我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「え、えぇ、もちろんですとも!」

 私は内心の焦りを気取られないように勢い良く言い放った。

「へぇ~ そうなんだ~」

 そんな私にクリフ様は、揶揄うような面白そうな目付きを向けてそう言った。あの目をしている時のクリフ様は、何か腹に一物抱えている...ということが浅からぬ付き合いのある私には良く分かる。私は戦慄した。

「アンリ、君はこのアパートを頻繁に訪ねているよね?」

 そう言ってクリフ様は一枚のメモを取り出した。そのメモに書かれていた住所はといえば...

「ぎ、ギックゥ! ななな何のことだか分かりませんわぁ~!」

「そうなんだ~ あくまでも惚けるんだ~」

 クリフ様はますます楽しそうに目を細めている。そう、まるで楽しいオモチャを見付けた子供みたいに...

「アパートに訪ねて行く時は手ブラなのに、帰る時には良く書類袋を抱えていたりするそうじゃな~い?」

 バレテ~ら! クソッ! なんでバレたし! もしかして私に監視を付けてた!? 尾行されてたってこと!?

「みみみ身に覚えがありませんわ!」

「そういや君は、正体不明で謎のベストセラー作家と言われている『ジョン・ドウ』の代理人だとか言ってたよね~?」

「そそそそれがどうかしまして?」

 ヤバい! どこまでバレてんだ!? 私の背中は冷や汗でびっしょり濡れていた。

「しかも君は出版社の経営までやってるよね~?」

「だだだだからそれがなんだと?」

「君の兄のロバートが『ジョン・ドウ』なんだよね?」

 クリフ様は私に尋ねたというより、確信を持ってそう言っている。これはもう誤魔化しようがないな...さっきから私も動揺しっ放しだしね...

「...いつからお気付きに?」

「君の監視を始めてからすぐだったね~」

「...どうして今まで黙って? いやそれより、なんで私のことを監視してたんです?」

「君のことが気になったから」

「それだけ!?」

「あと面白そうだったから」

 臆面もなく言い切りやがったよこの人...

「...絶対そっちが本命ですよね...」

「君の兄は病弱どころか今をトキメク大人気作家だった訳で、家を継ぐにはなんの問題も無いよね?」

「そりゃ確かにそうなんですが...」

 あの作家バカに領地経営やら社交やら出来る訳が無いから、私が代わりにやっているんだよね...

「不安があるなら信頼のおける代官を紹介してあげるよ? だからさ」

 クリフ様はいったん言葉を切って、

「安心して僕の所にお嫁においで?」
 
 ...この不意討ちは卑怯だと思う。

 私はきっと真っ赤になっているだろう顔を見られたくなくて、思わず俯いてしまったのだった。




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