すれ違い

冬生まれ

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僕には幼馴染みがいる。
彼は僕と違って顔が良く、運動神経も抜群で女子からはよく黄色い声が上がった。
そんな幼馴染みはいつも僕と連みたがるけど、僕はどちらかと言えば関わり合いたくないのだ。
それは単なる僻みなんかじゃ無い。
幼稚園の頃からずっと一緒にいた僕らには今更な事で、よく彼と僕は比べられる事だってあったけど、それはもう慣れている…。
だけど、彼に関わり合いたくない理由は最近になって出来てしまった。

「ねぇ、田野君って本当に格好いいよね!」
「あっわかる~!クラス一のイケメンだもんね!!」

いつも通りな女子達の会話だった。

「彼女とかいんのかなぁ?」
「さぁ、聞いたこと無いけど…」
「いないならさぁ、チャンスだよね?」
「あんたには無理だって!」

たまたま教室にいた女子達が、幼馴染みの話題に花を咲かせているを何気なく廊下で聞いていた時だった。


「はぁっ何で!?酷くない?」
「アハハ!!確かに…!」
「でしょ?あんたは精々、木山じゃね?」
「田野君の幼馴染みだっけ~」

幼馴染みの話題から不意に僕の名前が持ち上がり驚いた。
だけど、、、。

「ヤメテよ!あんな不細工な奴と一緒にすんな!!」
「てかさ、アイツいつも田野君と一緒にいるよね…。」
「幼馴染みだからでしょ?」

浮いたと同時に一瞬にして撃沈。
(不細工か。悪かったな…!)
そう心の中で悪態を吐きながら、これ以上の立ち聞きは無用とその場から立ち去ろうとした刹那、一人が悪気無く呟いた。

「でもさぁ────」

聞いた後、その子の言葉が頭から離れなくなった…。
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