この恋、諦めます

ラプラス

文字の大きさ
2 / 2

この恋、諦めます。-猪突猛進ヒロインの場合- 2

しおりを挟む
 気づくと、目は見えず、視界は真っ白で覆われていた。触って確認してみると、どうやら包帯でぐるぐる巻きにされているようだ。

 どうして…?

 意識が戻ったことに気づいたのだろう。
 近くに人が来て、安堵したような声色に、こちらも少し落ち着く。

 「良かった。目が覚めたのね」

 彼女から大体の話を聞くと、どうやらあの爆発事故は探していた第二理科室で起こったものだったらしい。
 そして、女子生徒が行っていたのは惚れ薬の成分の抽出実験だったそう。それが、事故で別の薬品と惚れ薬が混ざり爆発に至ったという。現場近くに居合わせた私は、運悪く(?)惚れ薬を吸ってしまい、誰かを見て無差別に惚れないように目を包帯で巻いているのことだった。
 解毒薬を飲み続ければ、数週間で治ると言われた。

 ということは、お見合いはしばらく延期ね。
 …いや、本当にイザラを諦めるのなら、今行った方が好都合。元々、お見合いで自分が使うための惚れ薬を作ってもらうために彼女を探していたのだから。

「……………よし、行こう」
「行くって、どこへ?」

「っ‼︎………い、家に帰るの……って、イザラ⁈」

 気づいたら、包帯は外されていて、イザラの美しい顔が目の前にあった。

…マズイ‼︎‼︎

 急激に心拍数が上がっていくのを感じた。
 頬も熱くなってきて、遅いとは分かっていたが、私は咄嗟に顔を隠した。

「セレン…。もしかして、僕のこと嫌いになっちゃった…?」
「そんなことない!イザラはいつでも私の大事な友だちだよ!」

 自分が使った言葉なのに、“友だち”に傷ついている自分がいた。

「そう…。ね…」
「イザラ…?…んぅっ」

一瞬だった。
イザラの顔が近くにあって、気づけば唇が温かいものに塞がれていた。

「…友だちなら、どうして教えてくれなかったの」
「何を…」
「お見合いのことだよ」
「なんで」

知ってるの…?

「ごめん。俺、セレンをお見合いに行かせるつもりないから」

「自分勝手なのはわかってる。…でも、俺はずっとセレンの傍に居たいし、なにより、君が好きなんだ」



イザラはそう言って、私を保健室から攫って行った。
私たちがその後どうなったのかは、読者のあなたのご想像にお任せする。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

least common multiple

優未
恋愛
高校卒業から10年を記念した同窓会に参加した詩織。一緒に参加予定だった友人の欠席により1人で過ごしていると、高校時代の人気者である久田に声をかけられて―――。マイペースな頑固者と本命には及び腰の人気者のお話。

【完結】大好きなあなたのために…?

月樹《つき》
恋愛
私には子供の頃から仲の良い大好きな幼馴染がいた。 2人でよく読んだ冒険のお話の中では、最後に魔物を倒し立派な騎士となった男の子と、それを支えてきた聖女の女の子が結ばれる。 『俺もこの物語の主人公みたいに立派な騎士になるから』と言って、真っ赤な顔で花畑で摘んだ花束をくれた彼。あの時から彼を信じて支えてきたのに… いつの間にか彼の隣には、お姫様のように可憐な女の子がいた…。

6回目のさようなら

音爽(ネソウ)
恋愛
恋人ごっこのその先は……

皇后陛下の御心のままに

アマイ
恋愛
皇后の侍女を勤める貧乏公爵令嬢のエレインは、ある日皇后より密命を受けた。 アルセン・アンドレ公爵を籠絡せよ――と。 幼い頃アルセンの心無い言葉で傷つけられたエレインは、この機会に過去の溜飲を下げられるのではと奮起し彼に近づいたのだが――

一途な恋

凛子
恋愛
貴方だけ見つめてる……

さようなら、初恋

芙月みひろ
恋愛
彼が選んだのは姉だった *表紙写真はガーリードロップ様からお借りしています

終わりにできなかった恋

明日葉
恋愛
「なあ、結婚するか?」  男友達から不意にそう言われて。 「そうだね、しようか」  と。  恋を自覚する前にあまりに友達として大事になりすぎて。終わるかもしれない恋よりも、終わりのない友達をとっていただけ。ふとそう自覚したら、今を逃したら次はないと気づいたら、そう答えていた。

ストーカーはもうしません!

エヌ
恋愛
ス、トー...カー? 自分の行為がストーカーかもしれないと気づき自重する令嬢と無表情無反応されるがままとみせかけたヤンデレ令息のお話。

処理中です...