殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません

真理亜

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 ミランダ達は二手に分かれて王宮内を探索することにした。カーミラの顔を知っているのはミランダとマリウスだけなので、ミランダが単独で、マリウスはアマンダとペアを組んで探索を開始した。

 探索を始めてすぐ、ミランダはあることに気付いた。カーミラが化けているとしたらメイドだと思われるので、探索は基本メイド達を中心に行うことになるのだが、

「参った...みんな同じに見える...」

 全員同じメイド服に身を包んでいると、遠目からでは全く判別できない。近寄ってみて初めて違いが分かる。なのでメイド達全員を近くで見なければならない。

 これが実は思いの外面倒くさい。なにせメイド達は至る所で仕事をしているのだから。ミランダは開始してから早々にウンザリしていた。


◇◇◇


 一方のマリウス達も状況は似たようなものだった。そして気付いたことがある。メイド達に話を聞いてみると、元から王宮に勤めていた者は約半数余りで、残りのメイドは今回の式典のために急遽集められた者だということ。

 つまりほとんどが初見の者達ばかりということなる。だからその中の誰か一人が居なくなっても、気付ける者は誰も居ないということだ。そう、あの金髪のメイドのように。

「フゥ...思ったより面倒だな...」

 マリウスもミランダと似たような感想を口にした。

「...」

「アマンダ夫人!?」

 一緒に付いて来たアマンダは、心ここに有らずといった感じでなにやら物思いに耽っていた。

「...マリウス殿下、私ちょっと失礼しますね。どうにもクラウド殿下の様子が気になっちゃって...」

 どうやらアマンダは、先程別れたクラウドのことをずっと気に掛けているようだった

「あぁ、分かった。兄上のことをよろしく頼むよ」

 思うところがあったのか、マリウスは快く承知した。


◇◇◇


「アマンダ夫人、大変申し訳ありません...今現在、クラウド殿下は閣議に出席しておりまして...」

 クラウドの執務室を訪れたアマンダを出迎えたのは、平身平頭するクラウドの秘書官だった。

「そうですか...ちなみに明日は?」

「明日も同様でございます...式典の日まで毎日...」

「あぁ、なるほど...そりゃ当然ですよね...ではクラウド殿下にお伝えください。時間が空いた時にアマンダがお会いしたいと言っていたと」

「畏まりました...そのようにお伝え致します...」

「ちなみにここ最近のクラウド殿下の様子は如何ですか?」

「...なんと申しますか...少々お疲れのご様子とお見受け致します...」
 
 秘書官は言葉を選ぶようにそう言った。

「ですよね...くれぐれもお体をご自愛くださいともお伝えください」
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