殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません

真理亜

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「それは...困りましたね...仮にも婚約者があんな状態じゃ...」

 ミランダはクラウドに心から同情した。

「そうなんだよ...まぁ何はともあれ、あのバカ娘をさっさと見付けにゃ話にならん。クラウド殿下に報告するのはそれからだ。ミランダ嬢も一つよろしく頼むよ?」

「お任せください。シオン!」

「グオッ!」

 こうしてミランダは空に飛び立って行った。南の砦から北の砦へと向かう陸ルートの索敵を続けながら。


◇◇◇


 一方その頃、アマンダは夫であるガストンの元を訪れていた。

「あなた、ちょっといい?」

「アマンダか。どうした?」

「ミランダから言伝てがあるのよ。メイド喫茶なるお店を領主権限で即刻営業停止にするようにって」

「営業停止!? なんでまたそんな!?」

 ガストンは目を剥いた。

「魔族が絡んでいる可能性があるからよ」

「なんだと!? それは本当なのか!?」

「えぇ、サキュバスの能力である魅了の痕跡を確認したわ」

「魅了...あぁ、その影響で我が部隊に事故が発生したのか...」

「えぇ、そういうことね」

「分かった。直ちに処理しよう」

「よろしくね。あぁ、それと」

 アマンダは周りを見渡してから徐に尋ねた。

「ミランダはまだ戻って来てない?」

「あぁ、まだだ。どこに行ったんだ?」

「それが私にも場所をハッキリ言わないでどっか行っちゃったのよ。行かなきゃならない所が出来たとかなんとかで」

「そうか...」
  
 そこでガストンはちょっと考え込んだ後、机の引き出しから一枚の紙を取り出した。

「アマンダ、実は王宮からこんな連絡が来ているんだ」

「え~...なになに...あぁ、クラウド殿下の立太子の式典への招待状か。早いものね? もうそんな時期なのね?」

「あぁ、それでな? 見ての通り儂はここを離れる訳にはいかんし、ミランダに名代として行って貰おうと思っているんだが、今回の件でもしミランダも行けないとなった場合にはお前に頼みたい。引き受けてくれるか?」

 魔族が絡んでいる以上、大事な戦力となるミランダは北の砦から離れる訳にはいかなくなるだろう。

 本音を言えばアマンダも行かせたくはない。なぜならマリウスと一緒に行くことになるからだ。マリウスはきっと大喜びするだろうが、ガストンとしては気が気ではない。

 だが、仮にも辺境伯を名乗る家である以上、一族が誰も参列しないという訳にはいかないだろう。ガストンとしても苦渋の決断だった。

「ハァ...これから患者さんが増えそうだから、本当は行きたくないんだけど...仕方ないわね...」

 アマンダも渋々頷いた。
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