電車でみる夢

冬生まれ

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────お泊まり会のあの夜。

彼が寝たと思い込んでいた俺は、暗闇が怖くて震えていた。
寝ようと目を瞑っても眠れず、そのうち泣きそうになっていると俺の頭に何かが触れた。
それは俺の頭を優しく撫でる手だった。

「たく、しょうがねー奴だなぁ…」

俺の隣からそう囁く声がした。
その手は俺が眠りにつくまでずっと撫でてくれた。

────彼の手が離れた後、俺はそのまま彼の肩を借りていた。
そして瞬きを二三度繰り返しながら瞼を閉じる。頭の痛みはだいぶ良くなっていた。
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