なのに簡単に信じるなんて本当にバカな男だ。

「えぇ、お陰様で一晩休んだらすっかり元気になったわ」

「それは良かった。でも無理はしないようにね?」

「えぇ、ありがとう。それとあの後、大丈夫だった?」

「あ、あぁ、まぁね...問題ないよ...」

 この様子では大丈夫じゃなかったな?

「そう、良かったわ。心配だったのよ」

 と心にもないことを言ってみる。

「ま、まぁ色々とシナリオ通りに行ってない部分はあるけど、そろそろグランドフィナーレだからね。一気に挽回してみせるから心配しないで!」

「えぇ、期待しているわ」

 とだけ言っておく。


◇◇◇


 そして迎えた運命のあの日。

 人が多過ぎたせいで、私はうっかりギルバートと逸れてしまった。どうしようかと思っていた時だった。

「お嬢様、何かお困りでしょうか?」

「まぁ、アラン! あなたって本当に神出鬼没なのね!」

「それが侍従の務めですから」 

「実はパートナーと逸れちゃったのよ」

「そうでございますか。では私めがお探しして参りましょう。お嬢様には別室をご用意致しますので、そちらでお寛ぎ下さい」

「別室!?」

「はい、もちろん『ご休憩』も可能でございますよ?」

「ウフフ、あなたって悪い男ね♪」

 そして私がアランとしっぽり楽しんでいる間にあんなことになるなんて...


◇◇◇


「このこの! バカ娘がぁ! このこの!」

「痛い痛い! お父様! もう止めて~!」

 屋敷に戻ってからも、私は何度も何度も父親に叩かれて顔は腫れ上がっていた。

「貴様とはもう親でも無ければ子でも無い! 気安くお父様などと呼ぶな!」

「そんなぁ...」

「貴様のせいで我が家はもう終わりだ! 最後くらい家の役に立ってもらうぞ! おい! 連れて行け!」

「ちょ、ちょっと離しなさいよ! どこ連れて行くつもりよ!」

 私はウチの使用人達に拘束された。

「そんなに男が好きなら貴様に良い就職先を世話してやる! ずっとそこで腰を振っていろ!」

 その日、私は実の親に娼館に売られたのだった...



************************

 以下告知です。

 昨日から下記のタイトルで新連載をスタートしました。


『ようこそ、追放村へ!~冤罪で婚約破棄され国外追放された4人の令嬢達』


 冤罪を被せられて追放された4人の令嬢達が、力を合わせて脱出不可能と言われた追放村からの脱出を決意するという物語です。
全ては自分達を貶めた連中に復讐するために! 4人の令嬢達の復讐劇が今幕を開けます。

 良かったらご覧になって頂けますと幸いです。

 よろしくお願い致します。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』 メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不当な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような状況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機会を捉えて復讐を断行した。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ

恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。 王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。 長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。 婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。 ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。 濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。 ※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています

悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜

咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。 もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。 一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…? ※これはかなり人を選ぶ作品です。 感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。 それでも大丈夫って方は、ぜひ。

第一王子は私(醜女姫)と婚姻解消したいらしい

麻竹
恋愛
第一王子は病に倒れた父王の命令で、隣国の第一王女と結婚させられることになっていた。 しかし第一王子には、幼馴染で将来を誓い合った恋人である侯爵令嬢がいた。 しかし父親である国王は、王子に「侯爵令嬢と、どうしても結婚したければ側妃にしろ」と突っぱねられてしまう。 第一王子は渋々この婚姻を承諾するのだが……しかし隣国から来た王女は、そんな王子の決断を後悔させるほどの人物だった。

処理中です...