殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません

真理亜

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「さぁさぁ~~♪ どうぞどうぞこちらに~♪ 二名様入りまーす♪」

 圧倒されたミランダとマリウスの二人だったが、取り敢えず席に案内してくれるらしいので、女の子に導かれるまま大人しく付いていった。

「メニューはこちらになりまーす♪ どうぞご覧くださーい♪ 担当は私『セレナ』になりまーす♪ よろしくお願い致しますね~♪ キャハハ♪ キャルーン♪」

 そう言って女の子改めセレナはメニューを渡して来た。訳が分からないまま取り敢えずメニューを開く。

『...』

 またしても二人は沈黙してしまった。なぜならメニューには『可愛いメイド~』や『LoveLoveキュンキュン~』などの文字が、品名の語頭や語尾に必ずくっ付いていて読み辛いったらなかったからだ。

「え、え~と..わ、私は取り敢えずコーヒーで...」

「あ、俺も同じで...」

「は~い♪ 可愛いメイドがブレンドしたコーヒーLoveLoveキュンキュンスペシャル二つ入りまーす♪ キャハハ♪ キャルーン♪ 少々お待ちくださいね~♪」

 怒涛のようなセリナが立ち去った後、二人は顔を見合わせてから一言、

『取り敢えずあれはメイドなんかじゃない』

 とキレイにハモッた。


◇◇◇


「もしあんなメイドがウチに居たら私...速攻ぶっ飛ばしてるかも知れません...」

 ミランダが物騒なことを言い出した。

「あぁ、俺も激しく同意する..っていうか、あんなのまず王宮では雇わん...」

 マリウスもそれに乗っかった。

「あ、確かに...ウチでもまず雇いませんね...」

「フゥ...なんだかなぁ...」

 マリウスは首を捻りながら何とはなしにメニューを眺めていたが、

「あぁ、なるほど...そういうことだったのか...」

「なにがですか?」

「ミランダ、ここ読んでみ?」

 そう言ってマリウスは、メニューの表紙に書かれている一文を指差した。

「え~となになに...『当店はコンセプトカフェとなっております。紳士淑女の皆さん、一夜限りの夢をどうぞご堪能ください。今宵はあなた専属のメイドがご奉仕致します。これであなたも貴族の気分を存分に味わえますよ』...なるほど...」

「つまり一般庶民が一夜限りの貴族に成れるって訳だよ。金払ってね」

「あぁ、だからメニュー全ての値段がクッソ高く設定されているんですね...」

「そうなのか?」

「えぇ、市場価格の優に3倍は行っていると思います...コーヒー1杯でこの値段は有り得ない...」

「つまりサービス込みの値段設定ってことか...」

 そう言ってマリウスは店内を見渡してみた。
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